更新日: 2023.12.19 セカンドライフ

60歳で退職します。年金支給開始の65歳までのつなぎ方はどうしたらいいですか?

執筆者 : 柴沼直美

60歳で退職します。年金支給開始の65歳までのつなぎ方はどうしたらいいですか?
公的年金の支給開始年齢は原則満65歳までですが、60歳で定年退職あるいは役職定年を迎えるケースが多く、収入のエアポケットとなる60~65歳をどうやりくりするかで迷われるケースが散見されます。
 
今回は、この期間の乗り切り方について考えてみたいと思います。
柴沼直美

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

老齢年金は支給開始されれば「生存している限り」入ってくる

改めて、老齢(基礎・厚生・共済)年金は老齢という理由により支給されますので、生存している限り入ってくる収入であることを確認したいと思います。
 
もちろん、その支給額が不十分であり、何らかの補足をしなければならない場合も多々ありますが、緊急性という点では、収入のエアポケット時期の乗り切り方のめどをつけることをまず考えるべきです。
 

繰上げ受給は慎重に

先日、「60歳以降の就労の可能性があまりない」ということを主訴としてご相談に来られた方がいらっしゃいました。再就職については、健康上の不安があるため勤める自信がないものの、65歳までの支給開始までの収入のエアポケット期間を乗り切るにはどうすれば良いかということでした。
 
繰上げ受給(本来の支給開始年齢よりも前に年金を受給すること)も検討しようかというお話でしたが、いったん選択してしまって、見劣りする額でのやりくりはなかなか難しいでしょう。
 
また、これまで金利はほぼゼロの状態が長く続いていましたが、ここへ来て上昇トレンドに転換しています。放っておけば、目減りしてしまいますので、極力避けたほうがよいとお伝えしました。
 

忘れていた満期を迎える個人年金

上記のご相談者さまについて家計資産の洗い出しをした結果、幸いなことに、満期を迎える個人年金があったことがわかりました。ほどなく保険会社から届いた、個人年金の受け取り方法の確認の知らせによれば、保険金の受け取り方法を、一時金か毎年定額か選択するように案内されていました。
 
ご相談者さまの場合、取りあえずまとまった資金を手元に置いておきたいというご要望から、一時金で受け取ることを選択され無事解決しました。
 
この方のように、民間の生命保険会社での個人年金保険の契約を忘れていた、ということはよく見受けられます。保険商品は通常の銀行預金などと違い、頻繁に出し入れするということがありませんので、「契約時は明確に覚えているけれど、それっきり」などということが起こります。
 

年に1回ではなく、もっと頻度を上げて確認する

このご相談者さまのように、ポジティブサプライズが起こることはあります。このような「ハッピーエンドで終わるケース」は実は思った以上にあると筆者は感じています。ただし、その時に気をつけたいのは、焦って年金の繰上げ請求などの解決策に走らないことです。
 
年金はいったん繰上げ請求をしてしまうと取り消しはできませんから、低額の受給額に甘んじなければならなくなります。年金受給年齢に近づいてきたら、従来よりも頻度を上げて定期的に自分の持っている資産の洗い出し、確認をしておくことが大切です。
 
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者

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