更新日: 2024.01.20 定年・退職

退職金に「税金」がかかるようになるって本当ですか?退職金が「2500万円」のケースで税金を計算

退職金に「税金」がかかるようになるって本当ですか?退職金が「2500万円」のケースで税金を計算
退職金は、定年後にゆとりある生活を送るために欠かせないお金です。今回は、退職金において、具体的な金額を基に、引かれるお金をシミュレーションします。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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退職金の種類

一口に退職金といっても、さまざまな受け取り方があります。退職金の支払われ方は、定年時にまとめて受け取れる「一時金形式」と、分割して支払われる「年金形式」があります。今回は、一時的にまとめて受け取る一時金形式にかかる税金を紹介します。
 

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退職金に係る用語を解説

退職金の計算前に、関連する用語や税金を整理しましょう。
 

所得税

所得税とは、企業から支払われている給与にかかる税金で、国税の一種です。1月1日から12月31日までの収入において、一定額の所得控除を差し引いた金額に、規定の税率をかけて算出します。
 
退職金の場合は、分離課税方式を採用し、ほかの所得と切り離して計算を行います。具体的な税率と控除額は、下記の表1のとおりです。
 
表1

課税退職所得金額 税率 控除額
1000円から194万9000円まで 5% 0円
195万円から329万9000円まで 10% 9万7500円
330万円から694万9000円まで 20% 42万7500円
695万円から899万9000円まで 23% 63万6000円
900万円から1799万9000円まで 33% 153万6000円
1800万円から3999万9000円まで 40% 279万6000円
4000万円以上 45% 479万6000円

※表は参考リンクを基に筆者が作成
 

復興特別所得税

復興特別所得税とは、2011年に発生した「東日本大震災」の復興財源を補てんするために、2037年まで、所得税の2.1%の税金がかかります。該当する年度までに退職する場合は、復興特別控除税の計算も必要です。
 

住民税

住民税には、市区町村に納める税金と都道府県に納める税金があり、地方税に該当します。住民税は、毎年1月1日時点で住所を置いている地域に納めますが、前年度の所得に応じて負担する利率が変わる「所得割」と、定額の納税である「均等割」があります。
 
退職金には、上記の税金に合わせて、所得控除の制度が設けられています。20年を超える勤続年数と、20年以下の勤続年数では控除額が異なります。具体的な金額や計算方法は下記のとおりです。
 
表2

勤続年数 退職所得控除額
20年超 800万円+70万円×(勤続年数-20年)
20年以下 40万円×勤続年数

※表は参考リンクを基に筆者が作成
 
勤続年数が長いと、優遇される傾向にあります。
 

退職金が2500万円のケースで税金を計算する

ここでは、具体的な金額を基に、退職金にかかる税金を計算します。今回は、下記の条件で算出します。


・勤続年数30年
・退職金が2500万円
・一時金形式で受け取る

上記の場合、退職金控除は

800万円+70万円×(30-20)年=1500万円です。

課税退職所得金額は、2500万円から退職金控除の1500万円を引いたうちの半分である、500万円です。所得税率は(表1)で記載した「20%」に該当するため、「500万円×20%-42万7500円=57万2500円」と、所得税額が算出できます。
 
なお、復興特別控除税が発生する期間の場合はさらに計算が必要で、具体的には下記のとおりです。

57万2500円+(57万2500円×2.1%)≒58万4522円

退職金は確定申告が必要?

退職金は給与と異なり、かつ大きな金額のため「確定申告が必要なのでは」と考えます。しかし、退職金の支払いを受ける前に所属企業で「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合は、源泉徴収のみで手続きが終了します。そのため、確定申告は不要です。
 
ただし、医療費控除や、副業で得た収入が一定金額以上あり、確定申告が必要な場合は、退職所得の金額を確定申告書に記載する必要があります。なお、退職所得の受給に関する申告書を提出していない場合は、別途確定申告で精算が必要です。
 

退職金の使い方は注意が必要

一時金形式で退職金を受け取ると、数千万円のお金がもらえるため、つい大きな買い物をしてしまうしょう。しかし、退職金は老後を支える大切なお金ですので、計画的に使いましょう。
 
例えば、住宅ローンの返済に使い、残りは子どもや孫のライフイベントに備える、といった方法があります。定年後はもらえるお金も限られてくるため、退職金をうまく使って、収支をコントロールしましょう。
 

退職金は納税金額をチェックして見通しを持とう

退職金は、老後の生活を安定させるために欠かせない制度です。しかし、控除があるものの大きな金額を引かれるため、退職金の利用には見通しを持つことが欠かせません。退職金のおおよその金額や使い方を家族で話し合い、ゆとりある老後を過ごしましょう。
 

出典

国税庁 退職金と税
国税庁 税の学習コーナー [申告書を作成してみよう] 所得税及び復興特別所得税を計算してみよう まとめ
人事院 1 退職手当制度の概要 (7) 退職手当に係る税金
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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