退職金制度がない会社は何%?「退職金なし」なら、60歳以降は問答無用で「働く」しかないのか

配信日: 2023.12.16 更新日: 2023.12.18

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退職金制度がない会社は何%?「退職金なし」なら、60歳以降は問答無用で「働く」しかないのか
「定年退職すれば退職金が支給される」というのは、当たり前のことではありません。中には、退職金が支給されない会社もあります。もし、退職金が支給されないとしたら、60歳以降も働くほかないのでしょうか。退職金と老後の生活について考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

24.8%の会社には退職金制度がない

厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によれば、退職金制度のある会社は74.9%にとどまっているようです。実におよそ24.8%の会社には、退職金制度が一切存在していないことになります。
 
さらに内訳を見ていくと、企業規模1000人以上の企業においては、全企業のうち90.1%に退職金制度が導入されていることが分かります。しかし、企業規模300人から999人の企業では88.8%、100人から299人の企業では84.7%、30人から99人の企業では70.1%となっています。
 
つまり、企業規模の大きい会社では、退職金の支給される企業の割合が高くなるけれど、小規模な会社ほど、退職金が支給されないという傾向にあります。
 
結局のところ、退職金を得られるかどうかは勤務先次第です。退職金の有無は、就業規則などの勤務先の賃金を決めている規程を確認すれば知ることができるため、気になるようであれば、確認してみるとよいでしょう。
 

退職金がないなら老後も働かなければならないのか

前出の「令和5年就労条件総合調査」によれば、大学・大学院卒業から20年以上勤務(管理・事務・技術職)しており、かつ、45歳以上の方が受け取る退職金は平均金額で1896万円となるようです。ここから、定年退職で得られる退職金は、老後の生活に大いに役立つであろうことが推測されます。
 
とはいえ、退職金がなければ、60歳以降も必ず働きつづけなければならないわけでもありません。十分な老後資金が用意されていれば、退職金がないからといって働きつづけなくても済みます。
 
例えば、老後2000万円の資金を必要とする方の場合で考えてみましょう。このような状況において、退職金が2000万円得られれば、老後にお金の心配をしなくても済みます。
 
では、退職金を得られなかった場合はどうでしょうか。この場合でも、必ずしも働かなければならないというわけではありません。就労せずとも、ほかの方法で老後資金をまかなうことができればよいのです。例えば、貯蓄や貯金などで2000万円の老後資金があるような場合です。
 
つまり、退職金の支給がない場合において、老後に働きつづけることを望まないようであれば、現役世代のうちから、老後に向けて準備をしておく必要があるということです。
 

退職金がない場合は、どのように老後に備えておくべき?

退職金がない場合は老後にかかる生活費を試算し、それに備えておく必要があります。具体的には、現在の生活費から老後のライフスタイルを想定して、老後の生活費を補えるように、現役世代のうちから準備していきます。
 
例えば、老後の生活費が夫婦で毎月平均25万円だと考えてみましょう。年金は夫婦で月々15万円を受け取れるとします。この状態で老後の生活を、60歳から90歳までの30年間送るとすれば、必要な生活費は9000万円です。
 
このうち、年金でまかなえるのは30年間で5400万円になりますので、残りの3600万円をなんらかの方法でまかなうことができれば、老後は働かずとも生活できるわけです。
具体的な備えとしては、預貯金や保険のほかに、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISAなどがあります。
 
とはいえ、退職金なしで老後の生活費を確保しようとすると、それ相応の金額が必要になります。60歳以降は働きたくないのであれば、定年前のできるだけ早い段階から、コツコツと備えておくことが必要です。
 

まとめ

退職金が支給されることは当たり前ではなく、厚生労働省の調査によると、24.8%の企業では退職金は支給されていないようです。退職金の支給がない状態で、老後は働かないことを想定すると、老後資金は大きな金額を準備することが必要になります。
 
退職金がないからと、60歳以降も働きつづける必要は必ずしもありません。しかし、退職金を受け取ることができないようであれば、貯金のほかにもiDeCoやNISAなどで、現役世代のうちから準備をしていくことが必要になるでしょう。
 

出典

厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 結果の概況
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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