更新日: 2024.01.20 定年・退職
もうすぐ65歳で定年退職します。退職するなら64歳11ヶ月がお得ってどういうことですか?
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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高年齢求職者給付金
高年齢求職者給付金は、65歳以上の方が離職して「失業の状態」にあるときに支給されます。雇用保険でいう「失業の状態」とは、働く意思と能力があり、積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない状態をいいます。
高年齢求職者給付金の支給を受けるためには、離職の日以前1年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が6ヶ月以上あることが必要です。
高年齢求職者給付金の額は、基本手当(失業給付)の額に相当する額です。高年齢求職者給付金を受けることができる期間(受給期間)は、離職の日の翌日から1年間ですので注意しましょう。再就職を希望される方は、すぐにハローワーク(公共職業安定所)で手続きをしましょう。
なお、基本手当と異なり、受給期間の延長制度はありませんが、老齢年金との併給はできます。
高年齢求職者給付金の日額は、賃金日額の50~80%で、令和5年8月1日からは2196~6835円となっています。
高年齢求職者給付金は、離職の日の翌日から1年間(受給期間内)に、失業の状態であると確認された場合に、被保険者期間(被保険者として雇用された期間)に応じて定められた給付日数が一括して支給されます。
給付日数は、被保険者期間が1年未満では30日分、1年以上では50日分となります。
なお、求職の申し込みをしてから7日間(待期期間)は、給付金は支給されません。また、退職事由によっては給付制限がさらに 2~3ヶ月かかる場合がありますので留意しましょう。
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基本手当(失業給付)
基本手当(失業給付)は、65歳未満の方が離職して「失業の状態」にあるときに支給されます。雇用保険でいう「失業の状態」とは、働く意思と能力があり、積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない状態をいいます。
基本手当の支給を受けるためには、離職の日以前2年(1年)間に賃金支払基礎日数11日以上の月が通算して12ヶ月(6ヶ月)以上あることが必要です。※カッコ内は会社都合で離職した場合
基本手当の受給期間は、離職の翌日から原則1年です。求職の申し込みは早く行いましょう。ただし、定年後しばらく休養したいときは1年、病気・出産・介護などで職業に就けない人は3年の延長ができる受給期間の特例があります。
なお、求職の申し込みをしてから7日間(待期期間)は、基本手当は支給されません。また、自己都合退職など退職事由によって1~3ヶ月の給付制限があります。
給付日数は、定年退職や自己都合退職の場合、最大で150日、被保険者期間10年未満は90日となります。
基本手当の日額は、離職時の年齢が 60~64 歳の場合、賃金日額の45~80%で、令和5年8月1日からは2196~7294円となっており、4週に1度の認定ごとに支給されます。
基本手当の手続きをすると、65歳未満で支給される老齢厚生年金等は支給停止になります。
まとめ
給付額だけ比較すると、基本手当を受給したほうがお得です。しかし、求職の申し込みをすると実際に失業給付を受けたかどうかには関係なく、65歳になるまでの老齢厚生年金等の全額が支給停止されます。
そこで、64歳11ヶ月で退職し65歳で求職の申し込みをすることを検討してみてはいかがでしょうか。最大150日間、失業給付と65歳以降の老齢厚生年金を同時に受給することが可能です。ただし、勤務先の規定により退職金等が減額される場合がありますので、必ず勤務先に確認しましょう。
出典
厚生労働省 離職されたみなさまへ <高年齢求職者給付金のご案内>
厚生労働省 基本手当について
厚生労働省 雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ 雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和5年8月1日から~
日本年金機構 失業給付・高年齢雇用継続給付の手続きをされた方へ 雇用保険の給付を受けると年金が止まります!
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。