更新日: 2024.06.10 定年・退職

定年退職まであと少し、再雇用制度に乗るべきだとは思っているのですが、今さらまた同じ職場で働くのはやっぱり避けたいです。何か対応策はありますか?

定年退職まであと少し、再雇用制度に乗るべきだとは思っているのですが、今さらまた同じ職場で働くのはやっぱり避けたいです。何か対応策はありますか?
「60歳の定年退職年齢まであと少しだけど、これまでずっと働いてきたから、年金もある程度もらえるだろうし、退職金もあるので、毎朝の満員電車通勤からは解放されたい」というお話を伺う機会も増えています。
 
どうして、きっぱり決めきれないのか探ってみたいと思います。
柴沼直美

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

働き方は何であれ、何もしないのはNG

コロナ以降、在宅ワーク、リモートワークという働き方が普及してきて、週のうち2日は在宅、という働き方をしている人も周りで増えています。そうはいっても通勤は避けられないとなると、退職年齢で区切りをつけて、少しゆっくりした時間を過ごしたいと思うのは当然ですね。
 
会社員時代を長く過ごしていれば、「休暇」を何度も経験したことでしょう。
 
その時の気持ちを思い起こしていただくと、「あーのんびりできてうれしい」という開放感でしょうが、これって、「また出勤する」というオンモードに切り替わるタイミングが決まっているから味わえるかもしれませんね。健康状態によりやむを得ずというのでない限り、いきなり退職していいことはないというケースが多いと考えられます。
 
1つ目には、収入が途切れること。最初は問題ないでしょうが、1年もたてば不安になってきます。生活する限り、必ず一定額の支出があります。決まった日に収入があるうちは、それほど気に留めなかったことでも、収入がなくなると、「こんなに自分はお金を使っていたのか」と驚いたという話もよく聞きます。自分で人生の終わりの瞬間を決められない以上、金額の大小にかかわらず収入は確保しておくべきです。
 
2つ目には、社会とのつながりが途切れてしまうことはメンタル面、健康面で大きなマイナスになること。私たちは人とのコミュニケーションやつながりの中で生活したり、情報を得たり、自分の感情をコントロールしています。
 
お金の流れと同じで、人間関係の流れも途切れてしまうと、自分の終わりのタイミングがわからない人生の不安と自問自答で向き合うことになります。インターネットで情報はいくらでも手に入るとはいっても、周りの人とのたわいもない会話を通じて、納得して腑に落ちるということもあります。その役割を1人で完結させるには無理が出てくるかもしれません。
 
再雇用制度に手を挙げると、通常は、退職時より給与水準が下がり、職種や職務内容もステップダウンしますから、かつての部下との距離の取り方にも戸惑うことなど多いでしょう。
 
それらを「抵抗がある」と考えるのならば、いったんリセット期間として、「やりたかったけど後回しにしてきたこと」「行きたかったけど先送りにしてきたところへ旅行する」といったご褒美を自分にあげてもいいかもしれません。
 
しかし、厳密ではないにしても「いつまで」とざっくりとした期限を設定して、面倒くさいと感じないうちに、再度社会参加の機会を探っておくことをお勧めします。
 

在宅ワークを少し採り入れてデジタル社会にもなじんでおく

在宅ワーク、リモートワークを少し採り入れるのはどうでしょうか。在宅ワークでも、最近は、テレアポや入力など、数年前とは比較にならないほど多くの職種が募集していますし、シニア歓迎、として退職してそれほど年数がたっていなければ採用可な仕事は多いです。
 
「60歳を過ぎて、パソコンを使った仕事は嫌だ」と思うかもしれません。ですが、最近では銀行の送金1つにしても、オンラインを避けた生活は成り立たなくなっています。
 
買い物をするにも決済の仕方が店舗によって違っていたり、自分の持っているアプリやカードが取り扱っていなかったり、とちょっとしたことで戸惑いを見せるシニアのお客さんも見かけます。また、デジタルデバイスの不慣れさを突いてくるオンラインサポート詐欺も増えています。
 
生活していく限り、家計のやりくりを続けなければならないのと同様、社会のオンライン化にもついていかなければなりません。仕事を通じて、アプリやオンラインチャットに慣れておくのは一石二鳥といえるかもしれません。
 

職場で対面の仕事は極力継続する

繰り返しになりますが、私たちはいろいろな人と言葉を交わすことで、文字や動画を通じて得た知識をより確かなものにしたり、日常生活で役立てたりします。
 
例えば、税金のことや社会保険の知識などは、いくら雑誌や新聞を読んでも頭にはいってこないことや、分かったつもりでもポイントが整理できていないことがよくあります。
 
ところが、身近な人が「インボイス制度に登録するとこんな風に変わった」といったような具体的な例を聞くと、自分のケースに当てはめて納得することは多いですよね。
 
リフォームをしたときに補助金を申請できるのか、年金は自分の場合どれだけ支給されるのか、年金はいつからもらえばいくらぐらい増えるのか、といったことなど、職場の同僚や近い年齢の人とのちょっとした休憩時間などの中で得られる生きた知識はとても貴重です。
 
逆に自分のケースが思わぬところで、同僚の役に立つこともあるでしょう。
 

おひとりさまで正社員を継続していれば「経済的」には大丈夫だが……

確かに、生涯おひとりさまで、ずっと働いてきた場合は、よほど大きな負債を抱えていないのであれば、年金と貯蓄で賄うことは「経済的には」可能であるといえるケースが多いと思います。
 
しかし、家計運営はお金のやりくりだけでなく、時代や自分の状況に応じた情報をいかにうまく取り入れて活用していくことが大事になります。
 
どんな介護サービスを使うのか、どんな補助金があって自分は何を使うことができるのかなど、情報収集と活用の仕方は、結局自分で決めなければなりません。むしろ、年齢を重ねていけばお金のやりくりよりも、情報収集と活用の仕方のほうが重要になってくると思われます。
 
週に1回でも、積極的に社会とのかかわりを保つよう心がけるのが健やかなシニアライフには必須といえるのではないでしょうか。
 
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者

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