更新日: 2024.03.15 その他老後
【高齢者の金銭事情を調査】 働くのは何歳まで? 医療や介護にお金がかかるのは何歳から?
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
日本の高齢者の割合
日本において、令和4年10月1日現在、65歳以上人口は3624万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)は29.0%となりました。日本の総人口が減少する中で、65歳以上の者が増加することにより、高齢化率が上昇しています。
そして、令和19年には、高齢化率が33.3%となり、国民の3人に1人が65歳以上になると予想されています。
高齢者の収入
自分の親や自分自身も、やがて高齢者となっていくので、高齢者の生活に興味がある方は多いのではないでしょうか。続いては、日本人の約3割を占める高齢者の方々のお金事情について、詳しくチェックしていきましょう。
まずは、高齢者世帯の収入を見ていきます。高齢者は、年金と就労による収入が主な収入源です。
公益財団法人生命保険文化センターの「2023年度ライフマネジメントに関する高年齢層の意識調査」によれば、60歳以上の男女個人において、自分自身と配偶者(配偶者がいない場合は自分自身のみ)の2023年における1 年間の世帯年収は、平均408万8000円となっています。
そのうち、公的年金収入(0円を除く)は平均189万2000円、就労収入(0円を除く)は 212万円でした。
世帯年収:408万8000円
公的年金収入:189万2000円
就労収入:212万円
さらに構成比を見てみると、高齢者の収入全体のうち、公的年金収入が平均61.9%、就労収入が 31.5%、その他収入が 6.6%となりました。60~64歳など高齢者の中でも年齢が若い世帯は公的年金収入の割合が低く、就労収入が大半を占めています。一方、70 歳以上からは公的年金収入の割合が増え、全体の収入の7割を超えます。
また、現在、就労している人の退職・引退予定年齢は、平均で72.9歳となっています。定年退職後も同じ会社の再雇用制度を利用して仕事を続けたり、別の会社に再就職したり、さらに自分で事業を行ったりと、70歳を超えても働いている人が多いことが分かります。
高齢夫婦の支出はどのくらい?
次に、高齢夫婦の支出をチェックしていきます。60歳以上夫婦の生活費月額は、平均で21万円となっています。
そして、生活費に占める医療や介護費用の割合は、全体の9.8%となっています。年齢別に見ると、全体的には年齢が上がるにつれて、医療や介護費用が占める割合が増えていくことが分かります。
60~64歳:7.8%
65~69歳:10.1%
70~74歳:9.6%
75~79歳:10.0%
80~84歳:11.2%
85~89歳:11.6%
90歳以上:11.0%
高齢者世帯の家計管理
高齢者は、年金と就労による収入、そして今まで貯蓄していた資産で生活をしていくことになります。一般的には「定年退職するまでに2000万円くらいの貯蓄があれば、安定した老後の生活を送ることができる」といわれています。
ただし、老後は若い頃に比べると、病気やけがによって医療費がより多くかかるケースがあります。万が一に備えて、定年退職後はパートタイムなどで仕事を続けることを検討しましょう。そして、散財することなくお金を管理していくことが大切です。
・退職するまでに2000万円ためる
・定年退職後もパートタイムなどで仕事を続ける
・健康寿命を延ばす
・万が一の医療費に備えて、散財せずに生活する
以上のことに注意しながら、老後の家計管理を行うとよいでしょう。
まとめ
高齢者のお財布事情をチェックしてみると、高齢の親がどんな生活をしているのか、また自分自身が高齢になった際の家計はどうなるか、イメージしやすくなります。
今回紹介した内容を参考にしながら、年金だけではなく、老後も就労収入を増やすことはできないか、また、老後までに貯蓄を増やすことはできないか、自分のマネープランを検討してみてはいかがでしょうか。
出典
内閣府 令和5年版高齢社会白書
公益財団法人生命保険文化センター 2023 年度 ライフマネジメントに関する高年齢層の意識調査
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者