更新日: 2024.01.26 定年・退職
公務員の「退職金」は民間企業より多くてズルい? 60歳まで働くといくらもらえるの?「国家公務員」「地方公務員」の金額を比較
人気の理由の大部分が「安定している」からです。少々夢がないようにも感じますが、先が見えない時代には、子どもに将来の不安なく過ごしてほしいと願うのは自然なことでしょう。
確かに公務員は安定した職業というイメージが強いですが、本当に安定しているのか、定年時にはどの程度の退職金が見込まれるのかを本記事で紹介します。
執筆者:御手洗康之(みたらい やすゆき)
CFP、行政書士
国家公務員、地方公務員ともに平均退職金は2000万円超
内閣官房が公表している国家公務員の退職金と、総務省が公表している地方公務員の退職金の平均支給額は60歳定年で2000万円を超えます(図表1)。職種などによって多少の差はあるものの、大きな金額のブレはなさそうです。
図表1
※国家公務員は常勤職員の60歳以上、地方公務員は全職員の60歳以上の定年退職が対象
内閣官房内閣人事局 退職手当の支給状況、総務省 地方公務員給与実態調査結果 から筆者作成
一方、民間企業の退職金の平均額は、 厚生労働省が公表している「令和5年就労条件総合調査」によると、大学および大学院卒の管理・事務・技術職の退職金平均額は1896万円です。
そんなにもらえるのは一握りの大企業だけという声が聞こえてきそうですが、民間の場合には企業によって大きな差があることは事実です。また、規模の大きい企業のほうが退職金も多い傾向があります。
これを考慮すると、定年タイミングでは公務員のほうが確実に退職金をもらうことができるというのは間違いではなさそうです。
平均給与は40万円以上、それなら公務員のほうがいい?
国家公務員の平均給与月額は手当等を含めて41万2747円です。公務員は倒産の心配などがないので、その点でも安定した収入を得ることができます。ただし、公務員の場合、急に昇進や大幅な給与アップは期待しにくいといえます。
一方で、民間企業の場合は成果を上げることで大きく昇給する可能性があります。給与アップやスキルアップを狙った転職なども民間企業のほうがしやすいかもしれません。
世間では公務員は安定していてうらやましいといわれることが多いのではないでしょうか。筆者も以前はそう思っていましたが、いつでも丁寧に対応してくれる役所の人や、危険な現場にいる警察官、官僚の過酷な労働現場の話などを聞くと、公務員の人たちには頭が下がる思いです。
公務員の給与や退職金が安定しているのは事実です。しかし、公務員の人たちが果たす役割を考えると、決して多すぎるとはいえないように感じます。
出典
内閣官房 退職手当の支給状況
総務省 令和4年地方公務員給与の実態
厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 結果の概況
人事院 令和5年人事院勧告
執筆者:御手洗康之
AFP、FP2級、簿記2級