更新日: 2024.01.07 その他老後

老後の年金月額は夫婦で「15万円」ですが、計算したら月に「8万円」不足するようです…。不足分は働いて埋めるしかないですか?

執筆者 : 柘植輝

老後の年金月額は夫婦で「15万円」ですが、計算したら月に「8万円」不足するようです…。不足分は働いて埋めるしかないですか?
老後の生活について収支を計算したところ、毎月多くの額が不足することが判明したという世帯も少なくないようです。
 
そこで、今回のように65歳以降の生活費として月23万円は必要と考えているが、受け取れる年金は月15万円で8万円の不足が生じる夫婦2人の世帯を例に、不足分をどうするべきか考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

まずは老後の支出の見直しから

老後の生活を考えた際、年金収入だけでは生活費が不足するのであれば、まず行うべきは目安となる老後の支出の見直しです。支出を少しでも抑えれば不足分を減らせるため、小さなところからでも確実に見直しを行っていくことが大切です。
 
総務省統計局の家計調査(令和4年)の結果によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における1ヶ月当たりの平均支出(非消費支出も含む)は26万8508円でした。
 
夫婦2人で老後の生活費を月23万円と考えた場合、統計の平均支出より3万円以上少ないので、見直せる部分はそう多くはないかもしれません。
 
ただし、老後の生活である点を考えると、現役時代と比べて交際費や通信費など節約できる部分が見つかることもあります。
 

貯金や退職金の切り崩しができれば働かずに済む

支出の見直し以外にも、年金収入だけで不足する分を補う方法はいくつかあります。その一つは、老後に備えて現役時代に貯めてきた貯金や、退職時に受け取る退職金を切り崩して生活することです。
 
毎月8万円の生活費が不足するとはいえ、老後資金として貯金と退職金で2400万円程度を準備できるという場合、年金を受給する65歳から90歳頃までは貯金を切り崩すことで対応できるでしょう。
 

時間的な余裕があれば資産形成も行うべき

不足する生活費を補うための老後資金の準備について、貯金だけでコツコツと行っていても思ったように増えませんし、勤務先によっては退職金が支給されないこともあります。
 
また、年金制度もいつ変更されるか分かりません。今後の制度改正によって、原則の支給開始年齢が現在の65歳から引き上げられる可能性もあり得ます。
 
そういった点も加味すると、老後に生活費が不足すると分かっているのであれば、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)を利用して、効率的に資産形成を行うことがおすすめです。
 
仮に20年間、毎月5万円を貯金し続けても、超低金利の現在では準備できる老後資金は元本の1200万円からほぼ変わりません。
 
それに対して、月5万円の掛け金で20年間、仮に年利5%で資産運用を続けることができた場合、約855万円の運用益が生じ、元本の1200万円と合わせて約2000万円の老後資金を用意できる可能性があります(試算には金融庁ホームページの「資産運用シミュレーション」を使用)。
 

確実な方法は就労を続けること

続いて検討すべきなのが、老後もできる範囲で就労を続けることです。
 
老後の生活が厳しくなる理由としては、現役時代より収入が減るにもかかわらず、支出がそれほど下がらないという点にあります。
 
減少した収入を就労の継続により少しでも補うことで、老後の生活が安定するというケースも珍しくはありません。
 
毎月の生活費で8万円の不足が生じるのであれば、例えば時給1000円で1日5時間、週4日のパート・アルバイトで働くだけでも不足分をカバーすることができます。
 
老後は体力や健康の面もあるので就労を続けられる期間は限られますが、問題なく働けるうちは勤務時間や日数を増やし、収入に余裕ができれば貯金に回したり、生活の質を上げることも可能でしょう。
 

まとめ

老後の生活費が不足すると考えられる場合、就労の継続によって補うことが確実な方法といえます。
 
ただし、老後に働き続けるには年齢や体力的な問題もあるため、まずは予想される支出について見直しを行い、貯蓄や資産運用で用意した老後資金で不足分を賄うなど、就労以外の方法も検討してみることをおすすめします。
 

出典

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要
金融庁 資産運用シミュレーション
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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