更新日: 2024.03.07 定年・退職
定年後も働きつづける予定ですが、年金って「いくら以上稼いだら」カットされますか?
※出典:厚生労働省ハローワーク「改正高年齢者雇用安定法が令和3年4月から施行されました」
それにより、定年後も働きつづけることを検討する方もいるようです。そこで、定年後も働きつづけることで年金額がどう変わるのか考えていきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
定年後も要件を満たすことで厚生年金には加入し続ける
厚生年金保険法第九条によると「適用事業所に使用される七十歳未満の者は、厚生年金保険の被保険者とする。」とされています。ある一定の要件はあるようですが、定年後であっても原則70歳までは厚生年金への加入が義務であることが分かりました。
70歳以上であっても老齢年金を受け取ることができない場合には、任意ではありますが、厚生年金に加入することが可能です。
そのため定年後に働きつづける場合、フルタイムないしフルタイムに準じた形で働く際は、70歳までは引き続き厚生年金に加入することになる、と覚えておきましょう。
なお、国民年金については原則60歳までの加入となります。国民年金については、厚生年金に加入しない場合、自ら進んで任意加入しない限り、60歳より長く加入することはありません。
したがって、定年後に自営業者となる場合は、任意加入しない限り年金には加入しなくなる、と考えていいでしょう。
年金は定年後でも殖やせる
年金は定年後も加入しつづけることで、殖やしていくことができます。なぜなら、厚生年金は加入期間が長ければ長いほど、多くもらうことができるからです。
では、いったん下記の条件を基にして、60歳で定年した方が70歳まで働いたと仮定して、計算してみましょう。
●1964年2月9日生まれ
●20歳から59歳まで、年収450万円の会社員として厚生年金に加入
●60歳から69歳までは年収350万円で、会社員として厚生年金に加入
すると、65歳から受け取る年金が年間190万円であるところ、70歳から受け取る年金は年間209万円となります。10年間働きつづけることで、60歳から年収が大きくダウンしたとしても、19万円も年金額が殖えることになります。
※出典:厚生労働省「公的年金シミュレーター」
定年後も働きつづけることで、単に収入を得られるだけでなく年金額も殖やせる、ということも覚えておくことをおすすめします。
在職老齢年金に注意
定年後も働きつづける場合に、注意したいのが「在職老齢年金」です。在職老齢年金とは、厚生年金に加入しながら働き、かつ、厚生年金を受け取るという場合に、給与と年金の額が48万円を超えると、年金の額の一部ないし全額がカットされるというものです。
ただし、この在職老齢年金はあくまでも厚生年金に関わる部分のみです。国民年金については適用されません。
※出典:日本年金機構「さ行 在職老齢年金」
そのため、厚生年金に加入しないで働いていれば、年金と給与の額が48万円を超える場合であっても、年金の一部ないし全額がカットされることはありません。
年金と給与の合計額が48万円を超えることは、そうそうあるわけではありませんが、念のため覚えておくといいでしょう。
まとめ
定年後も働きつづけるという場合、所定の要件を満たすことで、70歳までは厚生年金に加入しつづけることになります。
一方、国民年金については、60歳以降は原則加入することはありません。
定年後も働きつづける場合は、厚生年金に加入することで、年金額の増加が期待できます。在職老齢年金にかかることは一般的にそう多くないことを考えると、基本的には「定年後も働きつづければ、将来受け取る年金は増える」と考えていいでしょう。
出典
日本年金機構 年金用語集 さ 在職老齢年金
厚生労働省
ハローワーク 改正高年齢者雇用安定法が令和3年4月から施行されました
公的年金シミュレーター
デジタル庁 e-GOV 法令検索 昭和二十九年法律第百五号 厚生年金保険法 第九条
執筆者:柘植輝
行政書士