更新日: 2023.10.02 セカンドライフ

定年退職しても、「20年以上」暮らしていくための貯金が必要! 老後の貯金はいくらあるのがベスト?

執筆者 : 柘植輝

定年退職しても、「20年以上」暮らしていくための貯金が必要! 老後の貯金はいくらあるのがベスト?
定年退職しても、その後年金だけで生活できるとは限りません。平均寿命を考えると、そこから20年以上暮らしていくために多額の貯金が必要になることもあるでしょう。
 
そこで今回は、60歳で定年退職する場合、貯金はどれくらいあればベストといえるのかを考えてみます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

平均寿命は81歳超

厚生労働省によると、2022年の日本人の平均寿命は女性が87.09歳、男性が81.05歳となっています。
 
もちろん、この平均寿命はあくまでも統計上算出した数値のため、平均寿命を超えて長く生きる方もいれば、平均寿命より早くに亡くなってしまう方もいらっしゃいます。
 
また、男女で平均寿命に6歳程度の差がありますが、女性だから男性より長生きするとも、あるいは女性だから87歳まで生きることができるとも限りません。
 
老後に備えるのであれば、平均寿命については参考程度にとどめ、ある程度長生きしても困らないように考えておいた方が安心です。いずれにせよ、平均寿命を加味すると私たち現代人は「仮に60歳で定年退職したとしても、そこから先の人生が20年以上続く」可能性が高いのです。
 

60歳以降の生活費はどれくらい?

総務省統計局の家計調査によると、65歳以上の単身無職世帯の1ヶ月の支出は 15万5495円、年間に換算すると186万5940円となります。
 
図表1

図表1

出典:総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)Ⅱ 総世帯及び単身世帯の家計収支
 
一方、夫婦2人の無職世帯では1ヶ月の支出は 26万8508円、年間で322万2096円となります。
 
図表2

図表2

出典:総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)Ⅱ 総世帯及び単身世帯の家計収支
 
女性の平均寿命を参考に、60歳で定年退職した後、87歳まで27年間生きると仮定しましょう。すると、老後に生じる支出は、単身者なら5038万ほど、夫婦なら8700万ほどは考えておく必要がありそうです。
 
ただし、これは統計上の値であり、ライフスタイルなどによっても異なるため、人によってはこれよりもっと大きな金額のお金が必要となることもあり得ます。
 
定年後の生活はゆったりとしていて、あまり多くのお金を要しないとイメージされる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際には数千万円規模でお金が必要になることを知っておきましょう。
 

老後の貯金はいくらあるのが目安?

前述のとおり、老後は単身世帯で5038万、夫婦2人世帯で8700万ほどの支出が生じることが想定されます。しかし、この全額を貯金で有している必要はありません。老後の収入について、通常は公的年金が支給されるからです。
 
令和3年度のデータでは、会社員など厚生年金受給者の平均年金月額は14万5665円、自営業者など国民年金のみ受給者の平均年金月額は5万3185円となっています。
 
公的年金を65歳から87歳まで22年間受け取ると仮定すると、受給できる年金の総額は、厚生年金の場合でおよそ3846万円、国民年金の場合でおよそ1404万円となります。
 
老後の平均的な生活費と年金受給額を踏まえると、老後用意しておきたい貯金額としては、単身者の場合、厚生年金のときは1192万円、国民年金のときは3634万円がひとつの目安になるでしょう。
 
夫婦の場合、仮に厚生年金の夫と国民年金の妻(夫婦の合計年金額5250万円)とすると、貯金額は3450万円ほどが目安となるでしょう。
 

まとめ

現在、日本人の平均寿命は80歳を超えています。60歳で定年退職しても、その先20年以上は人生が続くことになります。
 
平均寿命と平均年金額を踏まえると、老後の貯金としては、厚生年金を受給の単身者は1000万円ほど、国民年金のみ受給の単身者や、厚生年金の夫と国民年金の妻などの夫婦では3500万円前後の額が必要になると想定されます。
 
しかし、実際に老後の貯金がいくらあればベストなのかは、個別の事情によっても異なります。気になった方は統計結果を参考にしつつ、自分たちは何歳まで、月々どれくらいの収入と支出で生きるのか仮定し、試算してみてください。
 
そうすることで、自分たちにとってベストな貯金額が見えてくるでしょう。
 

出典

厚生労働省 令和4年簡易生命表の概況
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)Ⅱ 総世帯及び単身世帯の家計収支
厚生労働省 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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