40歳時点で、「2000万円」の貯金があります。老後は「夫婦で月12万円の年金で暮らしていける」と思っていいですか?
配信日: 2024.04.27
そこで、40歳時点で2000万円の貯金がある場合の、夫婦の老後の暮らしについて考えてみました。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
老後の暮らしにかかるお金はどれくらい?
「老後にどれくらいの額の年金があれば生活していけるのか」という問いの答えは、何歳まで毎月何円の生活費で生活するのか、そして貯金がいくらあるのかを、ある程度明確にしていくことで、想定することができます。
まず、「このケースにおいて、夫婦が何歳まで生きるのか」という点ですが、仮に90歳としておきましょう。
次いで、月々の支出額は、総務省統計局の「家計調査」を参考にしていきます。この調査によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合、月々の消費支出と非消費支出を合わせた額は、月額28万2497円となっています。
こうして算出した支出額から年金額を差し引き、1ヶ月当たりの不足額を計算します。仮に月12万円の年金収入があるとすると、不足額は16万2497円となります。
そして貯金の2000万円を、この1ヶ月当たりの不足額で割りましょう。計算してみると、およそ120ヶ月、つまり10年程度は、貯金を取り崩して不足分を補いながら生活することができます。
毎月16万円不足する状態で90歳まで生きるには、老後資金は2000万円では足りない
生活費が毎月16万円不足する状態では、仮に2000万円もの貯金があったとしても、夫婦で10年程度しか生活できません。65歳から90歳まで生きるとすると、残り15年分の生活費を、どうにかする必要があります。
この点に関しては、解消する方法がいくつか考えられます。
その方法のうちの一つは働くことです。フルタイムとはいかずとも毎日5時間程度、時給1000円で働いたとすると、これで毎月8万円ほどの収入を得られます。65歳から生きるとして、そこから20年程度は年金と貯金、そして働いて収入を得ることで生活できる計算になります。
90歳までとまではいきませんが、さらに働く時間を延ばしたり、節約したりして収支を調整すれば、2000万円の貯金と12万円の年金で、90歳まで生活することも、難しくはなさそうです。
働かないで済むためにはあとどのくらい貯金すべきか
ここまでの試算によって、「老後資金が2000万円だけでは、年金と貯金の取り崩しだけで暮らしていくことはできない」と分かりました。では、ゆっくり余生を過ごすために働かずに暮らしていくとして、あと何円を貯金するべきなのでしょうか。
この点については、毎月の不足額16万2497円に、25年という時間をかけ、そこから現在の貯金額2000万円を引くことで算出できます。そのように計算してみると、現在の貯金額を差し引いた不足額は、2874万9100円です。
つまり、あと2900万円ほど貯金することで、月々12万円の年金と貯金とを合わせれば、統計上一般的な生活を25年間送ることができるようです。
これを65歳までの間、毎年均等に貯めていくと、年間で必要な貯金額はおよそ116万円(月額換算でおよそ9万円)です。つまり、既に準備してある2000万円の貯金に加え、これからも毎年116万円ずつ貯めていけば、老後は働かずに生活することができそうです。
まとめ
仮に40歳時点で、老後資金を2000万円も貯金していたとしても、夫婦で月12万円の年金では、統計上の一般的な生活をすると考えると、10年程度しか生活することができません。
さらに老後は夫婦で生活しても、一般的な統計上の支出を超える額の支出が生じることも想定されるため、意外と生活するだけでお金がかかります。
老後に十分な額の貯金を用意するためにも、自身の老後のライフプランについて、今一度見直していくことをおすすめします。
出典
総務省統計局 家計調査報告 〔家計収支編〕 2023年(令和5年)平均結果の概要
執筆者:柘植輝
行政書士