更新日: 2024.01.30 定年・退職

地方公務員の「退職金」はどのくらい? 60歳で定年を迎える場合「大企業」よりも多くもらえるの?

地方公務員の「退職金」はどのくらい? 60歳で定年を迎える場合「大企業」よりも多くもらえるの?
「公務員は退職金が多そう」「公務員の老後は安泰」というイメージを持つ人もいるでしょう。では実際に、定年まで勤め上げた地方公務員の退職金の額は、一体どれくらいになるのでしょうか。本記事では、地方公務員がどれくらいの退職金を受け取れるのかを解説します。
小林裕

執筆者:小林裕(こばやし ゆう)

FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート

地方公務員の退職金は平均約2123万6000円

地方公務員が受け取る退職金である「退職手当」ですが、総務省「令和4年 地方公務員給与の実態」によると、全地方公共団体において25年以上勤続した一般職員の退職手当額は平均約2123万6000円です。老後2000万円問題などと言われますが、額面だけを見るとその基準を超えており、老後の資金としては十分に思えます。
 

地方公務員の退職手当額の計算方法

地方公務員の退職手当額は次の式にて計算されます。
 
退職手当額=基本額(退職日の給料月額×退職理由別・勤続期間別支給率)+調整額
 
「退職理由別・勤続期間別支給率」の例として、神奈川県市町村職員のデータを図表1に示します。
 
地方公務員の退職金は各地方の条例により定められているため、一つの参考としてください。
 
図表1

勤続年数 自己都合 整理など 定年など(25年以上継続勤務)
1年 0.5022 1.2555 (3.6a)
5年 2.511 6.2775
10年 5.022 12.555
15年 10.3788 19.46025
20年 19.6695 26.3655
25年 28.0395 33.27075 33.27075
30年 34.7355 40.80375 40.80375
35年 39.7575 47.709 47.709
40年 44.7795 47.709 47.709
45年 47.709 47.709 47.709

※1 ( )内は、最低保障です。
 
※2 aは、基本給月額であり、給料及び扶養手当の月額並びにこれらに対する地域手当(またはこれらに相当する手当)の月額の合計額です。
 
神奈川県町村会 退職手当支給率早見表 (引下げ 83.7)をもとに筆者作成
 
定年退職を前提とする場合には、35年以上の勤務における支給率は「47.709」で一定です。
 
「調整額」とは、退職者の基礎在職期間の初日の属する月から末日の属する月までの各月ごとに、当該各月にその者が属していた職員の区分(第1号区分~第9号区分)に応じて定める「調整月額」のうち、その額が多いものから60月分の調整月額を合計した額と定められています。
 

勤続35年の退職手当をシミュレーション

実際に以下の条件で退職手当を計算してみます。

・勤続35年で定年退職
 
・退職日の給料月額40万円
 
・調整月額5万4150円

計算式は下記の通りです。
 
40万円×47.709(勤続35年の支給率)+5万4150円×60(調整月額の60ヶ月分)=2233万2600円
 
このケースでは、2233万2600円の退職手当を受け取れることが分かります。
 

地方公務員の退職金額は大きい

前項にて勤続35年で定年退職する人を例として退職金額を計算しましたが、結果は2233万2600円でした。厚生労働省の「令和3年賃金事情等総合調査」によると、大企業の平均退職金額(男性、大学卒、満勤勤続)が1903万円で、それとほぼ同水準であり、地方公務員の退職金は多いといえそうです。大切な老後資金である退職金を実際に受け取る前に、どのような使途でこのお金を活用するのか、ぜひ事前に検討してみてください。
 

出典

総務省 令和4年 地方公務員給与の実態 第9表の2 団体区分別、職員区分別、退職事由別、年齢別退職者数及び退職手当額
神奈川県町村会 退職手当支給率早見表 (引下げ 83.7)
厚生労働省 令和3年賃金事情等総合調査
 
執筆者:小林裕
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート

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