そろそろ自宅の「終活」をしたいけど何から始める? まずは生前整理から!
配信日: 2024.07.11
何を整理するかをまず確認
とくに戸建て住宅に長く住み、老夫婦だけで生活している場合は、最も生前整理が必要になるかと思います。子どもが巣立っていった家庭であれば、子どもたちの独立後も、子どもたちが使っていたものが残っているはずです。
具体的には、遊び道具、勉強机、本棚、書籍類、アルバム、衣類など、使わなくなった子ども部屋に、そのまま残されている家庭も多いのではないでしょうか。
もしかすると孫たちが将来使うかも、小さいころの思い出の品だからと考え、とりあえず残したモノがかなりあるはずです。これらのモノは子どもたちに相談し、不要ということであれば、すべてが処分の対象になるかと思います。子どもたちにも、遺品整理に協力してもらえると思います。
それにメドがついたら、自分たちの番です。例えば、あまり着なくなった衣類、ほとんど読むことのない書籍や雑誌、使わなくなった家具や家電製品、来客用の食器や座布団、子どもたちと写した写真、物置などに放置された庭で使う道具、さらにはパソコン内に保管されている各種データなど、結構な量になると思います。
すべてを整理するわけではありませんが、ここ数年ほとんど利用していないモノは、まずは生前整理の対象です。とくに自分たちの死後の遺品整理に、できるだけ負担をかけないように配慮したいものです。当然ですが、新規にモノを購入する際にもできる限り控えることも大切です。
終活全般への不安も大きい
終活のために生前整理を進めたいと考えても、やはり不安は残ります。とくに思い出の品物に関しての整理・片づけはどこまですべきか、悩むところです。子どもがいる場合は、子どもたちの意見も聞いて、必要なものだけは残すことも考えましょう。
しかしマンション暮らしの方が多い若い世代には、多くの品を引き継ぐこと自体が難しいという事情もあります。また子どもがいない夫婦の場合は、自分たちの思い出だと考えても、死後にまで残す必要がないため、時期をみて大胆に処分する必要がありそうです。
将来、介護施設への入居や延命治療への対応、といったことへの不安も大きいかと思います。子どもなどの親族へ、できるだけ希望は伝えるべきです。ただ認知症などで施設介護の必要が出てきた場合は、それを受け入れる姿勢をもつことも必要です。
また「墓じまい」への不安もあります。自分たちの代で終わり墓を継ぐ家族がいない方は、なるべく早い時期に対処したいものです。
パソコンやスマホに入っているデータについて、どうするかは考えたいものです。個人的な情報や他人に知られたくない情報が、かなりデータとして内蔵されている方もおられるはずです。
通話と簡単なメール以外には、パソコンやスマホは利用しないという方は別ですが、各種写真データや金融・証券データ、家計データなどが詰まっている方の場合は、どこかの時点から、データ自体の消去や紙媒体での保管を考えたいものです。自分の死後だけでなく、認知症になり、情報管理ができないことも想定して行動したいものです。
処理仕切れない品は業者に依頼
家にたまっている不用品の整理は、口でいうほど簡単ではありません。日常のゴミ出しを小まめにされている方でも、廃棄の決断はなかなかできません。どうしても「まだ使うかもしれない」との意識が働きます。
とくに老夫婦2人で行うと、作業のスピードが遅いだけでなく、決断できずに残してしまう品が増えると思います。少なくとも、子どもなど親族の力を借りて、迷った場合はすべて廃棄、というくらいの姿勢で作業を進めたいものです。そのほうが作業もはかどることは確実です。
子どもの力を借りても、完全に片づけができるとは限りません。その場合は、こうした品物の廃棄を行っているプロの業者に依頼することが、正しい決断です。品物の分別から廃棄までを一括受けてもらえます。
生前整理を進める前段階でも、整理・収納のノウハウや廃棄の基本的手順を聞くことができます。業者により整理・収納が得意、廃棄処理が得意、といった特徴があり、見積りを依頼してニーズにあった業者を選択します。
経費は10万円以上にはなるが
このような手順を実施することで、家の生前整理は画期的に進行すると思われます。一度整理したとしても2、3年経過すると元の状態に戻ってしまうケースも見かけます。
整理のノウハウを忘れずに、業者の援助がなくても、生前整理を進められるようにしたいものです。金額も数万円というわけにもいきませんが、不要な品を整理するというメリットは、それ以上の価値があるかもしれません。
こうした作業を業者に依頼した場合、家の面積や品数によって支払う金額も変わってきます。マンションなどの1LDK程度の規模であれば、10万円以下の料金でも可能かもしれません。
しかし1戸建てで2LDK以上のスペースの家となると、少なくとも20万円程度は見ておいたほうがいいでしょう。2階建ての広い住宅になると、さらに経費も増えると思われます。業者の数もかなりありますので、数社から見積もりをとるようにします。
廃棄作業を依頼する前に、自分たちで処分予定の品をできるだけ処分しておけば、業者への支払いを抑えることもできます。
「終活を!」と思ったら、まずは生前整理から始めましょう。
執筆者:黒木達也
経済ジャーナリスト
監修:中嶋正廣
行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者