「大手企業」と「中小企業」では、退職金が「1000万円」違う!? それぞれの平均や退職金から引かれる税金についても解説

配信日: 2023.12.24

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「大手企業」と「中小企業」では、退職金が「1000万円」違う!? それぞれの平均や退職金から引かれる税金についても解説
退職後の生活に大きく関わる退職金について、いくらもらえるのか知っていますか。本記事では、大手と中小企業を比較して解説します。また、退職金から引かれる税金はいくらなのかも紹介します。
沢渡こーじ

執筆者:沢渡こーじ(さわたり こーじ)

公認会計士

大企業と中小企業の退職金

大企業と中小企業では、もらえる定年退職の退職金にかなりの差がありますので、具体的な金額を紹介します。ちなみに、ここでいう大企業とは「資本金5億円以上かつ労働者1000人以上の企業」、中小企業とは「東京都内の10人~299人の企業」のことを指します。
 

大企業の場合

厚生労働省の調査によると、大企業の場合、退職金の平均は大学卒で2230万円、高校卒で2017万円になります。平均して2000万円を超える金額がもらえています。
 

中小企業の場合

東京都の調査によると、中小企業の場合、退職金の平均は大学卒で1091万円、高校卒で994万円です。
 
図表1のとおり、大企業と中小企業では退職金におよそ1000万円以上の差があることが分かります。
 
図表1
 

 
厚生労働省 令和3年賃金事情等総合調査、東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)より筆者作成
 

退職金にかかる税金

退職金についても税金がかかります。具体的にいくらの税金がかかるのか、計算方法も含めて解説します。将来の資金計画などに活用してください。
 

税金の計算方法

年収が500万円の人の場合、退職所得に20.42%を掛けた数値が所得税としてかかります。ここで、退職所得の求め方を説明します。
 
退職所得は下記の数式によって計算します。
 
[退職金額(源泉徴収される前の金額)-退職所得控除額]×1/2=退職所得の金額
 
退職金から一定額が引かれ、さらにその額を2で割った額が退職所得になりますので、退職所得も税金も大幅に少なくなります。
 
退職所得控除の金額は、図表2のように計算されます。勤続年数が20年までは勤続年数に40万円を掛けた金額、20年を超える部分についてはその超えた部分に70万円を掛けた金額が税金から引かれます。
 
では、年収500万円で勤続年数30年、退職金2000万円をもらった場合の税額を計算します。
 
退職金2000万円-[800万円+70万円×(30年-20年)]×1/2=退職所得250万円
退職所得250万円×税率20.42%=51万500円

 
税金が約51万円という結果になりました。
 
図表2
 

 
国税庁 退職金を受け取ったとき(退職所得)
 

勤続年数が短いと税金増に

勤続年数が5年以下の職場から退職金をもらった場合、300万円を超える部分の金額については、前記計算式の所得2分の1計算がされないので注意してください。同様に会社役員で、役員として勤務した年数が5年未満の場合は、退職金全額について2分の1計算がされません。
 

退職金を踏まえた退職後の生活

税金が引かれた後の手取り退職金について理解が深まったでしょうか。受け取れる退職金額を把握し、計画的に資金をやりくりすることで、安定した老後の生活を目指してください。
 

出典

厚生労働省 令和3年賃金事情等総合調査

東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)

国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)

 
執筆者:沢渡こーじ
公認会計士

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