遠方に住む高齢の親の財産管理が心配です。成年後見人にどこまでお願いできるのでしょうか?
配信日: 2023.10.20
では、成年後見人にどこまでお願いすることができるのでしょうか。遠方に住む高齢の親の財産管理が心配な人を例にして、成年後見人の仕事内容を解説します。あわせて、成年後見制度の概要も紹介していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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成年後見制度とは?
一口に成年後見制度といっても「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つに分かれます。法定後見制度とは、本人の判断能力が不充分になった場合に、家庭裁判所が成年後見人を選任し、法的に本人をサポートする制度です。この制度を利用するためには、本人や配偶者、四親等内の親族などが家庭裁判所に後見人の開始を申し立てる必要があります。
一方、任意後見制度とは、本人が充分な判断能力が持っているときに、事前に任意後見人を決めておく制度です。その際、任意後見人にどのような仕事をしてもらうのか、その内容を決めておきます。
そして、本人の判断能力が不充分になったときに、任意後見人があらかじめ決めておいた仕事内容を行います。法定後見人と違い、家庭裁判所が任意後見人を選任することはありません。任意後見人の選任は自ら行います。
そして、本人と任意後見人となる人との間で、任意後見契約を結びます。その際の契約書は公証人が作成する公正証書でなければ、有効にはなりません。
任意後見制度は、本人の判断能力が不充分になったとき、家庭裁判所に対して任意後見監督人の選任を申し立てることになります。任意後見監督人とは、契約したとおりに任意後見人が仕事をしているかを監督する人のことです。
任意後見監督人は、家庭裁判所が選任します。任意後見監督人は、任意後見人を監督するという仕事上、本人や任意後見人の親族などは選ばれません。任意後見監督人の多くは、第三者である弁護士や司法書士、社会福祉士が選ばれます。
成年後見人の職務内容とは?
成年後見人の仕事内容は「本人の不動産や預貯金などの財産を管理すること」「本人の希望や身体・生活の状態に応じて福祉サービスや医療につなぐこと(契約の終結、医療費の支払いなど)」です。実際に食事の世話や介護などを行うことは成年後見人の職務外です。
加えて、上記2つを適切に行っていることを家庭裁判所に報告することも、成年後見人の仕事です。これらの仕事を成年後見人がきちんと行っているかどうかは、家庭裁判所または成年後見監督人が監督します。
遠方に住む高齢の親の財産管理が心配な場合、成年後見人に対して親の不動産や預貯金などの財産管理を任せることが可能です。例えば、高齢親が詐欺にだまされた場合、成年後見人はその契約をとり消すことができます。
成年後見人には財産管理を任せることができる
成年後見制度とは、認知症などによって判断能力が低下している人を支援するための制度です。成年後見人には「本人の不動産や預貯金などの財産を管理すること」「本人の希望や身体・生活の状態に応じて福祉サービスや医療につなぐこと」の仕事をお願いすることができます。高齢の親の財産管理も行ってもらうことができ、詐欺などにだまされた場合、契約をとり消してもらうことも可能です。
出典
厚生労働省 成年後見制度
厚生労働省 成年後見人等のみなさまへ 成年後見人等の選任と役割
法務省 成年後見制度・成年後見登記制度 Q1~Q2 「成年後見制度について」
法務省 成年後見制度・成年後見登記制度 Q16~Q20 「任意後見制度について」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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