更新日: 2024.03.26 セカンドライフ

老後は「貯蓄と年金だけで過ごす」ことが理想! 「働かなくて済む」貯蓄額と年金額はいくら?

老後は「貯蓄と年金だけで過ごす」ことが理想! 「働かなくて済む」貯蓄額と年金額はいくら?
老後を迎えた際、貯蓄と年金収入だけで生活を維持できるかどうか、不安を抱いている方もいるでしょう。追加の収入源がなくとも老後生活を送ることができれば理想的ですが、そのためにはどれだけの貯蓄と年金が必要なのでしょうか。その考え方と必要な金額について解説します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

老後にかかる生活費はどれくらい?

老後を貯蓄と年金だけで過ごすために、まず考えるべきは生活費のことです。貯蓄額や年金の受給額をすぐに増やすことはできませんが、生活費であれば現状を知り、改善していくことで比較的早期に改善できます。
 
生活費は、老後になると劇的に変わるというものではありません。医療費がかさむなど、一部の支出の内容や額が変わることはあっても、食費など最低限の生活に必要な支出に関しては、著しく増えることも減ることもそうそうないでしょう。
 
参考までに、総務省統計局の2022年家計調査によれば、消費支出と非消費支出の合計額は、65歳以上の夫婦のみの無職世帯で26万8508円、65歳以上の単身無職世帯で15万5495円となっています。
 
もし、この額を大幅に超える生活費がかかっているならば、まずは家計の見直しが必要でしょう。
 

年金だけでの生活はほぼ不可能

既にお気づきの方もいらっしゃるかと思われますが、現状の年金制度においては、年金収入のみでの生活はほぼ不可能だと考えるべきです。
 
前述の家計調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では毎月2万2270円、65歳以上の単身無職世帯であっても毎月2万580円の不足が生じています。
 
このように、統計上、一般的な生活を送るためには毎月2万円程度が不足することになりますが、実際にはもっと多くの不足額が生じることが想定されます。なぜなら、上記統計の収入には、年金などの社会保障給付以外にも何らかの収入が含まれているからです。
 
社会保障給付以外の収入を考慮に入れなかった場合、仮に、社会保障給付の全額を年金収入と考えたとしても、65歳以上の夫婦のみの無職世帯でおよそ5万円、65歳以上の単身無職世帯ではおよそ3万円の額が不足します。ここから、年金だけでの生活は相当に厳しいと考えられます。
 

実際に貯蓄と年金だけで過ごすには貯蓄額と年金額はいくら必要?

実際に貯蓄と年金だけで生活するため、それぞれいくら必要となるかは、年金の受給額や生活費、寿命など諸般の状況によって異なります。
 
例えば、老後の生活が夫婦ともに65歳から90歳までの25年間、毎月の年金収入が22万円、生活費が27万円の夫婦のみの世帯の場合、1500万円もの貯蓄額が必要になります。
 
一方、老後の生活が65歳から80歳までの15年間、毎月の年金収入が12万円、生活費が15万円の単身世帯の場合、540万円の貯蓄額が必要になります。
 
このように、老後働かずに過ごすに当たっては貯蓄額と年金額だけでなく、何年生きるか、そして生活費がどれくらいかかるのかも重要になります。そのため、貯蓄額と年金額が何円あればいいと一概にはいえず、おのおのの事情を踏まえて考える必要があります。
 

まとめ

「老後、貯蓄と年金だけで生活する」という理想のためには、年金と貯蓄の両方、あるいはどちらか一方について平均から外れた額を確保していく必要があり、決して容易なことではありません。
 
それでも、どうしてもこの理想を実現したいと考えるのであれば、年金額や貯蓄額だけではなく、自分が何歳まで生きるつもりなのか、生活費は何円かかるのかといったことも考慮に入れ、実際に計算し、理想に向け計画的に貯蓄などをしていく必要があるでしょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告[家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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