更新日: 2023.10.26 定年・退職

退職金「1500万円」は少ない? 平均額や「手取り」についても解説

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

退職金「1500万円」は少ない? 平均額や「手取り」についても解説
定年後の退職金を老後の生活費やローンの返済に充てることを考えている人も多いと思います。そこで気になるのが退職金の相場や手取りがいくらになるのかというところです。
 
本記事では、退職金の平均について紹介し、退職金が1500万円だった場合の手取りがいくらになるのかについて解説していきます。
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退職金の平均は約2200万円

日本経済団体連合会の最新の調査によると、2021年度の退職金の平均は「管理・事務・技術労働者(総合職)の場合、大学卒業者で2243万2000円、高校卒業者で1953万円です。大学卒業者は勤続年数が38年、高校卒業者は勤続年数42年で退職した場合の金額となっています。
 
退職金は学歴だけでなく勤続年数で金額が大きく異なり、大学卒業者で勤続年数25年だと1209万円、勤続年数30年だと1649万1000円です。5年で約400万円の差になっていることがわかります。また、「生産・現場労働者」の場合は高校卒業者で1782万円です。
 
退職金が1500万円の場合は平均よりも少ないといえるでしょう。しかし、学歴や勤続年数によっては妥当な金額の可能性もあります。
 

退職金の手取り額

退職金の受け取りにも所得税や住民税がかかるため、手取り額は減ってしまうので注意してください。ただ、退職金には控除があるので、控除を差し引いた金額を対象に税金が決まります。
 
退職金の控除として挙げられるのが退職所得控除です。退職所得控除は勤続年数によって計算式が異なります。具体的には勤続年数が20年以下の場合は「40万円×勤続年数」、20年を超える場合は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」です。
 
退職金から退職所得控除を引いた金額の半分が課税対象の金額になり、税額表にあてはめることで税率と控除金額が決まります。これに加えて復興特別所得税がかかります。復興特別所得税は所得税に2.1%かけたものです。
 
また、課税対象の所得金額に10%の税率をかけた住民税もかかります。
 

退職金が1500万円だった場合の手取り額

退職金が1500万円で勤続年数が15年だった場合は、40万円×15年で600万円が退職所得控除です。そのため、1500万円から600万円を引き、その半分の金額450万円が課税対象の金額となります。
 
課税対象額が450万円の場合は、450万円×税率20%-控除額42万7500円で計算し、47万2500円が所得税です。さらに復興特別所得税が9922円、住民税が4万7250円かかります。合計で52万9672円が退職金から引かれる金額です。手取り額は1447万328円になります。
 
これに対して退職金が1500万円で勤続年数が38年だった場合は、退職所得控除が2060万円になります。そのため、税金はかかりません。
 
勤続年数が長いほど退職所得控除は多く受けられます。まずは勤続年数が何年になるのかを確認してみましょう。
 

控除の動向を注視しておきましょう

退職金は定年後の生活やローンの返済などに使うことを考えている人も多いと思いますが、額面通りの金額にならないこともあるので注意が必要です。もっとも、退職金を一時金で受け取る場合は退職所得控除があるので、大きく手取りが減ってしまうことは少ないとも言えます。
 
退職所得控除は勤続年数が長いほど優遇されるので自身の勤続年数を確認してみてください。最近は転職する人が増えているので退職所得控除も今後見直しがあるかもしれません。退職所得控除も含めた控除の動向を注視しておきましょう。
 

出典

日本経済団体連合会 2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
国税庁 退職金と税
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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