更新日: 2023.09.28 その他老後

50歳会社員で貯蓄350万円、65歳までに「2000万円」の貯蓄は可能? 老後資金の準備方法を解説

50歳会社員で貯蓄350万円、65歳までに「2000万円」の貯蓄は可能? 老後資金の準備方法を解説
定年が見えてくる50歳を過ぎると多くの人が気になるのが、老後生活のための貯蓄ではないでしょうか。
 
50歳代2人以上世帯の平均貯蓄額は1253万円ですが、その中央値(貯蓄額の多い順に並べたときにちょうど真ん中にくる人の貯蓄額)は350万円です。老後2000万円問題が話題となりましたが、年金が始まるまでに2000万円の貯蓄は可能でしょうか?
 
本記事では、50歳で貯蓄350万円の人が65歳までに2000万円を準備する方法について解説します。老後の資金対策を検討中の人は参考にしてください。
西岡秀泰

執筆者:西岡秀泰(にしおか ひでやす)

社会保険労務士・FP2級

年代別の貯蓄状況

最初に、平均的な貯蓄額を年代別に確認しておきましょう。
 
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」によると、50歳代から70歳代の年代別の貯蓄額は図表1の通りです。
 
図表1

平均額 中央値
50歳代 1253万円 350万円
60歳代 1819万円 700万円
70歳代 1905万円 800万円

金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」より作成
 
平均貯蓄額を見ると50歳代では1253万円ですが60歳代や70歳代では2000万円近くまで増えており、一見すると多くの人が老後2000万円問題をクリアしているように見えます。
 
しかし、中央値は50歳代では350万円と、平均額とは大きく異なります。60歳代や70歳代になると中央値はアップしますが、2000万円の半分にも満たない状況です。
 

65歳までに2000万円を準備する方法

50歳代の貯蓄額が350万円の人でも、65歳までに2000万円を貯蓄することは不可能ではありません。世帯ごとに状況は異なりますが、主な方法を3つ紹介します。1つの方法だけでは無理でも、複数の方法を組み合わせることで貯蓄2000万円を目指しましょう。
 

子どもが独立後は教育費分を貯蓄する

一般的に、30歳代や40歳代は収入が増えるものの教育費や住宅ローンの返済などで支出も多くなるため貯蓄が難しい時期です。そのため、子どもが大学を卒業するなどして教育費が不要になる50歳代が、老後資金を準備するのに最適です。
 
教育資金の負担がなくなると家計に余裕ができますが、安心して生活費を増やすと老後資金の準備は難しくなります。これまで教育費に充てていたお金はすべて貯蓄に回すように心がけることが重要です。
 
貯蓄350万円の人が2000万円貯めるには、あと1650万円を貯蓄しなければなりません。50歳または55歳の人が、65歳までに貯蓄を1650万円増やすための毎月の積立額は次のとおりです。


・50歳の人:積立額=1650万円÷(15年×12ヶ月)=約9万2000円
・55歳の人:積立額=1650万円÷(10年×12ヶ月)=約13万8000円

毎月10万円前後の貯蓄が必要となるため簡単ではありませんが、年間100万円かかっていた教育費を貯蓄に回すと仮定すると毎月8万円以上も貯められることになります。
 

退職金を老後資金に充てる

老後資金を一気に貯蓄するには、退職金を充てることが効果的です。一般的に、会社員がまとまったお金を受け取る唯一の機会が退職金だからです。
 
住宅ローンの繰り上げ返済や定年後に開業するための資金、定年祝いの海外旅行など、退職金の使い道はいろいろありますが、老後のことを考えると一定金額は老後資金として残しておいた方がいいでしょう。
 
貯蓄350万円の人が1650万円の退職金を受け取ってすべてを老後資金に充てれば、貯蓄額は2000万円に達します。半分でも貯蓄できれば、貯蓄2000万まで不足分は800万円強です。65歳までに800万円貯めるには、毎月次の金額を積み立てればいいことになります。


・50歳の人:積立額=800万円÷(15年×12ヶ月)=約4万4000円
・55歳の人:積立額=800万円÷(10年×12ヶ月)=約6万7000円

退職金と毎月の積み立てを組み合わせれば、貯蓄額2000万円の達成がより現実的になります。
 

資産運用でお金を増やす

これまで利回りなしで貯蓄することを前提に解説しましたが、資産運用などでお金を増やせれば、貯蓄2000万円の達成は比較的容易になります。55歳で貯蓄350万円の人が、65歳までに貯蓄を1650万円増やすための運用利回り別の毎月の積立額は、次の通りです。


・利回り0%:積立額=約13万8000円
・利回り3%:積立額=約11万8000円
・利回り5%:積立額=約10万6000円

50歳から貯蓄を始めたり、退職金を老後資金に充てたりした場合、毎月の積立額は上記より少なくて済みます。
 

65歳で無理なら70歳に延長する方法も

積立貯蓄や退職金を活用しても65歳までに2000万円貯められなかった場合、65歳以降も仕事を続けて、貯蓄額を増やすという方法もあります。
 
2021年4月1日の高齢者雇用安定法の改正では、従来の「65歳までの雇用確保措置(義務)」に加え、「70歳までの就業確保」を企業の努力義務としました。政府の後押しで70歳まで働ける環境が整いつつあります。
 

まとめ

50歳で貯金350万円の人が、65歳までにさらに1650万円を貯めるのは簡単ではありませんが、毎月の積立貯金と退職金を活用すれば貯蓄2000万円は可能です。
 
また、低金利の続く預貯金ではなく、資産運用によってお金を増やすことができれば、効率的に貯蓄できます。老後資金準備には長い時間がかかるため、事前にきちんと計画を立てて実行しましょう。
 

出典

金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降) 各種分類別データ(令和4年)
 
執筆者:西岡秀泰
社会保険労務士・FP2級

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