更新日: 2023.12.25 その他老後

老後は毎月3万円「赤字」確定! 3万円程度なら節約すればなんとかなる…?

老後は毎月3万円「赤字」確定! 3万円程度なら節約すればなんとかなる…?
老後の生活をシミュレーションしてみたら、赤字だった! そんなとき、数万円程度であれば「節約すればなんとかなる」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、老後の節約は意外に難しく、思ったほどうまくいかない可能性もあります。
 
そこで今回は、「老後に毎月3万円の赤字が発生する場合、節約でなんとかできるものなのか」について、具体的に考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

3万円の節約は非常に大変

3万円という金額を毎月節約すること、それ自体は不可能ではありませんが、決して容易なことではないでしょう。高級ブランド品をよく買っているなど、生活に必須ではないものに浪費しがちな場合はともかく、普通に生活していても3万円の赤字となってしまうような場合は、そこからさらに節約することは、大きな負担となることが想定されます。
 
一般的に節約するときは、食費や交際費、電気代、ガス代といった日々消費される支出を中心に削っていきます。もし、老後に夫婦で3万円分の支出を削ろうと思ったら、現実的な範囲内では、下記のような例が挙げられます。
 
表1

項目 金額
電気・ガスなどの料金プランや契約先の事業者の変更 1000円
夫婦のスマホを格安SIMに切り替え 8000円
夫婦の外食を週1回から月1回に減らす 9000円
コンビニで買い物することをやめる 5000円
夫の飲み会を1回減らす 5000円
食材は使い切れる分だけ購入 2000円
合計 3万円

※筆者作成
 
このように、3万円分の節約は不可能ではないものの、相応の工夫や努力が必要です。少なくとも、「3万円程度なら」といえるほど簡単なことではないでしょう。
 
しかし、だからといって、無理な節制をすることも避けるべきです。例えば食費や水道光熱費など、健康や命に直結する部分を削ってしまうと健康を害して、医療費としてかえって大きな支出が生じる可能性もあります。体力が落ちて、けがや病気が悪化しやすい老後であれば、なおさらです。
 
老後に節約しようと思ったら、趣味にかかるお金を減らしたり、買い物する場所を変えたりするなどして、できる限り健康や命に影響しない範囲で行う必要があります。
 

現役世代なら資産形成で老後に備えるべき

ここまで見てきて、自分はそんなに節約できないと思われた方もいらっしゃるかもしれません。そういった方には、老後資金の準備として、資産形成に力を入れることをおすすめします。
 
将来、ご自身やご夫婦で何歳まで生きるのか、どれくらいお金がかかるのかを想定して、不足する金額を現役世代のうちに準備しましょう。
 
例えば、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)を活用して、毎月2万円を年利5%で運用できた場合、20年後には元利合計でおよそ822万円になります。
 
仮に、老後の生活期間を25年間と見込み、毎月3万円の赤字として、累計900万円の赤字が生じると想定した場合、その大部分を補うことができます。
 

最終的には働くことが有効

3万円も節約はできないが、かといって老後が差し迫る中、悠長に資産形成もしていられない。そんなときは、老後に働いて収入を増やすことも有効です。月3万円であれば、時給1000円だとしても、月に30時間働けば、確保することができます。
 
夫婦で協力できれば、一人当たりの労働時間は月にわずか15時間で済み、健康状態や業務内容にもよりますが、老後においても十分現実的な範囲でしょう。
 
とはいえ、あまり高齢では働くことも厳しくなりそうと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
 
そういった場合は、体が動くうちに働けるように計画しましょう。例えば、老後の生活を25年間と見込んだ場合、前半の13年間で毎月6万円を稼ぐといった具合です。6万円のうち3万円を日々の消費に、残りの3万円を貯蓄に充てることで、働く期間を13年間に抑えることができます。
 

まとめ

老後に毎月3万円の節約をすることは、そう簡単なことではありません。
 
今、老後の赤字が気になっている方は、節約だけで乗り切ろうと考えるのではなく、現役世代のうちから資産形成することや、老後に就労して稼ぐことも併せて考えてみましょう。
 
そうすることで、たとえ老後に毎月3万円の赤字が生じるとしても、それを過度な負担なく補えるだけのプランが見つかることでしょう。
 

出典

金融庁 資産運用シミュレーション
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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