更新日: 2024.02.28 定年・退職
もうすぐ定年。退職後も会社の健康保険に加入できる「任意継続」を活用したほうがよいのでしょうか?
退職後に選択できる健康保険制度はいくつかあり、それぞれに異なる特徴があります。内容を比較して、自分に合った制度を選択することが大切です。本記事では、健康保険の任意継続やそのほかの選択肢について、制度の概要やメリット・デメリットを分かりやすくまとめました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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健康保険の任意継続制度とは
健康保険の任意継続とは、会社を退職するなどして被保険者資格を喪失した人が、被保険者期間などの要件を満たしている場合に、希望すると継続して退職前の健康保険の被保険者となれる制度です。
任意継続制度を利用すると、原則として在職中と同じ保険給付を受けられるメリットがあります。また、被扶養者も継続して扶養に入れるため、個別で保険料が発生することがありません。ただし、次のようなデメリットもあることに注意が必要です。
・任意継続できる期間は最長2年間
・保険料は全額が被保険者負担
・新たな傷病手当金や出産手当金は受けられない
特に、在職中は会社と折半していた保険料が全額自己負担となる点は思い違いのないようにしましょう。万が一保険料の納付が滞ると、直ちに被保険者資格が失われます。
健康保険の任意継続制度をその他の選択肢と比較してみよう
退職後の健康保険をどうするかについては、健康保険の任意継続以外にも、次のような選択肢があります。
・家族の健康保険の扶養に入る
・国民健康保険に加入する
・特例退職被保険者制度を利用する
それぞれにメリット・デメリットがあるため、比較して自分に最も合っている方法を選択するとよいでしょう。それぞれ簡単に解説します。
家族の健康保険の扶養に入る
配偶者や子どもなどの家族が勤務先の健康保険に加入している場合、家族の健康保険の扶養に入れる可能性があります。
家族の健康保険の扶養に入る大きなメリットは、保険料を負担しなくてよい点です。また、家族療養費など被扶養者を対象とした給付が受けられるメリットもあります。被扶養者になるには年収などの要件を満たしている必要があるため、家族の勤務先に条件を確認してみましょう。
国民健康保険に加入する
国民健康保険に加入する選択肢もあります。国民健康保険には特定の加入条件がなく、希望すればすぐに加入できます。所得に応じて保険料が決まるため、退職後の収入が少ない場合は健康保険の任意継続よりも保険料負担を安くおさえられる可能性があるでしょう。
ただし、扶養の制度がなく、在職時に被扶養者だった家族もそれぞれ国民健康保険に加入する必要があります。世帯人数が多い場合は保険料が高額になるケースがあるため注意が必要です。
特例退職被保険者制度を利用する
特例退職被保険者制度とは、いわゆる組合健保など、業界や企業単位で運営されている健康保険の制度で、在職時の健康保険に制度がある場合のみ利用できます。制度の有無や加入条件を勤務先に確認しましょう。
特例退職被保険者制度のメリットは、加入期間が74歳までと、健康保険の任意継続と比べて長い点です。また、在職時と同様の給付を受けられる、家族を被扶養者にできるといったメリットもあります。
一方で、健康保険料が全額自己負担になる、保険料を滞納すると被保険者資格を喪失するなど、健康保険の任意継続と同様のデメリットがあることに注意しましょう。
健康保険の任意継続以外の選択肢も含めて自分に合った制度を選択しよう
退職後の健康保険については、在職時に加入していた健康保険を任意継続する方法以外にも、家族の健康保険の扶養に入る、国民健康保険に加入するなど複数の選択肢があります。制度の特徴や利用できる条件にそれぞれ違いがあるため、よく確認して自分や家族にとって利点が大きい制度を選択するとよいでしょう。
退職するときになって迷わないように、事前に情報を集めてよく検討しておくことをおすすめします。
出典
全国健康保険協会 会社を退職するとき
全国健康保険協会 被扶養者に関する給付
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー