更新日: 2023.09.04 その他老後
止まらない日本の高齢化と人口減 現役世代何人で高齢者1人を支えるの?
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
高齢化の現状
内閣府が公表している「令和5年版高齢社会白書」によると、令和4年10月1日現在の日本の総人口は1億2495万人で、そのうち65歳以上人口は、3624万人となっています。総人口に占める割合(高齢化率)は、29.0%です。この高齢化率は年々高くなっています。
一方、少子化の影響を受けて、総人口は減少傾向にあります。総人口が減少する中で、65歳以上の者が増加することにより、高齢化率は上昇していきます。
現役世代1.3人で1人の高齢者を支える時代に
高齢化率が高くなると、現役世代(15~64歳の者)の負担は大きくなります。令和4年には、65歳以上の者1人に対して現役世代が2.0人、という比率になっています。つまり現在は、現役世代2人で、高齢者1人を支えている状況ということです。今後、高齢化率はさらに上昇し、令和52年には、65歳以上の人1人に対して現役世代が1.3人という比率になる、と推計されています。
そして、現役世代に重くのしかかってくるのは、年金や、医療費の負担が増えることです。国民年金保険料は、ここ10年は増加傾向が見られました。また、現在の若者が高齢者になったときには、今ほど年金が受け取れないとも考えられます。
医療費の問題も深刻です。現在の日本では、所得が一定以下の高齢者は、医療費負担が現役世代よりも軽くなるように設定されています。しかし、病院に通院したり、薬を受け取ったりと、実際に医療費が多くかかるのは高齢者です。高齢者の医療費を現役世代が負担している今の制度では、今後その負担はさらに大きくなると考えられます。
現役世代の負担を減らすために
問題の根本的な解決のためには、子どもを産み育てやすい環境を整え、少子化に歯止めをかける必要があります。現在は政府が中心となり、「異次元の少子化対策」として、児童手当の拡充や、出産費用の保険適用などを検討しています。
しかし、実際にどのくらい効果があるのかは、まだ分からず、結果が出るまでにはまだしばらく時間がかかるでしょう。また、年金や医療費制度の改革も必要だと考えられます。特に医療費については、高齢者世代の負担額を増やすなどの対策が検討されています。
現在の若者ができる対策は、将来の自分の老後に備えて、しっかりと老後資金を準備していくことです。残念ながら、もらえる年金だけでは、経済的にゆとりのある老後の生活を送るのは、難しいと考えられます。また、医療費負担も今より増える可能性があります。将来に備えて、退職する前に2000万円くらいの貯金は準備できるよう、計画を立てるようにしましょう。
まとめ
日本の深刻な少子高齢化の状況を理解することはできたでしょうか。少子高齢化は、日本に住んでいる人全員にとって重要な課題です。現役世代も、高齢者も、充実した人生を送るためには、さまざまな改革が必要となるでしょう。今後の政策に注目しながら、自分たちの資産形成にも積極的に取り組んでいきましょう。
出典
内閣府 令和5年版高齢社会白書
令和5年版高齢社会白書(全体版) (cao.go.jp)
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者