更新日: 2024.03.06 定年・退職
定年後の再就職ではパート扱いでボーナスもありません。年金も含めて年間どのくらいのお金があれば生活できますか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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高齢者世帯の平均生活費
ここでは、総務省統計局の家計調査の結果から、一般的な高齢者世帯の生活費をみてみます。令和4年の調査結果によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均消費支出額は、月あたり約23万7000円でした。65歳以上の単身世帯では、約14万3000円となっています。どちらも住居にかかる費用は1万円台です。持ち家率が高いことが、その理由とみられます。
賃貸物件に住む場合には、さらに毎月の支出額が増える可能性が否めません。高齢者夫婦の世帯では30万円近く、単身世帯でも20万円程度となるケースも出てくるでしょう。あくまでも平均的な高齢者世帯の支出額ですが、比較対象として活用し、自分の現状が適正であるかどうかを見極める必要があります。
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高齢者世帯が生活するのに必要な金額
上記の一般的な高齢者世帯の生活費を参考にすると、夫婦で住んでいる世帯では年間360万円ほど、単身世帯では240万円ほどが必要となる計算です。家計調査によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の社会保障給付月額は平均で約22万円です。単身世帯では約12万1000円となっています。
可処分所得は、夫婦世帯で約21万4000円、単身世帯では約12万3000円となっていますが、年金のみの世帯ではさらに少なくなるでしょう。高齢者夫婦の世帯で毎月30万円、単身世帯で毎月20万円の生活費がかかるとすると、どちらも年金を除いて毎月10万円前後の収入が必要です。ただ、貯蓄が多少でもあり、それを切り崩しながらであれば、さらに少ない収入でも十分に生活をまかなえる可能性があります。
ここで、公益財団法人である生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」の結果もみてみます。同調査では「老後生活に対する意識」について調査していますが、そこで老後の夫婦2人での最低日常生活費を尋ねたところ、平均月額は23万2000円でした。
家計調査では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均消費支出額が月あたり約23万7000円だったため、同じくらいの水準です。持ち家であり住居費がさほどかからない家庭であれば、23万円程度が月あたりの必要最低限の生活費になるとみられます。年間では、280万円ほどです。
生活が苦しい場合は支出の抑制が不可欠
生活水準は、人や世帯によって異なります。それでも、各調査結果をみると、年金のみの収入では生活がまかなえない可能性が高いでしょう。貯蓄が十分にない場合には、定年後も労働収入を得る必要があります。ただ、定年前のように毎月30万円や40万円といった収入は不要です。パート扱いでボーナスがなくても、毎月10万円ほどの収入があれば、年金と合わせて生活費をまかなえる可能性は十分にあります。
それでも生活が苦しかったり、そこまで稼げなかったりする場合には、支出の見直しが欠かせません。節約を心掛けながら生活をしてみましょう。定年後に急激に貯蓄や収入を増やすのは困難なため、無理のない程度に節約をしつつ、無駄を省きながら収支のバランスを整える必要があります。
生活状況により必要なお金の額は異なる
高齢者世帯の月の生活費は夫婦世帯で23〜24万円ほど、単身世帯では14〜15万円ほどが平均です。年間では、夫婦で300万円弱、単身でも180万円ほどは必要となります。賃貸物件に住んでいる場合には、さらに支出が増えるでしょう。年金と貯蓄のみでまかなうのが難しければ、定年後も働かざるをえません。自分の世帯の支出を把握し、支出が収入を上回る場合には節約による支出の抑制も不可欠です。
出典
総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要
公益財団法人生命保険文化センター 2022(令和4)年度 生活保障に関する調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー