更新日: 2023.10.10 セカンドライフ

老後は「賃貸」を借りにくいって本当? 高齢者でも賃貸契約しやすくする方法4選

執筆者 : 齋藤彩

老後は「賃貸」を借りにくいって本当? 高齢者でも賃貸契約しやすくする方法4選
「子どもが自立して家を出たので自宅を売却し、コンパクトな部屋を借りたい」「同じ場所に定住したくないからずっと賃貸住宅にしたい」などの理由で、高齢になっても賃貸住宅を希望する人もいるかと思います。しかし、高齢者で賃貸住宅を借りることはハードルが高いのが現実です。
 
本記事では、高齢者で賃貸住宅が借りにくい理由と、高齢者でも賃貸契約しやすくする方法を4つ解説します。

高齢者が賃貸住宅を借りにくい理由

高齢者が賃貸住宅を借りにくい理由は3つあります。
 

金銭面の問題

一般的に高齢者は、定年退職し年金生活が始まると収入も減り、家賃を支払う能力が低いと見なされやすくなります。十分な貯蓄があるなど、定期的に家賃を支払う能力があると判断されれば良いですが、貯蓄を切り崩しながら生活をしているような場合は大家も不安になり、家賃滞納リスクを回避するため入居を断る可能性が高まります。
 

健康面の問題

高齢になると足腰も弱くなり、階段からの転落や転倒などの事故のリスクが高まります。また、若い人と比較して、何かしらの病気を抱えている可能性も高いでしょう。入居時は日常生活に問題なくても、数年たつと体調に変化があることも少なくありません。
 
入居していた高齢者に孤独死や不慮の死があり特殊清掃が必要となると、一定期間は「事故物件」として扱うことになります。「事故物件」は次の借り手が見つけにくく、大家を悩ませる問題です。
 
また、認知症になれば、徘徊(はいかい)などで近隣の人に迷惑をかけてしまうこともあるかもしれません。そのようなリスクを回避するため、健康面の観点からも高齢者の入居は渋られることがあります。
 

保証人の問題

連帯保証人をたてられない場合も入居審査時に不利になる可能性があります。
 
一般的に、賃貸契約の際に連帯保証人が必要になることが多いです。しかし、高齢者の場合は、すでに親族が亡くなっていたり疎遠になっていたりする人も多く、連帯保証人のあてがない人もいます。連帯保証人がいないと、家賃滞納時に家賃を回収できないリスクがあるため、入居を断る大家も多いのです。
 

高齢者でも賃貸契約をしやすくする方法4選

高齢者は若い人と比較して賃貸契約を結ぶハードルは高いですが、賃貸住宅に住めないわけではありません。ここからは高齢者でも賃貸契約をしやすくする方法を4つ解説します。
 

金銭面に問題がないことを伝える

家賃滞納のリスクから大家は高齢者の入居を渋る可能性があります。そのため、まずは金銭面に問題がないことを伝えることが重要です。仕事をしているのであれば定期的な収入があることを、仕事をしていなくとも十分な貯蓄がある場合は通帳のコピーなどを提出し、家賃滞納のリスクが低いことをきちんと伝えてみましょう。
 

身内に保証人になるようお願いする

連帯保証人がいると家賃を回収しやすくなるため、高齢者でも入居しやすくなるでしょう。現役世代の子どもや親戚がいる場合は、連帯保証人を頼んでみるのも1つの方法です。
 

家賃債務保証の活用

連帯保証人を誰にもお願いできない場合、一般財団法人高齢者住宅財団の「家賃債務保証」の活用も良いでしょう。契約時に保証料の支払いや一定条件をクリアする必要がありますが、高齢者の賃貸住宅希望者でも同財団が保証人となってくれます。
 

UR賃貸住宅を利用する

UR賃貸住宅とは、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)が管理する賃貸住宅で、全国に70万戸ほどあります。UR都市機構では、高齢者や障がい者が安心して暮らせるように地方公共団体や事業者と連携・協力しており、高齢者向け賃貸住宅や生活支援サービスを展開しています。
 
段差をほとんどなくし、要所に手すりを設置した「高齢者向け優良賃貸住宅」や、健康的な暮らしを目指すために散歩などができる環境を整えた「健康寿命サポート住宅」、生活支援員が入居者の生活を支援する「シルバー住宅」などがあります。
 
これらは高齢者向けの住宅であるため、高齢者でも入居しやすいでしょう。
 

まとめ

本記事では、高齢者で賃貸住宅が借りにくい理由と、高齢者でも賃貸契約をしやすくする方法を4つ解説しました。一般的に高齢者は賃貸契約のハードルが若い人と比べると上がります。しかし、賃貸契約をしやすくする方法もあります。老後のことも考えながら、住まいを検討しましょう。
 

出典

国土交通省 宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン
一般財団法人高齢者住宅財団 家賃債務保証
 
執筆者:齋藤彩
CFP

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