更新日: 2023.10.18 セカンドライフ

老後は賃貸が借りられないって本当? 終の棲家は何歳までに決めておくべき?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

老後は賃貸が借りられないって本当? 終の棲家は何歳までに決めておくべき?
「高齢者は賃貸物件を借りにくくなる」という話を、耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。特に年齢や不安定な収入がネックとなりやすく、入居を断られるケースは珍しくありません。
 
そこで本記事では、なぜ高齢者は入居審査に通りにくくなるのか、賃貸物件探しにおいて実践したい対策とともにご紹介します。
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なぜ高齢者は入居審査が通りにくい?

賃貸物件の入居審査では、家賃の支払い能力や連帯保証人の有無などが重視されます。では、高齢者はどのような背景から賃貸物件を借りにくいのでしょうか。
 

健康面(年齢)の問題

入居審査に通りにくくなる理由として、健康面の問題が挙げられます。どんなに健康な人でも、加齢にともない病気のリスクは高まります。例えば、厚生労働省の「令和2年(2020)患者調査の概況」によると、30代の場合、受療率(外来)は約3%です。しかし65歳以上の高齢者では10%を超え、持病を抱える人が増えていることが分かります。
 
若い世代と比較して病気による孤独死のリスクが高くなるため、高齢者の入居を敬遠するオーナーは少なくありません。
 

金銭面の問題

年齢に関係なく、家賃の支払い能力は入居審査で重視されるポイントです。高齢者の場合、主な収入が年金のみで貯蓄を切り崩している方も多いことでしょう。年金収入しかないことはオーナーも分かっているため、家賃滞納が発生しても未払い分を回収することは困難だろうと考えます。
 
金銭面のリスクはオーナーの収入に直結することから、年金暮らしの高齢者は入居を断られやすい傾向にあります。
 

連帯保証人がみつからない

通常の賃貸物件は、入居にあたって連帯保証人の設定を求められます。連帯保証人は、親や兄弟、子どもといった親族に頼むケースが多いでしょう。しかし高齢者の場合、身内もすでに他界している・高齢であることが多いのではないでしょうか。
 
現役世代の子どもがいたとしても、遠方に住んでいれば万が一のときに迅速な対応が難しいと判断されてしまうおそれがあります。
 

賃貸物件を借りるときの対策

株式会社R65(東京都杉並区)が実施した「高齢者の住宅難民問題に関する実態調査(2023年)」(2023年6月、全国の65歳を超えて賃貸住宅のお部屋探し経験がある方500名対象)によると、65歳以上の4人に1人(26.8%)が年齢を理由に入居を断られたことがあると回答しています。そのため、終の棲家を決めるタイミングとしては65歳が一区切りといえるでしょう。
 
しかし実際は、65歳を超えてからお部屋探しをしたい場合もあるのではないでしょうか。そこで、高齢者が入居審査に通過するためにできる対策を確認していきましょう。
 

近くに住む親族を連帯保証人にする

連帯保証人になる親族が近くに住んでいれば、万が一のときにでも迅速な対応が期待できます。孤立していないことをアピールすれば、健康面に不安のある高齢者でも入居審査で考慮してもらえるでしょう。遠方に住む子どもしか親族がいない場合でも、高齢者見守りサービスを活用するといった対策も挙げられます。
 

金銭面の問題がないことをアピールする

年金収入しかなくても、十分な貯蓄があれば家賃支払い能力の証明になります。一般的に、家賃2年分の貯蓄があると入居審査に通りやすくなるとされています。家賃5万円の賃貸物件なら120万円以上の貯金が目安です。貯蓄額が多ければ多いほど、入居審査でも有利に働くでしょう。
 

シニア向けの物件を選ぶ

賃貸物件のなかには、高齢者をターゲットにしたシニア向けの物件もあります。例えば、高齢者向け優良賃貸住宅に入居できるのは、60歳以上の単身者もしくは夫婦です。家賃の支払い能力があり自立した生活を送れるなら、年齢を理由に入居を断られる可能性は低いでしょう。
 
そもそも一般的な賃貸物件は、入居できたとしても高齢者に優しい設計ばかりではない点に注意が必要です。一方で高齢者向け優良賃貸住宅なら、各所に手すりがある、段差が解消されバリアフリー仕様になっているなど、高齢者が暮らしやすい環境になっているもの魅力です。
 

まとめ

健康面などの理由で入居審査が通りにくい高齢者でも、対策を打てば賃貸物件を借りることは可能です。
 
親族に協力を仰いだり、高齢者向け優良賃貸住宅のようなシニア向け物件を選んだりする方法もあるため、お部屋探しの参考にしてみてはいかがでしょうか。
 

出典

厚生労働省 令和2年(2020)患者調査の概況 2 受療率
株式会社R65 高齢者の住宅難民問題に関する実態調査(2023年)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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