更新日: 2019.01.07 セカンドライフ

終活はタイヘン?カンタン? 0円からできる終活のおはなし

終活はタイヘン?カンタン? 0円からできる終活のおはなし
高齢化社会の到来とともに、関心が高まりつつあるのが就活ならぬ、「終活」。一般には、自分の人生の終わりを迎える準備とされますが、そこには、その人なりの人生観や価値観が反映されるもののようです。
 
ここでは、亡くなる2年ほど前から「終活」を意識し、88歳、米寿で亡くなったKさんを例に、最期を迎える準備について紹介します。
 
FINANCIAL FIELD編集部

Text:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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死ぬ前にやっておきたい、10のこと

Kさんが実際に行った終活は、以下のようなものでした。
 

(1)資産の状況を明らかにし、相続人(子)に伝える。

Kさんの場合、幸か不幸か、資産といえるものは、住んでいる土地家屋と少しばかりの貯金のみなので、それほどややこしい手続きではありませんでした。
 
しかし、額が少ないとはいえ、郵便貯金、地方銀行、信用金庫、といくつかに分散していた貯蓄や口座を一つにまとめて、わかりやすくしました。そのうえで、通帳、印鑑、土地家屋の権利書など貴重品のしまい場所を、相続人に伝えました。
 

(2)住まいの維持や菩提(ぼだい)寺に関する情報を記録

例えば、菩提寺の連絡先、いつも庭木の剪定をお願いしている植木屋、畳替えをお願いする畳店、電気店など。お寺の情報については年間の供養料も記載。
 

(3)生前形見分け

生前気に入っていて、捨てきれない思い入れのある服や宝石類を娘や孫にプレゼント。
 

(4)亡くなった時、連絡する人リスト(名前と電話番号)

 

(5)納棺時に着せてほしい服を用意

Kさんは洋裁が得意で、自分で縫ったシルクのワンピースを指定。
 

(6)遺影用の写真を用意

特別に撮影したわけではなく、亡くなるだいぶ前の、かなり元気だったころの写真。
 

(7)収納等の内容品を引き出しに貼る

片付けをする人が困らないよう、タオルやシーツなど何がしまってあるかを書いてありました。
 

(8)離れたところに住む親しい人(義理の姉妹、甥)に別れを告げる

これからは、メールやLINEになるのかもしれませんが、昭和一ケタ世代のKさんは、手紙でこれまでのお礼の気持ちとお別れをしたそうです。
 

(9)可能な範囲で持ち物処分・片付け

 

(10)自分の生きてきた証しのひとつ、趣味の記録を残す

Kさんの趣味は俳句。自分の俳句で特によくできたものをノートにまとめ、また、自分の俳句が掲載された書籍を葬儀の時飾ってもらうよう指示。
 
趣味に関すること以外は、特別なことはあまりなく、誰にでも当てはまりそうなことばかりです。この中で遺族が「非常に助かった」のは、(2)住まいに関する情報(4)連絡先リスト(7)収納内容メモ、だそうです。
 
また特に、お金がかかるようなこともありません。もちろん、納棺時に着せてほしい服を新調するなら、その分の費用はかかりますが。
 
終活セミナーは盛況で、終活ノートが売れるというご時世ですが、最低限の終活は、こんなもの、つまりお金がかかるものではないといえそうです。ただ、「時間」は必要です。Kさんは80代後半でしたから、本当に体をいたわりいたわり、ゆっくりと「その時」に向かっていたようです。
 

とことん、こだわれる「遺影」の準備

もちろん、お金をかけようと思えば、いくらでもかけることができます。例えば、遺影。
 
一番簡単なのは、自分のお気に入りの写真を選んでおいて「これ!」と喪主になりそうな人に渡しておくこと。これだと(わが家の場合ですが)葬儀の「遺影」用に引き延ばす必要があり、もちろん、額も必要。これは葬儀代に含まれています。
 
この場合のポイントは、え?死んだ時とあまりに違う!と言われる一歩手前の、でもそれなりに若々しいという絶妙な頃合いの写真を選ぶこと。迷ったら、いくつか候補を選んで子どもや孫に見てもらってもいいかもしれません。
 
元気なうちにできる限り美しく(若々しく)撮っておこう、と思うなら、写真館で生前撮影という方法があります。料金は一概にいえませんが、東京の一等地の写真館で撮影した場合、メイク・ヘアスタイリング付きで2時間程度・税別2万2800円~。仕上がりサイズはサービスサイズで、実際に使用する場合は大きくプリントする必要がありますが、データをもらえるので、いつでもプリントOKです。
 
そこまでしなくても、という向きには、手元にある写真を加工しておく手もあります。遺影の一般的サイズは「四つ切り」(30.5cm×25.4cm)ですが、顔にきちんとピントがあっていれば、サービスサイズの写真を加工してもそれなりに見えます。
 
もし、あなたがパソコンやスマホを扱うのに慣れているなら、有料・無料のソフトを活用して普段着を喪服やスーツに着せ替えたり、背景を変えたり、ヘアスタイルだって、変えられます。これなら、写真の出力代(大手写真店で税別800円程度)+額代(同店、900円~3000円程度)で済みます。
 
そこまでできない、という方には、インターネットで写真加工を依頼すると1週間程度で出来上がってきます。必要に応じてデータのみ、プリント、額入れ仕上げと選べ、料金もさまざま。撮影するより、安くできます。
 

問題がおこるのを未然に防ぐ、遺言書

終活でもう一つ、最近よく聞かれるのが遺言書作成のすすめ。うちは財産なんかないから、と思っているあなた、そんな人こそ必要かもしれません。例えば、相続人が複数いて、財産が家と土地だけの場合、どう分けるか? といった問題がおきます。
 
Kさんの場合は、夫がすでに亡くなっており、子どもも一人(したがって相続人も一人)だったため、遺言書を書く代わりに、冒頭のように貴重品のしまい場所等の情報を相続人に伝えていました。
 
財産の有無にかかわらず、遺言書を作成するなら公証役場を利用するのがおすすめ。各県に最低でも1カ所、大体数カ所はあります。対象となる財産の額により手数料が必要です(例えば1000万を超えて3000万円までの場合2万3000円)。日本公証人連合会の公式ホームページや最寄りの公証役場に問い合わせれば、無料で相談に応じてくれます。
 
いかがでしたか? まだまだ先のこと、と思っていると、意外に時間のたつのは、早いもの。
 
準備しておくにこしたことはありません。ちなみに、Kさんの相続人は、母親の死により、急に自らの死を身近に感じたそう。相続人たる女性が最初にやった「終活」は、後に残された子どもたちに迷惑をかかないよう生命保険に入ること。やはり人間、死んだ「後」の方がお金がかかるようです。
 
Text:FINANCIAL FIELD編集部

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