更新日: 2023.10.17 定年・退職
定年退職金をもらったら働かずに暮らしたい。年金は月あたりいくら必要ですか?
本記事では、老後生活で必要な資金の目安や具体的な試算方法を紹介するとともに、老後に働かずに暮らすには年金額がいくらくらい必要なのかを解説します。老後に向けた資金づくりの参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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定年退職後の生活費がどのくらいかかるか把握しよう
まずは、年金がいくらあれば働かずに暮らせるかを知るために、定年退職後の生活費をイメージしてみましょう。総務省「家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、二人以上の世帯のうち65歳以上の無職世帯の家計収支は図表1のとおりです。
【図表1】
年齢 | 可処分所得 | 消費支出 | 収支 |
---|---|---|---|
65~69歳 | 23万7121円 | 28万10円 | △4万2889円 |
70~74歳 | 22万4737円 | 24万9589円 | △2万4852円 |
75歳以上 | 20万5544円 | 22万810円 | △1万5266円 |
総務省「家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」より筆者作成
年金だけではすべての年代で赤字収支であり、老後に向けた貯蓄の必要性がうかがえます。また、公益財団法人 生命保険文化センター「生活保障に関する調査」では、夫婦二人の老後のゆとりある老後生活費は37万9000円という結果も出ています。
自身の世帯ではどの程度の生活費が必要か、現在の生活費や希望する老後の余暇の過ごし方などをもとに、具体的な金額をシミュレーションしてみましょう。
退職金の見込みを事前に確認しよう
次に、老後資金に充てられる定年退職金の金額を把握しましょう。
厚生労働省「令和3年賃金事情等総合調査」によると、満勤勤続者(男性)の退職金の平均額は、大学卒:2230万4000円、短大・高専卒:2155万3000円、高校卒:2017万6000円となっています。ただしこの金額は、資本金5億円以上、労働者1000人以上の大会社を対象に調査したものです。
東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」によると、東京都の中小企業の定年時のモデル退職金額は大学卒:1091万8000円、短大・高専卒:983万2000円、高校卒:994万円であり、大企業より大幅に低い水準です。
退職金額は企業の規模や学歴、業種などにより大きく左右されます。自分の勤務先の退職金制度の実態を確認し、ある程度正確な見込み額を把握しておきましょう。
受け取れる年金額を確認しよう
仮に、老後の毎月の生活費が30万円必要だとすると、65~95歳までの30年間では1億800万円(30万円×12ヶ月×30年)を消費する計算です。退職金が2000万円出た場合、残りの8800万円(1億800万円-2000万円)を貯蓄と年金でまかなわなければなりません。
8800万円を30年で割ると、年間約300万円、1ヶ月あたり25万円が必要です。毎月25万円を年金から支出できるかどうか、将来もらえる年金額をねんきん定期便や公的年金シミュレーターなどで試算してみましょう。
ちなみに、日本年金機構が公開している標準的な夫婦二人世帯の年金額は約22万円(※令和5年度)のため、25万円を年金だけでまかなうには現役時代に標準(平均標準報酬43万9000円)以上の収入が必要です。
例えば、退職金以外の貯蓄が1000万円ある場合は、65~95歳までの30年間で毎年260万円((8800万円-1000万円)÷30年)を年金で補えばよくなります。つまり、標準的な夫婦二人世帯の年金額であるの毎月22万円の年金額があれば家計を回せる計算となります。
老後の生活資金は退職金と年金+αの資金づくりを検討しよう
定年退職金を2000万円受け取ったとしても、老後生活が30年続けば、1ヶ月あたり5万円あまりの資金にしかなりません。不足する資金を年金だけでまかなおうとすると、平均的な生活費でも20万円前後、家計にゆとりを持たせたいなら25~30万円以上の額が必要です。
現役時代に標準以上の収入でなければ25万円以上の年金をもらうのは難しく、退職金以外の老後資金の準備は不可欠です。定年後に働かず生活するには、老後を迎える前に、貯蓄や資産運用など積極的な資金づくりを検討しましょう。
出典
総務省 家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要
公益財団法人生命保険文化センター 生活保障に関する調査
東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)
厚生労働省中央労働委員会 令和3年度 賃金事情等総合調査
日本年金機構 大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています
厚生労働省 公的年金シミュレーター
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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