更新日: 2023.11.17 セカンドライフ

定年後に月謝2万円の「フラダンス」を始める予定です。年金は月額11万円なのですが、生活できますか?

執筆者 : 柘植輝

定年後に月謝2万円の「フラダンス」を始める予定です。年金は月額11万円なのですが、生活できますか?
定年退職を迎えて自由な時間が増えたとき、その時間を趣味に使いたいと考える人もいるでしょう。先日も「定年後に月額11万円の年金収入だけで生活しながら、趣味で月謝2万円のフラダンス教室に通うことはできそうですか?」という相談が、単身者の方からありました。
 
今回はこの相談を例に、老後の生活費と、趣味にかける支出について考えてみます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

月額11万円の年金だけで生活するのは厳しい

まず老後に、単身者が月額11万円の年金収入だけで、生活していくことはできるのかを考えていきましょう。
 
総務省統計局の「家計調査年報(令和4年)」によれば、65歳以上の単身無職世帯での1ヶ月当たりの平均収入は13万4915円です。対して、支出(消費支出と非消費支出の合計)は15万5495円となっており、毎月2万円程度の不足が生じています。月額11万円の年金収入だけの場合、不足分は4万5000円程度になります。
 
また消費支出だけに限れば、1ヶ月の平均は14万3139円となり、そのうち趣味にかけるお金に該当する「教養娯楽」が占める割合は全体の10.1%で、金額にすると1万4000円程度です。
 
そもそも、月額11万円の年金収入のみでは生活が厳しくなることが予想されるため、趣味の習い事に毎月2万円を使うことは、現実的ではないといえます。
 
ただし、配偶者や子どもが生計を維持しているケースなど、生活費について今すぐ心配をする必要がない場合は、2万円程度であれば、趣味に回しても大きな問題とはならないでしょう。
 

フラダンス教室の月謝で2万円は高い?

老後に習い事を始めること自体は悪くはありません。特に単身者の場合は、定年後は人と会う機会や外出の頻度が少なくなることもあり、社会とのつながりを保つだけでなく、体力を維持するための適度な運動としても、老後に始めるには、フラダンスはちょうどいい趣味といえます
 
とはいえ、月額11万円の年金からねん出することを考えると、やはり2万円の月謝は高いといわざるを得ないでしょう。フラダンス教室であれば、5000円から1万円以内の月謝で通える教室も、探せば見つかるはずです。
 
友人と一緒に通いたいとか、特定の先生に教わりたい、近場にほかに教室がないといった事情があれば別ですが、特にこだわりがなければ、なるべく月謝の安いところを探したほうが、少ない負担で長く通い続けることができます。
 

老後の生活を維持しながら2万円の月謝を払っていくには?

老後の趣味にかける支出として、毎月2万円がどうしても必要という場合は、老後資金について確認してみてください。年金収入だけでは生活が厳しくても、不足分を十分にカバーできるだけの老後資金があれば、問題はないからです。
 
不足する生活費をカバーして、さらに趣味などに使う分を上乗せするために、例えば毎月10万円を貯金から切り崩すという場合、必要な老後資金は年間で120万円となり、老後の生活を65歳から90歳までの25年間と仮定すると、総額では3000万円になります。
 
上記は一例ですが、もし老後資金が十分ではないという場合は、生活費の不足と趣味の支出をまかなうために、老後も就労を続けるほうが現実的です。
 
統計による平均的な支出を基にすると、月額11万円の年金収入だけでの生活では「教養娯楽」の支出を含めて毎月5万円近くが不足することになります。また、趣味の月謝が2万円であり、支出の割合としては多めになることを考えると、年金以外に毎月6万円程度の収入を、就労で得る必要があります。
 

まとめ

定年後、月額11万円の年金のみで生活する予定の場合、趣味の習い事の月謝で2万円は、大き過ぎる支出といえます。
 
統計上の平均的な支出を参考にする限り、不足分をまかなえるだけの老後資金が用意できていないときは、老後も就労して、まずは生活を安定させて、そのうえで余裕のある範囲で、趣味にお金をかけるべきでしょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年) 家計の概要 図2 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2022年- (18ページ)
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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