更新日: 2023.09.29 セカンドライフ

定年後でもお金がかかる?見落としがちな多くの老後の支出

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

定年後でもお金がかかる?見落としがちな多くの老後の支出
一般的に、定年後は働いていたときよりも収入が減少するため、「家計を引き締めなければならない」と考える人も多いのではないでしょうか。定年後は、支出が減る費目もありますが、逆に増える費目もあります。実際に、生活費を圧縮するためにはどのような工夫が必要なのでしょうか。
 
そこで、本記事では定年後に増える支出の費目や、不安なく暮らすための対処法について解説します。
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総務省の家計調査からみた老後の家計の特徴

総務省の2022年の「家計調査」によると、60歳以上の単身世帯の消費支出は15万409円で、平均の16万1753円より少なくなっています。費目別では、被服および履物費(約3697円)、交通・通信費(約1万6269円)、教養娯楽費(約1万5558円)などは、いずれも平均より少ない傾向です。
 
一方で、水道・光熱費(約1万4959円)、家具・家事用品(約6291円)、保健医療費(約8285円)、交際費(約1万7328円)など平均よりも多い費目もあります。
 
定年後は、外出の機会が減少傾向となり被服および履物費や交通・通信費が減少することが推測できます。また、自宅で過ごす時間が増加するためか、水道・光熱費や家具・家事用品の費用が増える傾向といえるでしょう。
 

定年後に思ったよりも費用がかかるもの

ここでは、思った以上に費用がかかるものを紹介します。
 

家のリフォーム費用

持ち家の場合は、高齢化に伴い住宅を住みやすくするためにリフォームが必要になる場合があります。例えば、寝室を1階に移したり、段差をなくしたりするリフォームといった具合です。リフォームの規模にもよりますが、数10万~数100万円かかる可能性があります。
 

医療費

年齢を重ねるごとに病気をわずらう可能性は高くなるため、医療費は増大しやすくなります。一定額を超える場合は、高額療養費制度が利用できるものの、がんの陽子線治療といった先進医療は保険適応外となるため全額自己負担です。
 
例えば、国立がん研究センター東病院の場合、陽子線治療費にかかる費用は約294万1000円となっています。
 

介護

公益社団法人生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」によると、親の介護にかかった毎月の費用平均は8万3000円、介護期間の平均は5年1ヶ月でした。世帯主または配偶者が要介護になった場合、公的介護保険以外に必要な毎月の費用は平均15万8000円、介護が必要と考える平均的な期間は15年1ヶ月です。
 

墓じまい

「お墓の承継者がいない」「子どもに負担をかけたくない」という理由で墓じまいをする人は増えています。墓じまいに必要な費用は、一般的に墓の撤去に関する費用(さら地にして墓地を返す)や新しい納骨先に必要な費用などの合計です。閉眼供養をするお寺へのお布施や新たな納骨先の費用によっては、30万~300万円程度かかることもあります。
 

子どもの転職

子どもが就職後に親と一緒に暮らしていて解雇などで職を失った場合、次の転職先が見つかるまでは収入が途絶えてしまいます。また、その間も国民年金や健康保険料、住民税の支払いが必要です。もし、子どもに貯蓄がない場合は親が負担を余儀なくされるケースもあるでしょう。
 

子どもの結婚

株式会社リクルートが運営する「ブライダル総研」による「ゼクシィ結婚トレンド調査2022」によれば、71.9%が挙式・披露宴・ウエディングパーティに対して親から援助があったと答えています。子女の年齢が低いほど親から援助を受けた人が多く、親からの援助額の平均は162万7000円です。
 

孫の誕生

孫が誕生することで節目ごとのお祝いなどにお金がかかります。ソニー生命が行った「シニアの生活意識調査2023」によれば、孫のために使ったお金で最も多いのがお小遣い・お年玉・お祝い金、2位が一緒に外食、3位が衣類などファッション用品でした。なお、1年間の孫のための出費は約10万8134円です。
 

定年後は出費が増える費目もあるので充分な備えを心掛けよう

定年後は、働いていたころと比べて支出が減る費目もありますが、逆に定年後に支出が増える費目もあります。そのため、定年後に向けて現役時代から充分な備えを心がけておくことが大切です。
 
また、自分自身や配偶者が要介護になったり病気になったりすると大きな出費になりかねません。健康寿命を延ばすためにも、日々の暮らしに気を付けながら働けるうちは仕事をするなどの対策をしましょう。
 

出典

総務省 家計調査 男女、年齢階級別
公益財団法人生命保険文化センター 2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査〈速報版〉
株式会社リクルート ブライダル総研 ゼクシィ結婚トレンド調査2022
ソニー生命_シニアの生活意識調査2023
国立がん研究センター東病院 陽子線治療の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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