更新日: 2023.10.22 セカンドライフ
父は自営業だったので、年金が「月6万円」ほどらしいです。持ち家ならそれでも暮らしていけるのでしょうか? 心配ですが仕送りをする余裕はありません…
一方で「持ち家があるから」といって楽観的に考えすぎるのも、老後不安につながりかねません。そこで本記事では、自営業者だった父が持ち家に住んで年金を受給すると想定し、老後の見通しや子どもができる対応について説明します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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自営業者が受け取れる年金は?
年金の受給額は誰でも同じというわけではありません。さまざまな要因で差は生まれますが、総額に特に大きな影響を与えるのは厚生年金保険の加入状況です。将来もらえる公的年金は、老齢基礎年金と老齢厚生年金に大きく分けられます。
一般的に、会社員や公務員などは厚生年金保険の被保険者で、国民年金と厚生年金の2つをあわせて受給可能です。両方の支給合計額を「厚生年金」として記載しているケースも見受けられます。
それに対して、厚生年金保険に加入していない自営業者などは、基本的に老齢基礎年金しか受給できません。物価の変動などを踏まえて老齢基礎年金の金額は毎年決定されます。令和5年度の満額は月6万6250円で、生年月日が昭和31年4月1日以前の人のみ月6万6050円です。
老後の平均支出はどれくらい?
年金だけで生活できるか否かを判断したいなら、老後の支出に関する見通しも必要です。その参考になるデータとして、65歳以上単身世帯の平均支出が挙げられます。総務省は令和4年の家計収支の傾向をまとめ、家計調査年報という資料として発表しました。
この資料には消費支出の平均も掲載されており、同世帯の金額は月14万3139円となっています。一方、税金や社会保険料といった非消費支出の平均は1万2356円なので、参考にする平均支出はこれらを合算した15万5495円です。
なお、消費支出の内訳のうち、上位を占めているのは 3万7485円の食費や1万7893円の交際費です。この後に1万4704円の水道光熱費などが続くのですが、月の固定費用の中でも高額になりがちな住居費は1万2746円と特に高いわけではありません。
なぜ住居費がそんなに安いのかというと、持ち家で暮らす人のデータも含めて平均額を算出しているからです。賃貸暮らしの人だけに限定すると月の支出額はもっと大きくなるでしょう。
生活は厳しい可能性が高い! 実情の把握が必要
満額の老齢基礎年金を受給できても、平均支出には遠く及ばないのが実情です。令和5年度の満額である月6万6250円を受給すると仮定した場合、1ヶ月の収支は「15万5495円-6万6250円=8万9245円」のマイナスになります。
よって、受給する年金だけで父が暮らすのはかなり難しいと言わざるを得ません。持ち家があって住居費がかからないとしても、収支が赤字になるという見通しは同じです。ただし、ライフスタイルや資産状況によっては、生活していける見込みもあります。
例えば、節約が得意で貯蓄に余裕があれば、それで赤字を補えるかもしれません。個人年金などに加入していれば、その受給額の分だけ収支は上向きになります。父の現状を踏まえたうえで対策を考える必要があるため、援助が厳しい場合でもしっかりと連絡をとって生活状況を把握することが望ましいです。
安心につながる対策を親子が協力して考えよう
老齢基礎年金しか受け取れないなら、厚生年金保険の被保険者よりも、老後資金について慎重に検討しなければならないといえそうです。
65歳以上単身世帯の平均支出を参考にすると、満額受給や持ち家の場合でも足りない可能性が高いということになります。もし親がそのような状況になりそうなら、実情を正しく把握してから一緒に対策を考えましょう。
出典
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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