更新日: 2019.01.07 セカンドライフ

憧れだったはずの【専業主婦】は減少傾向 理由はやっぱり老後資金の確保?

憧れだったはずの【専業主婦】は減少傾向 理由はやっぱり老後資金の確保?
女性の中には「専業主婦」に憧れを持っている方もいるのではないでしょうか。
 
しかし、今や専業主婦世帯は減少し、夫・妻ともに働く「共働き世帯」が珍しいことではなくなりました。
 
専業主婦が減少している原因はどこにあるのでしょうか。「不景気だからでしょう?」と言う方もいるかと思いますが、実はそれだけではありません。
 
調査をすすめるにあたって、専業主婦に対するマイナスのイメージや、世間体などの「意識の問題」が浮き彫りになりました。
 
FINANCIAL FIELD編集部

Text:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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専業主婦は減少傾向にある。共働きの理由は「老後資金」の確保?

労働政策研究・研修機構の調べによると、1980年には1100万世帯以上あった専業主婦世帯が、昨年には641万世帯までに減っていることがわかりました。
 
主な原因は、「収入」「意識の変化」の2つにあると考えられます。
 
まず、収入ですが、総務省統計局による家計調査(平成29年)をみると、夫のみが働いている世帯、夫婦共働き世帯の収入には約10万円の違いがあることがわかります。
 

■夫のみ働いている世帯
・実収入:50万2839円
・可処分所得:40万4644円
・消費支出:30万3690円
 
■共働き世帯
・実収入:60万8491円
・可処分所得:49万7037円
・消費支出:33万5859円

 
仮に47歳~65歳まで同じような収支で働き続けた場合で計算すると、約1300万円の貯蓄の差が生まれることになります。(世帯主年齢から18年間での計算)
 
老後に対して不安を感じている人も多い中で、「貯蓄」は重要です。特に子育て世帯は、子供の教育費を賄うのに手いっぱいで、自分たちの老後資金まで手が回らないことも少なくありません。しかし、共働きであれば教育資金とともに、自分たちの老後資金も蓄えられる場合があります。
 
老後の不安を解消する目的もあり、ダブルインカムで少しでも収入を増やしているのかもしれません。
 

社会の変化で「働く女性の活躍」が推進され、専業主婦は減少した

また、働く女性が増えているのは「意識の変化」も大きな要因と思われます。
 
内閣府男女共同参画局の発表によると、女性の就業率は平成28年に過去最高を記録しています。
 
その背景は、昭和60年にさかのぼります。当時「男女雇用機会均等法」が制定され、女性の残業や深夜業の規制が大幅に解除されました。そこから女性の就業率は右肩上がりに伸び続け、今に至ります。その間にも、「男女雇用機会均等法」の改正や「働き方改革」などにより、女性が働きやすい環境が作られてきました。
 
過去には、企業が女性を採用する際に、結婚や出産で退社することを前提に雇うことも少なくありませんでした。しかし、今では産休・育休制度の充実によって、出産後の職場復帰がしやすくなっています。
 
また、「女性が職業を持つことに対する意識の変化」の項目をみてみると、平成4年には「子供が大きくなったら再び職業を持つ方がよい」 と答えた割合が男性で39.2%、女性で45.4%と、最も多くなりました。しかし、その後この回答が占める割合は徐々に減り、「子供ができても,ずっと職業を続ける方がよい」の回答が増えていきました。平成28年には「子供ができても,ずっと職業を続ける方がよい」が男性で52.9%、女性で55.3%と最も多い回答となり、調査以来はじめて全体の半数を上回りました。
 
25年程度の間に、女性が職業を持つことに対する意識が、社会全体で大きく変化したことがわかります。働く女性が増えたことで、専業主婦は減っていったと考えられます。
 

「専業主婦でいることに後ろめたさを感じたことがある?」約50%が「ある」「少しはある」

女性の社会進出は確実に増えており、今後も拡大するでしょう。そんな中、調査機関「しゅふJOB総研」が「専業主婦への罪悪感」をテーマに、働く主婦にアンケート調査を行いました。
 
すると、専業主婦・主夫だったことが「ある」と回答した人は81.6%。また、「専業主婦・主夫であることに、後ろめたさや罪悪感のようなものを覚えたことがありますか?」という質問に対しては、「ある」「少しはある」のいずれかを回答した人が56.6%と、全体の半数以上を占めました。
 
結果として、半数以上が専業主婦でいることに後ろめたさを感じていたことがわかりました。続いて、回答者のフリーコメントをみてみましょう。
 
「後ろめたさや罪悪感のようなものを覚えたことが「ある」「少しある」と答えた理由」
 

・夫ばかりが金銭的な負担を負っているから(40代:今は働いていない)
・夫に、人の稼いだ金で楽をしていると言われた(40代:契約社員)
・世間から取り残されている感じ(40代:今は働いていない)

 
「後ろめたさや罪悪感のようなものを覚えたことが「ない」と答えた理由」
 

・主婦も立派な仕事なので(40代:派遣社員)
・子育ても家事も間接的に収入に繋がっているから(40代:今は働いていない)
・一日中子供の面倒をみるより、外で働いている方が楽だとずっと思っていた(40代:契約社員)

 
コメントをみると、専業主婦が後ろめたさを感じる理由として、夫に対する引け目や、世間体の問題などが大きいように感じられます。
 

専業主婦の年収は約304万円。女性の平均給与を上回る

「内閣府経済社会総合研究所国民経済計算部」が公表している「 家事活動等の評価について -2011 年データによる再推計- 」によると、専業主婦の労働貨幣評価額は年齢平均で 304.1 万円、有業有配偶の無償労働評価額は 223.4 万円となっています。
 
これは、国税庁の「民間給与実態統計調査」に記載されている、女性の平均給与280 万円を上回る結果です。
 
もちろん、専業主婦にもいろいろな方がいますが、家事や家計の管理を一生懸命している専業主婦の方は、立派な「仕事」として誇りを持っていいのではないでしょうか。
 

夫婦、家族はチームと考え、役割を分担しながら生活することが大事

女性の社会進出は今後ますます拡大するでしょう。それと同時に、専業主婦はさらに減っていくと思われます。
 
「女性が活躍する社会」は素晴らしいものですが、専業主婦が「悪」になってはいけません。
 
働く主婦の中には、家計のために働いている人もいれば、働くことが好きで働いている人もいます。同じように、家族をサポートするため、持病がある、親の介護をしなければならない、夫の意向で…など、専業主婦を選択する理由もさまざまです。
 
家庭の数だけさまざまな事情があるのですから、「共働き」「専業主婦」などとひとまとめにするのはナンセンスではないでしょうか。「働く」ということは、外に出てお金を稼ぐことだけではありません。家計を守り、家族にとって快適な環境を保つことも立派な仕事です。
 
出典:
独立行政法人労働政策研究・研修機構「専業主婦世帯と共働き世帯 1980年~2017年」
総務省統計局による家計調査年報( 平成29年 )
厚生労働省「男女雇用機会均等法の変遷」
内閣府男女共同参画局「第1節 働く女性の活躍の現状と課題」
PRTIMES「専業主婦であることに、後ろめたさや罪悪感はあるか?働く主婦に意識調査。罪悪感覚える 56.6%」
 
Text:FINANCIAL FIELD編集部

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