更新日: 2024.01.24 定年・退職

もうすぐ65歳で、月の年金は「10万円」程度です。同世代の友人はみな働き続けていますが、やはり今は老後も働く必要がありますか? 生活費が10万円では厳しいでしょうか?

執筆者 : 小林裕

もうすぐ65歳で、月の年金は「10万円」程度です。同世代の友人はみな働き続けていますが、やはり今は老後も働く必要がありますか? 生活費が10万円では厳しいでしょうか?
年金の受給開始は原則65歳からですが、老後の生活に金銭的な不安を感じる人もいるでしょう。「年金額が少ないから、働き続けるしかなさそう……」「周りも働く予定の人が多いみたい」など、年金以外の収入を得ようという周囲からの声が聞こえてくればなおさらです。
 
現在、65歳以上でも働く人が増えていますが、実際にどのくらいいるのかを本記事で紹介します。
小林裕

執筆者:小林裕(こばやし ゆう)

FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート

65歳以降も働く割合は、男性61.0% 女性41.3%

内閣府 令和5年版高齢社会白書(全体版)における男女別就業状況によると、65歳~69歳の男性の61.0%、女性の41.3%が継続して働いているようです。
 
また、現在仕事での収入がある60歳以上の人の約4割が、「働けるうちはいつまでも」働きたいという回答をしていて、就業意欲が高い人が多いことが分かります。
 

雇用形態は非正規雇用が大半

60歳~69歳で働く人のうち非正規雇用の割合は、男性で60歳~64歳が45.3%、65歳~69歳が67.3%、女性で60歳~64歳が74.4%、65歳~69歳が84.3%となっています。
 
定年を迎えた60歳以降のタイミングで、非常に多くの人が非正規雇用にシフトしているようです。ライフスタイルに合わせた働き方がしやすくなる一方で、正規雇用の状態と比べて給与は一般的に低くなってしまいます。
 

背景には高年齢者雇用安定法が存在

2021年4月より、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)が改正されました。
 
主な改正の内容として、事業主は「70歳までの定年の引上げ」や「定年制の廃止」、「70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入」などの取り組みが求められるようになりました。今後も法改正される可能性はあり、高年齢者の就業率がさらに増加するかもしれません。
 

月10万円の年金収入のみでの生活は難しい

総務省 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要によると、65歳以上の単身無職世帯の支出平均額は15万5495円です。そのため、月10万円の年金収入のみでは、毎月5万5495円の赤字になります。十分な貯蓄がないかぎり、その赤字分を補うだけの労働をする必要性が高いと言えるかもしれません。
 

生活が難しい場合の対策

病気や高齢を原因として働くことが困難になり、支出が収入をどうしても超えてしまう場合には、抱え込んでしまうことなく、まちの社会福祉協議会に相談するとよいでしょう。国や市区町村が実施している融資制度の紹介を受けられたり、利用可能な助成金があるか相談することが可能です。
 
支出が収入を上回り、貯金額が減少していく状況では、精神的な負担や不安が大きくなってしまいます。そんな時に頼れる福祉サービスがあることはぜひ知っておきましょう。
 

まとめ

生活費が年金収入を上回っている人は、その赤字分を補うために、65歳以降も働くことで、経済面での不安をやわらげることができるでしょう。
 
必要な生活費は人それぞれ違うので、自身がいくら必要なのかをぜひ確認してみてください。高齢者雇用に関する法制度も改正されているため、65歳を超えても就業できる環境の整備はますます進むでしょう。
 

出典

内閣府 令和5年版高齢社会白書(全体版)

e-Gov法令検索 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律

総務省 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要

 
執筆者:小林 裕
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート

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