更新日: 2023.09.19 セカンドライフ

40代で、貯金が「100万以下」です。50代までにいくら貯めれば、老後は「不労所得」で生きられますか?

40代で、貯金が「100万以下」です。50代までにいくら貯めれば、老後は「不労所得」で生きられますか?
老後は働かず不労所得で生きていきたい、そういった声を聞くことがあります。40代に入り、老後を考え、そのように思い始めた方もいらっしゃることでしょう。しかし、誰もが40代までに十分な貯金ができているとは限りません。そこで今回は、「40代で貯金100万円以下の状況から、50代までにいくら貯められれば老後は不労所得で生きていけるか」を考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

老後の収支と必要な老後資金は?

まずは老後の収支を確認し、それを基に、いくら貯金があれば不労所得で生きていけそうか調べてみましょう。
 
総務省の「家計調査年報」のデータによれば、「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の社会保障給付(年金など)による収入は21万6519円、支出は25万5100円となっています。
 
老後、夫婦で不労所得によって生きていこうと考えたら、平均額の年金などを受け取れるとしても、毎月3万8581円の不足が生じることになります。仮に65歳で老後の生活に入ったとすると、そこから90歳までの25年間で発生する不足分は1157万4300円もの額になります。
 
一方、「65歳以上の単身無職世帯」の場合、社会保障給付による収入は12万470円、支出は14万4747円となり、毎月2万4277円の不足が生じます。仮に65歳から90歳までの25年間、老後生活を送るとしたら、728万3100円が不足することになります。
 
個別の条件によっても異なりますが、統計を基に算出した場合、夫婦世帯なら約1158万円、単身世帯なら729万円程度の老後資金が必要と考えられます。
 

不労所得で老後を生きるために必要な貯金額は

ただし、不労所得の種類によっては、上記のとおり1158万円、もしくは729万円のお金を用意する必要はありません。株や債券、投資信託といった不労所得であれば、資産を運用しながら切り崩していくことが可能となるからです。
 
例えば夫婦世帯の場合、年間での不足額は46万2972円、多めに見積もって47万円ほどとなります。仮に、投資信託を年利3%で運用でき、毎年47万円取り崩していくと考えると、必要となる元本は900万円程度です。900万円あれば、94歳まで不労所得で生きていくことができます(三井住友銀行の「資産寿命シミュレーション」にて試算)。
 
単身世帯であれば、年間での不足額は29万1324円、多めに見積もって30万円ほどとなります。投資信託を年利3%で運用でき、毎年30万円取り崩していくと考えると、元本が550万円あれば93歳まで不労所得で生きることが可能となります。
 
平均的な額の年金を受け取りつつ、不労所得で生きる場合、夫婦世帯なら900万円、単身世帯なら550万円を目安に老後資金を用意しておきましょう。
 

40代なら65歳までに目標となる額を用意できるように資産運用をしてもいい

40代からの10~20年間で900万円、もしくは550万円の貯金を用意するのは、高収入であるなど貯金に適した環境でなければ難しいでしょう。貯金が100万円以下の状況であればなおさらです。
 
仮に45歳から59歳までの間にこの額を用意すると考えると、年間で65万円、もしくは40万円程度の貯金をしなければなりません。
 
そこで、老後生活に入る65歳まで資産運用を活用することも検討してみましょう。資産運用ならば、単に貯金するよりも少ない負担で老後資金を用意することができます。
 
例えば、毎月の積立金額を2万円とし、年利3%で20年間運用できた場合、20年後の資産は650万円を超えます。毎月の積立金額を3万円とすると、20年後には984万円を超えるなど、より大きな額を用意できます(金融庁の資産運用シミュレーションにて試算)。
 

夫婦世帯で900万円、単身世帯で550万円あれば老後不労所得で生きていける可能性がある

それぞれの状況にもよりますが、収支について一般的な状況であり、かつ、年利3%で資産運用できるという理想的な前提であれば、夫婦世帯で900万円、単身世帯で550万円程度の老後資金を貯めておけば、老後は年金と不労所得で生きていける可能性があります。
 
ただし、今回のシミュレーションはあくまでも簡易の条件下での試算です。実際に準備する際は、個別具体的な条件も加味し、自身に見合った金額が用意できるよう計算しましょう。
 

出典

家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)結果の概要

三井住友銀行 資産寿命シミュレーション

金融庁 資産運用シミュレーション

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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