更新日: 2024.01.08 セカンドライフ
今50歳です。老後用の貯金が1000万円しかありません。老後資金を追加で1000万円増やすことって可能でしょうか?
本記事では老後資金をテーマに、50歳の方が老後を迎えるまでに老後資金を1000万円増やすことが可能かどうかについて、解説します。なお、本記事では、老後を迎える年齢を65歳と仮定します。
執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
単純に積み立てる場合は毎年約67万円の積み立てが必要
50歳から65歳までの15年間で老後資金1000万円を貯めるには、単純計算で1年当たり約66万7000円(1月当たり約5万5600円)を貯める必要があります。毎年(あるいは毎月)、この金額を貯めることができるのであれば、15年間で1000万円貯めることは可能です。
この金額を貯めることが難しいのであれば、「お金を増やす」ということを考えなければなりません。資産運用をするということです。当然、資産運用にはリスクがあり、資産が増える可能性もあれば、減る可能性もあります。15年で1000万円を貯めるための選択肢は、以下の2つといえます。
(1)リスクがほぼ無い(元本保証型)金融商品で積み立てる
(2)リスクがある金融商品で積み立てる
(1)のケースにおける代表的な金融商品は、預貯金です。先述の「毎年約66万7000円を貯めていけば15年後に1000万円貯まる」というのは、こちらのケースです。
一方、(2)のケースにおける代表的な金融商品は、投資信託です。「この場合に、毎年いくら積み立てていけば良いのか」については後述します。
リスクを背負うと毎年の積立額は少なくて済むが注意が必要
15年後までに1000万円を貯めるため、毎年、資産運用しながら積み立てるとして、押さえるべきポイントは以下の2点です。
(1)複利運用すること
(2)どれくらいの利回り(年利率)を想定するか(どれくらいのリスクを取るか)
複利運用とは、元本(投資資金)から生じた利息(利益)を翌年の元本に加える(再投資する)という運用方法です。利息が利息を生むため、運用成果が雪だるま式に増えることが期待できます。複利運用の効果は、運用期間が長ければ長いほど、大きなものとなります。
問題は、どれくらいの運用成績を目指すかということです。想定する利回りを高くすればするほど、毎年の投資額は少なくて済みます。
しかし、それだけリスクを背負うことにもなります。投資目的が老後資金であるため、大きなリスクを背負うのは避けたいものです。本記事では、年利率1~2%を想定することにします。
例えば、15年後に1000万円を貯めるために、年利率1%で複利運用しながら積み立てた場合の毎年の積立額は、以下のように計算します。なお、このような場合、「減債基金係数」という係数を用いて計算します(減債基金係数の詳細については省略します)。
1000万円× 0.0621 = 62万1000円
これを年利率2%に置き換えた場合、以下のようになります。
1000万円× 0.0578 = 57万8000円
このように計算すると、リスクがほぼ無い金融商品で積み立てた場合と比べ、毎年の積立額が少なくなることが分かります。ただし、これはあくまで計算上のことであり、15年後までに1000万円を貯められない可能性もあるという点は、ご留意ください。
ちなみに、上記計算においては、運用益に係る税金を考慮しておりません。資産運用による積み立てを検討される場合は、「個人型確定拠出年金(iDeCo=イデコ)」や「新NISA(ニーサ)」などの税制優遇制度の利用も、併せて検討されるとよいでしょう。
まとめ
ここまで、50歳の方が老後を迎えるまでの15年間に、老後資金を1000万円増やすにはどうしたら良いかについて、解説しました。ご紹介したのは、以下の方法です。
(1)リスクがほぼ無い(元本保証型)金融商品で積み立てる
(2)リスクがある金融商品で積み立てる
(1)は、預貯金などで積み立てる方法です。(2)は、投資信託などで積み立てる方法です。(1)と(2)では、抱えるリスクが違います。安全なのは、(1)の方法です。しかし、(1)の方法で積み立てることが難しい場合、(2)を検討しなければなりません。
本記事では運用成績を踏まえ、年間の積立額を試算しました。いずれの場合であっても、年間60万円弱から70万円弱を老後資金の積み立てに充てなければなりません。その大前提として、年間収支がプラスである必要があります。
もし、家計を見直す必要がある場合は、まずファイナンシャルプランナーにご相談されてみるのも良いのではないでしょうか。
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー