更新日: 2023.10.03 その他老後

65歳、わけあってこれから賃貸物件さがし……高齢者は賃貸物件を借りにくい? スムーズに借りる方法はある?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

65歳、わけあってこれから賃貸物件さがし……高齢者は賃貸物件を借りにくい? スムーズに借りる方法はある?
賃貸物件を借りる際には、契約が可能かどうかの審査に通る必要があります。さまざまな理由があって賃貸物件を探す場合、現役で働く世帯と比べて高齢者は契約しにくいのが現状です。
 
契約時に健康で収入があったとしても、それが長期的に続く保証はありません。高齢者はどうしても物件内での事故や孤独死のリスクの高さ、収入の低さによる家賃の支払い能力を問題視されてしまうのです。
 
本記事では、高齢者が賃貸物件を借りにくい要因をはじめ、スムーズに借りるための方法などを解説します。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高齢者は賃貸物件を借りにくい傾向にある

賃貸物件を借りようとしても、高齢になるにつれて契約成立に至らない傾向です。実際に、65歳からの部屋探しを専門で支援している株式会社R65が行った「高齢者の住宅難民問題に関する実態調査(2023年)」では、高齢者の4人に1人以上が「年齢を理由とした賃貸住宅への入居拒否」を経験したことがあると伝えています。
 
また、年齢を理由に賃貸住宅への入居を拒否された経験がある人のうち年収が200万円未満の人の13%は、5回以上断られた経験があるなど、高齢者が賃貸物件を借りにくい現状が分かります。
 

高齢者が賃貸物件を借りにくい要因とは?

高齢者だからといって一概に賃貸物件を借りられないわけではありませんが、以下の要因から家主や不動産会社が入居を認めない可能性が高いです。
 

●事故や孤独死のリスク
●家賃滞納のリスク

 
逆にこれらのリスクを回避できるむねを、家主や不動産会社に証明できれば賃貸物件を借りられる場合があります。あらかじめ高齢者が賃貸物件を借りにくい要件を把握し、適切な対処法を検討してから申し込み手続きを行うと良いでしょう。
 

事故や孤独死のリスク

どんなに健康な高齢者であっても、若い世代と比べたら物件内での事故や孤独死のリスクが問題視されます。
 
特に単身世帯の高齢者の場合、けがや体調の悪化で居室内で倒れてしまっても、誰かに気づいてもらえる可能性が低いのです。さらに居室内で死亡していたとなれば、事故物件扱いとなってその後の家賃収入が減ったり、次の借り主が見つからない状況におちいったりするでしょう。
 
家賃収入を得たいがために高齢者の入居を認めたいと考える家主は多くても、万が一のリスクを考えたら簡単に契約を締結できないのが現状なのです。
 

家賃滞納のリスク

家賃滞納のリスクも高齢者が賃貸物件を借りにくい要因の一つです。働いている人は、毎月の給与収入にて家賃の継続的な支払いが期待できます。
 
それに対し、高齢者の収入源は一般的に年金のみで、給与収入と比べて金額は少ない状況です。そのため「家賃を滞納せずに支払ってもらえるだろうか」という点を不安視されることをさけられません。
 
保証人を立てられれば高齢者でも賃貸物件を契約できる可能性は高いです。しかし、単身世帯で身内がいない、保証人がいないとなれば、家賃滞納のリスクを理由に家主が高齢者に賃貸物件を貸し出せないのが現状といえるでしょう。
      

高齢者が賃貸物件をスムーズに借りられる方法はある?

高齢者が賃貸物件をスムーズに借りる方法は、以下のとおりです。
 

●預貯金額を提示して金銭面の不安がないことを伝える
●親族に保証人になってもらうなどサポートを受ける・家賃債務保証を利用する
●高齢者向け住宅に入居する

 
高齢者だから絶対に賃貸物件を借りられないわけではありません。適切な方法を実行すれば、家主や不動産会社に賃貸物件への入居を認めてもらえる可能性は残されています。
 

預貯金額を提示して金銭面の不安がないことを伝える

収入源が年金収入のみだったとしても、金融機関の通帳のコピーなどを提出することで、家賃の支払いを継続的に行えることを証明できます。
 
家主や不動産会社が高齢者に賃貸物件を貸したくないと考える大きな理由が家賃の滞納です。「家賃の支払いに問題ない」と判断してもらえるだけの預貯金を持っていることが分かれば、賃貸物件を契約できる可能性を高められるでしょう。
 

保証人になってもらうなど親族のサポートを受ける

賃貸物件を借りるにあたって親族のサポートを受けられる状況であれば、賃貸物件をスムーズに借りられる場合があります。親族が近くに住んでいてすぐに目が届く状況なら、居室内にて体調が悪化したり、けがをしても発見が遅れて死亡につながるといったトラブルに至る可能性は低いからです。
 
そのほかにも現役で働く親族が保証人になってもらえるなら、家主や不動産会社は金銭面の不安をさらに払拭できるでしょう。
 

家賃債務保証を利用する

保証人を立てるのが難しい状況であれば、一般財団法人高齢者住宅財団が取り扱う「家賃債務保証」の利用を検討してみてください。家賃債務保証は、高齢者世帯や障がい者世帯、子育て世帯、外国人世帯を対象にした制度です。
 
家賃債務保証会社を利用した場合、借主は保証料を支払わなければなりません。しかし、事情があって家賃の支払い不能におちいったとしても、保証会社が借主に代わって家賃を支払ってくれるため保証人の役割をしてくれます。
 

高齢者向け住宅に入居する

UR都市機構が管理する高齢者向け住宅をはじめ、高齢者の入居を可能とする賃貸物件を探してみるのも方法の1つです。UR都市機構では、高齢者が安心して暮らせるように地方公共団体との連携や事業者と協力し、高齢者向け賃貸住宅の供給や生活支援サービスを展開しています。
 
また、不動産会社の公式ページなどから、高齢者入居可能という物件を検索できます。高齢者の入居が可能な物件を見つけたら、不動産会社に相談・内覧という手順を踏んでみても良いでしょう。
 

高齢者が賃貸物件を借りられない理由を把握して適切な対処法を検討しよう

高齢者が賃貸物件を借りようと思っても、現役で働く世帯と比べたら不利な状況です。
 
しかし、家主や不動産会社が高齢者に賃貸物件を貸したくないのは、居室内での事故や孤独死といったリスク、家賃滞納のリスクといった要因があります。リスクを回避できる状況であれば、賃貸物件をスムーズに借りられる可能性はあります。
 
また、利用対象に該当する人は家賃債務保証を利用する、高齢者向け住宅にしぼって物件探しをすることも、賃貸物件を借りるための近道になるでしょう。    
 

出典

株式会社R65 高齢者の4人に1人以上が、年齢を理由とした賃貸住宅への入居拒否を経験。収入による差はなし。【高齢者の住宅難民問題に関する実態調査(2023年)】

UR都市機構

一般社団法人 高齢者住宅財団

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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