更新日: 2023.09.19 セカンドライフ

間もなく定年ですが、60歳以降もまだまだ働きたい! どんな制度や助成がありますか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

間もなく定年ですが、60歳以降もまだまだ働きたい! どんな制度や助成がありますか?
現在の少子高齢化社会において、60歳以降も働くことについては、厚生労働省も65歳までの雇用機会の確保を掲げています。この政策に基づき、各種の制度も整備が進んでいます。同時に労働者も働く意欲を示す場合が多く、以前より多くの機会が増えています。今回は60歳以降も働きたいと考える人への支援や機会について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

60歳で定年後の再就職に使える! 支援制度や給付制度を解説

60歳で定年を迎えたあとも働きたいと考える人が増えています。そこで、再就職時に活用したい支援制度や給付制度について解説します。主に次の2種類です。
 

●高年齢雇用継続給付
●就業促進定着手当

 
定年後に再就職をしたものの、経済的に困窮する可能性はゼロではありません。必要な状況であれば、支援制度や給付制度を頼ることを検討してみてください。制度別に特徴を詳しく解説します。
 

高年齢雇用継続給付

高年齢雇用継続給付とは、60歳時点の賃金と比べて60歳以降の賃金が75%未満に低下した人が受け取れる給付金です。賃金が著しく低下した高齢労働者に対する賃金の補てんを目的にした制度で、給付金は次の2種類に分類されています。
 

●高年齢雇用継続基本給付金:60歳に到達したあとも継続して雇用される人を対象にした給付金
●高年齢再就職給付金:離職後に、基本手当を受給し、60歳以降に再就職した人を対象にした給付金

 
また、支給要件が図表1のように定められており、満たさない場合は給付を受けられませんので事前に確認をしてください。
 
【図表1】

給付金の種類 支給要件
高年齢雇用継続基本給付金 ・失業保険(基本手当や再就職手当などの給付)を受給していない
・60歳時点の賃金と60歳以降の賃金を比較した際に75%未満に低下している
・60歳以上65歳未満の雇用保険一般被保険者
・被保険者期間が5年以上ある
高年齢再就職給付金 ・失業保険の基本手当を受給していた
・60歳以降に再就職した
・60歳以上65歳未満の雇用保険一般被保険者
・基本手当についての算定基礎期間が5年以上ある
・再就職した日の前日における基本手当の支給残日数が100日以上ある
・1年を超える継続雇用が確実と認められる安定した職業に就いた
・再就職先について、再就職手当の給付を受けていない

(厚生労働省の資料に基づき筆者作成)
 
高年齢雇用継続給付の支給金額は「支給対象月に支払われた賃金額÷賃金月額×100 」にて低下率を計算します。
 
一律の金額を受け取れるのではなく、低下率61%未満、61%を超75%未満の場合で以下のように支給金額の計算式が異なる仕組みです。
 

●低下率が61%以下だった場合:支給対象月の賃金額×15%
●低下率が61%を超5%未満だった場合:183÷280×支給対象月の賃金額+137.25÷280×60歳到達前の6ヶ月間の平均賃金額

 
注意点として、高年齢再就職給付金と再就職手当の併給はできません。再就職手当とは、雇用保険の受給資格を有する人が、早期に就職した際に支給される手当です。
 

就業促進定着手当

就業促進定着手当は、再就職後に再就職手当の支給を受けた人が、次の支給要件を満たす場合にもらえる手当です。
 

●再就職手当の支給を受けた再就職日から6ヶ月以上雇用保険の被保険者として雇用されている
●再就職先で6ヶ月の間に支払われた賃金の1日分の額が離職前の賃金日額に比べて低下している

 
支給額は「離職前の賃金日額-再就職手当の支給を受けた再就職日から6ヶ月間に支払われた賃金額の1日分の額)×再就職日から6ヶ月間における賃金の支払基礎となった日数」で計算し、上限額は基本手当日額×基本手当の支給残日数×40%です。
        

在職老齢年金制度によって年金が減額される場合がある

定年後も就職する場合は、在職老齢年金制度によって年金の支給額が減額、停止する場合がある点に注意しましょう。
 
在職老齢年金制度とは、60歳以上の厚生年金被保険者が老齢厚生年金を受け取る際に、老齢厚生年金の基本月額・総報酬月額相当額に応じて減額や支給停止の措置をとられる制度です。
 
年金の減額、支給停止条件は、以下のとおりです。
 

●基本月額と総報酬月額相当額が47万円を超える場合:基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2
●基本月額と総報酬月額相当額が47万円以下:全額支給

 

定年後の再就職時に受けられる支援制度や給付制度がある

定年後の再就職時に受けられる支援制度や給付制度の中から、支給要件を満たせる制度がないかどうかを確認してみてください。給付や支援を受けることで、再就職時と比べて足りなかった賃金補てんにつながる可能性が高いからです。
 
老後に生活費を稼ぎたい、さまざまな支出がある、などの理由で、働きたいと考える人も増えています。退職前にこれらの制度概要を正しく把握してから、利用手続きを進めるようにしてください。
 

出典

厚生労働省 Q&A~高年齢雇用継続給付~ 

厚生労働省 再就職手当を受給した皆様へ 

就職促進給付 ハローワークインターネットサービス

雇用継続給付 ハローワークインターネットサービス在職中の年金(在職老齢年金制度)

日本年金機構 在職中の年金(在職老齢年金制度) 

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

ライターさん募集