更新日: 2023.09.19 その他老後

60代の親が「貯金がない」と言っていて自分も不安です。子ども世代の老後資金はどう準備したらいいでしょうか

執筆者 : 菊原浩司

60代の親が「貯金がない」と言っていて自分も不安です。子ども世代の老後資金はどう準備したらいいでしょうか
公益財団法人生命保険文化センターの調査によると、80%以上の人が老後の生活に不安を感じており、その理由は「公的年金だけでは生活が成り立たないため」です。
 
今後、公的年金の給付水準はさらに低下していくと見込まれており、自己資金の準備の必要性が増していきます。
 
特に、将来の自分たちと比べて比較的、給付額が多いとされるご両親ですら、老後生活に突入して貯金不足に悩んでいるとなると不安感も増してきます。
 
老後資金を準備していくにはどうしたらいいのでしょうか、解説していきます。
菊原浩司

執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)

FPオフィス Conserve&Investment代表

2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。

http://conserve-investment.livedoor.biz/

多くの人が老後生活に不安を感じている

80%以上の方が老後生活に不安を感じています。老後生活の不安といえば健康上の理由や配偶者との死別といったリスクもありますが、最も多い不安の理由は「公的年金の不足」です。
 
主な公的年金は原則20歳~60歳までの全国民が加入する国民年金と社会保険の適用事業所に勤務する会社員などが加入する厚生年金があります。
 
国民年金の老齢給付は加入期間に応じて一定額ですが、厚生年金の老齢給付は加入期間と現役時代の報酬額に比例します。いずれの公的年金も今後は少子高齢化の影響により、現役世代の所得を公的年金でどの程度まかなえるかを示す「所得代替率」が低下していくと見込まれています。
 
公的年金の所得代替率が低下すると、ご自身で準備する老後資金の額が大きくなっていきます。
 
老後資金の必要額は、公的年金の給付額や、マイホームか賃貸かといった資産構成によって大きく異なるため、ご自身で必要額を算出して計画的に貯金を行っていく必要があります。
 
もし、年齢を重ねて老後生活が間近に迫った時に準備を開始しても、準備期間が短いため、充分な資産形成が行えないおそれがあります。
 

老後資金を貯めるにはどうしたらいいか?

老後資金を準備するには計画的に進める必要があります。まず家計支出と公的年金などの給付額から不足する金額を算出することが最初の一歩です。
 
しかし、必要額はインフレなどの影響によって変化する可能性があるため、定期的な見直しが必須といえます。
 
不足額を把握したら少額でもいいので、できるだけ早く貯金をはじめましょう。このとき、あまり高い金額を目標にして貯金してしまうと負担感から長続きしない恐れがあります。
 
人生では子育て期間などもあるため、収入と支出のバランスや貯金可能額がライフステージによって変化します。必要額を単純に年数で割ってしまうと収入がまだ低く養育費などで支出の多い若年層には貯金の負担が過大となってしまいます。
 
次に貯金だけでなく資産運用を併用することもポイントです。現在は老後のための資産形成を目的とした公的制度である「つみたてNISA」や「iDeCo」が整備されており、以前よりも個人の資産形成が行いやすい状況になっています。
 
ただし、資産形成を行う場合は、あまりリスクの高い投資は避け、できるだけ長期間にわたり運用を行い、資金は一括で投入せず、投資信託を活用しながら株式や債権・不動産などさまざまな資産に分散投資を行うことをおすすめします。
 

まとめ

今後はますます公的年金の所得代替率が低下するため、ご自身で老後資金を準備する必要があります。老後の生活資金を貯めるには負担を少なくし、長期・分割・分散を意識した資産運用を併用することがポイントです。
 
このため、少額からでもできるだけ早い時期に老後資金の資産形成を進めることが重要とえいます。
 
老後資金をしっかりと準備して不安の無い老後生活を迎えるには、少額からでも早期にはじめつつ、できればファイナンシャルプランナーなどの専門家をまじえ、資金計画を立て、定期的に状況を把握していくことが重要となります。
 

出典

公益財団法人 生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/2022(令和4)年度」
 
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表

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