更新日: 2023.10.05 セカンドライフ

元警察官でしたが、セカンドキャリアに「タクシー運転手」を選びました。年金額はどのくらい増えますか?

元警察官でしたが、セカンドキャリアに「タクシー運転手」を選びました。年金額はどのくらい増えますか?
先日、元警察官の経歴を持つ方から「タクシー運転手として働くことによって、どのくらい将来の年金が増えるのかと相談がありました。
 
老後の働き方としてタクシー運転手を選ぶことの是非と、そうすることでもらえる年金額がどれくらい増えるのか考えてみます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

セカンドキャリアにタクシー運転手は向いている?

一般社団法人「全国ハイヤー・タクシー連合会」および「ハイヤー・タクシー業高齢者雇用推進委員会」の調査によれば、タクシー運転手として働く男性の6割以上が、60歳以上の方となっています。また、65歳以上のタクシー運転手の数は2017年から2019年の間、毎年前年比で2~4%ほど増加しています。
 
力を使うことや、難しい業務も少ないとされており、セカンドキャリアに選択する職業としてタクシー運転手は向いているといえます。
 
特に警察官は現役時代、パトカーなどで車の運転には慣れているはずです。タクシー運転手になるには「普通第二種運転免許」という比較的合格難易度が高い運転免許を有している必要があり、この点がネックになることもあります。しかし、警察官として運転に慣れていれば、普通第二種運転免許の取得も比較的スムーズであると想定されます。
 
加えて、交番勤務や警察署の窓口業務を経験していた方であれば、接客もさほど抵抗なくできるはずです。
 
厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」第1表「年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」によれば、道路旅客運送業(企業規模10人以上)の平均年齢は55歳、平均年収はおよそ379万4000円(きまって支給する現金給与額を12倍し、年間賞与その他特別給与額を加えたもの)です。セカンドキャリアにおいても、生活費を賄うだけの収入を得ることは難しくなさそうです。
 

タクシー運転手で働くことによって年金は増える?

タクシー運転手になるには、主に正社員や契約社員などとしてタクシー会社に雇用され、かつ70歳未満であるなど所定の要件を満たす必要があります。
 
社員として厚生年金に加入して働くことで、将来もらえる年金額を増やすことができます。仮に厚生年金に加入できなくとも「保険料納付期間が480月未満である」など国民年金を満額受け取ることができない方は、国民年金に任意加入することによって、将来受け取る年金額を増やすことができる場合もあります。
 

タクシー運転手として働くとどれくらい年金が増える?

では、タクシー運転手として働き、厚生年金に加入することによって、どれくらいの額の年金が増えるのか計算してみましょう。
 
条件は、簡易的に下記のとおりとします。

・1963年8月1日生まれの男性
・20歳から22歳は国民年金に学生として加入
・23歳から64歳の間は年収722万円で就労したと仮定(総務省の「令和3年 地方公務員給与の実態」第5表「職種別職員の平均給与額」より、全地方公共団体における警察職の「給与月額合計」を12倍し、「期末手当」と「勤勉手当」を足したおよその数値)
・65歳から69歳の間は年収319万円でタクシー運転手として就労

すると、65歳から69歳の間に受け取れる年金は241万円、70歳以降受け取れる年金は259万円となります。4年間の就労によって、実に18万円も年金受給額が増加することになります。
 
働き方や給与次第で変わる部分でもありますが、タクシー運転手として働くことで、年金額を大きく増やすことは十分現実的だといえます。
 

まとめ

警察官として働いた経験は、タクシー運転手として働く上で生かすことができます。その上、例えば平均的な収入で65歳から69歳まで働くことによって、それ以降は年間約18万円も年金が多くもらえるなど、年金額を増やすこともできます。
 
ただし、実際に働く際の諸条件によっては、この限りではない可能性もあります。タクシー運転手として働く際は、今回の内容を参考にしつつ、自分でもしっかりと調べ、諸条件を確認した上で働くようにしてください。
 

出典

e-Stat 厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査
一般社団法人 全国ハイヤー・タクシー連合会、ハイヤー・タクシー業高齢者雇用推進委員会 ハイヤー・タクシー業 高齢者の活躍に向けたガイドライン
総務省 令和3年地方公務員給与の実態 第5表「職種別職員の平均給与額」
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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