介護施設にかかる費用、「見えないお金」に要注意!パンフレットには書かれていないその費用って?
配信日: 2018.09.30 更新日: 2019.01.11
しかし、平均寿命と健康寿命の差はあまり変わってきてはいません。男性は約9年、女性約12年と、補助が必要だったり介護が必要になったりと不健康な期間は長くあるのです。
Text:藤井亜也(ふじい あや)
株式会社COCO PLAN (ココプラン) 代表取締役社長
教育カウンセラー、派遣コーディネーター、秘書等、様々な職種を経験した後、マネーセンスを磨きたいと思い、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。
「お金の不安を解決するサポートがしたい」、「夢の実現を応援したい」という想いからCOCO PLANを設立。
独立系FPとして個別相談、マネーセミナー、執筆業など幅広く活動中。
<保有資格>
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、ファイナンシャルプランナー(AFP) 、住宅ローンアドバイザー、プライベートバンカー、相続診断士、日本心理学会認定心理士、生理人類学士、秘書技能検定、日商簿記検定、(産業カウンセラー、心理相談員)
<著書>
「今からはじめる 理想のセカンドライフを叶えるお金の作り方 (女性FPが作ったやさしい教科書)」※2019年1月15日発売予定
介護保険施設の入所者は男性が22.6%、女性が77.4%
健康で長生きが理想ですが、病気やケガにより、これまでと同じ生活をするのが困難なケースも多々あります。
平均寿命と健康寿命の推移
出典:厚生労働省ホームページ「平成28年版厚生労働白書」
介護保険施設の利用状況に関する厚生労働省の「平成28年介護サービス施設・事業所調査」では、平成28年9月末時点での在所者の男女比率は男性が22.6%、女性が77.4%と、女性比率が非常に高い状況となっています。
男性はご家族により在宅で介護されるケースが多いと聞いています。男性(ご主人)が亡くなられた後、残された女性(奥様)は施設に入るというケースが多いようです。
これまでセカンドライフのお金に関するセミナーを多数、開催してきました。やはり介護費用や施設への入居費用などは気になるところです。事前に入居費用や入居後のランニングコストを試算しておく必要があります。
介護施設の種類
現在、介護施設にはさまざまな種類があります。サービス付高齢者向け住宅、特別養護老人ホーム、介護付有料老人ホームなど、入居者の方の健康状態によって入居できる施設は異なります。
「サ高住(さこうじゅう)」と呼ばれるサービス付高齢者向け住宅は、食事・介護の提供、家事、健康管理などの「サービス」が付いた「住まい(住宅)」です。
バリアフリーの高齢者向けの住宅の中で、安心して暮らせるよう24時間見守りサービスや訪問介護などが受けられる施設もあります。
「特別養護老人ホーム」は、社会福祉法人や地方公共団体が運営主体となっている公的な介護施設です。入居費用は低額ですが、待機者が多いため、すぐに入れないケースもあります。
「介護付有料老人ホーム」は、介護保険制度上では「特定施設入居者生活介護」というサービスに分類されます。24時間介護スタッフが常駐し、掃除や洗濯、身の回りの世話や、食事や入浴、排せつなどの介助サービスが受けられます。特別養護老人ホームと比較して入居費用は高額ですが、空室があればすぐに入れるというメリットもあります。
介護施設の案内資料には載っていない「見えないお金」とは
補助や介護の必要レベルに合わせて入居する施設を探していくのですが、その際、注意してほしい点があります。それは「見えないお金」です。
施設の案内資料(パンフレット等)には入居費用、月々の費用、食費、管理費等が記載されています。しかし、その他にもパンフレットには書かれていない「見えないお金」があるのです。
<見えないお金=主な費用>
・消耗品(おむつ代、日用品費等)
・医療費(診察代、薬代、病院までのタクシー代等)
・嗜好品費(嗜好品購入費、施設のレクリエーション参加費等)
入居される施設や、入居者の方のお体の状態によってもこの費用は変わってきますが、月々3~7万円ぐらいの費用がかかります。この「見えないお金」を試算に入れておかないと、後々、お金が足りなくなってしまうことに。
入居前は月々の年金で支払えると思っていても、実際に入居されると毎月の費用が想像以上にかさみ、費用の安い施設へと転居される方も多くいらっしゃいます。
ご高齢になってからの施設の引っ越しはかなり大変になります。事前にこの「見えないお金」も試算に入れて施設選びをしてほしいと思います。
施設の方に、「このような費用はどのくらい必要ですか?」と質問すれば、既に入居されている方の平均費用など教えてくれますので、参考になさってください。
介護施設の試算は余裕をもって行うことが大事
今後、保険料は上がり、諸々の税金も上がってきます。
試算はすこし余裕をもって行うことで、ご入居後も安心して過ごすことができます。
セカンドライフに必要なお金を試算する際も、この「見えないお金」を支出に入れてほしいと思います。
出典
厚生労働省「平成 29 年簡易生命表の概況」
厚生労働省「平成28年版厚生労働白書」
厚生労働省「平成28年介護サービス施設・事業所調査の概況」
Text:藤井 亜也(ふじい あや)
株式会社COCO PLAN (ココプラン) 代表取締役社長