更新日: 2023.11.06 その他老後
65歳を過ぎてもパートで働き続ければ、「2000万円」の貯金がなくても老後は生活していけるのか?
そこで今回は、老後の生活にいくら必要なのか、貯金がなくても年金とパート代でやりくりできるのかについて解説します。老後のお金について不安な方は、ぜひ参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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老後の生活にはいくら必要なのか?
老後に2000万円が必要といわれる理由は、年金などの社会保障給付費だけでは生活費が不足してしまうからです。
総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2022年」による、65歳以上の夫婦のみ無職世帯における家計収支を見てみましょう。
まずは収入です。年金を含む社会保障給付は平均22万418円であり、収入全体の89.5%を占めます。社会保障給付以外の収入が10.5%ほどあり、実収入はあわせて24万6237円です。
次は支出を見てみましょう。食費や水道光熱費など、生活に必要な支出(消費支出)は平均23万6696円であり、税金や社会保険料などの避けられない支出(非消費支出)が3万1812円とのことです。消費支出と非消費支出を合計すると、26万8508円になります。
仮に収入を社会保障給付のみとした場合、収入と支出の差額は4万8090円であり、この分を自分たちの資金でまかなう必要があるといえるでしょう。
65歳以上の平均給与
厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」によると、年齢階層別の年間平均賃金(男女計)は表1の通りです。
表1
年齢階級 | 正社員・正職員 | 正社員・正職員以外 |
---|---|---|
65~69歳 | 29万6600円 | 22万900円 |
70歳以上 | 27万2900円 | 20万円 |
※厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」を基に筆者作成
正社員か否かで7万円ほどの差が見られます。70歳以上になっても月に20万円ほどの収入があれば、余裕のある生活が送れるだけでなく、働けなくなったときのための貯金も可能です。
ただし表1の数字は、勤務時間や日数によっても大きく変わります。会社で一定の時間を働けば、表1の賃金が収入として入ってきますが、パートなどで短時間だけ働く場合は、月の収入は少なくなることが考えられるでしょう。
老後にパートを続ける場合、何歳まで働けばよいのか?
では、老後も働きながら生活を続ける場合、何歳まで働けばよいのかを考えてみましょう。
仮に表1の正社員・正職員以外の平均賃金22万900円(65~69歳)を毎月稼いだ場合、月の不足分4万8090円を差し引いて、17万2810円残ります。残った金額を全て貯金すると、1年間でたまる金額は207万3720円です。
月の不足分を年間にすると57万7080円なので、207万3720円あればおよそ3年半生活できる計算になります。65歳から70歳まで働いたとすると、利息を考えなければ1036万8600円たまり、その後約18年は、月の不足分を補いつつ生活できるということです。
しかしこれは月に22万900円を稼ぎ続けた場合ですので、月の収入が減るほど、1年間に貯金できる金額が少なくなります。さらにもらえる年金や、その人のライフスタイルによっても大きく変わるため、一概にいつまで働けば安心とはいいきれません。老後の収入や現在の貯蓄に合わせて、ライフプランを立てるとよいでしょう。
70歳までパートで働けば約18年、正社員ならばより長く生活が可能
老後も仕事を続ける場合には、年金などの社会保障給付と合わせて収入が増えるため、余裕のある暮らしが送れるでしょう。今回の計算によると、正社員以外(パートなど)であれば約18年、正社員で収入が増えれば、より長くお金に困らずに生活できます。
働いている間は、自分たちの資金を使わなくてもある程度生活できますが、働けなくなった場合や、医療費・介護費が必要になった場合に、生活が厳しくなってしまうおそれがあります。
万が一のことを考えて、老後資金は余裕を持って準備しておくと安心です。
出典
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年) 結果の概要 Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4>65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯)
図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支-2022年-(18ページ)
表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支-2022年-(19ページ)
厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査の概況 1一般労働者の賃金(6)雇用形態別にみた賃金 第6-1表 雇用形態、性、年齢階級別賃金、対前年増減率及び雇用形態間賃金格差(12ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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