更新日: 2023.10.16 その他老後
老後、2000万円は本当に必要?あなたに必要な資産額とは
今回は、実際に老後に必要となる費用から考え、老後2000万円問題はなぜ2000万円なのか、老後を生き抜くためにどうするべきなのかについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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老後2000万円問題
老後2000万円問題は、金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書で、「老後20〜30年間で約1300万〜2000万円が不足する」という内容の試算が示されたことで話題となりました。この試算を発端として、いかに老後の資産を形成するかという問題が検討されています。
現代は人生100年時代ともいわれており、報告書も時代に合わせて日本人の平均寿命から、定年退職後の平均余命を30年と仮定し算出しています。そんななかで退職金の給付額は減少傾向にあり、安心できる状況ではありません。各自が老後に備えて資産を形成する必要があるといえるでしょう。
なぜ2000万円なのか
総務省の調査に、家計調査というものがあります。これは家計の収入や支出、貯蓄や負債などに関して調査したものです。
今回のこの不足額の計算には公的年金などが収入の中心となる高齢夫婦のデータが使われており、食費、住居費、水道光熱費、生活費、医療費、娯楽費などを考慮すると月に約5.5万円が不足すると指摘されました。ここから5.5万円×12ヶ月×30年=1980万円、約2000万円が足りなくなるという結論にたどり着きます。
また、この2000万円は夫婦そろって死ぬまで健康に暮らすことを前提として計算されています。そのため、病気になったり介護が必要になったり、追加で発生する費用は含まれていません。追加発生の費用も考えると、ゆとりのある生活を送るには2000万円よりも多くの資産が必要といえるでしょう。
老後資金はライフスタイルに合わせて考える
一方でこの2000万円という数字ですが、あくまで一般的な数字をもとに計算されています。報告書にも、「あくまで平均の不足額から導き出したものであり、不足額はおのおのの収入・支出の状況やライフスタイルによって異なる」という旨が書かれています。
つまり自身の生活に合わせて計算することが大切です。娯楽費はあまり使わない、食費はそこまで使わない、という方もいるでしょうし、どこで誰と住むのか、ライフイベントはあと何回あるのかなど、ライフスタイルにあてはめて必要となりそうな金額を考えてみましょう。
老後を生き抜くためには支出を減らすべき?
必要な金額を考えたら、次はその金額をどうやって用意するかも考えないといけません。老後資金の準備のためにできることとして、支出を減らすことと収入を増やすことが挙げられます。
支出を減らす場合、まずは家計を見直してみましょう。例えば、食費は一般的に支出の25%が適正水準といわれています。家計を見直したときに食費が25%を超えていれば、外食をしすぎていないか、無駄なものを買っていないか、見直す必要があります。
また、固定費も見直し対象になります。特に通信料や保険料は、使わないオプションがついていたり、不要な特約がついていたりと必要以上に支払っている場合もあるため注意が必要です。
老後を生き抜くためには収入を増やすべき?
とはいえ、支出を減らすにも限界はあります。ゆとりある生活をするためには、収入を増やす必要があります。収入を増やす方法は主に2つです。
収入を得る選択肢を増やす
例えば公的年金だけでなく、自身で加入する個人年金保険も検討してみましょう。個人年金保険のなかでも終身年金保険を受け取れるようにすれば、生きている限り一定の金額を受け取り続けることができ、存命の間に手持ちの資金が底をつくことはありません。
資産運用
もし今、手もとにまとまった資金がいくらかあるのならば、その一部を運用してみるのもいいでしょう。預貯金で置いておいても低金利でまったくといっていいほど増えず、株式投資や投資信託に回したほうが大きなリターンが期待できます。
まとめ
もし現在は資金がないのであれば、自身の収入から少しずつ積み立てて資産形成を試みるという方法も選択肢の一つです。1回の金額は少額でも、長く続けることで大きな資産形成が可能になります。
出典
総務省 家計調査報告-2023年(令和5年)6月分及び4~6月期平均
金融庁 金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第21回)議事次第 資料2 厚生労働省提出資料(24ページ)
三井住友信託銀行 老後資金はいくら必要? 今から考える準備のポイント
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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