更新日: 2019.01.10 セカンドライフ

SNS時代における『デジタル遺品』 終活とデジタル遺品の関係とは

SNS時代における『デジタル遺品』 終活とデジタル遺品の関係とは
「死を考える」というと、一体どういうことかと思われるでしょう。そう考えたきっかけは、Facebookからの「知人が誕生日なのでお祝いメッセージを送りましょう」というメッセージ。すでにその知人は3年前に亡くなっています。
 
今後相続に関する法改正が予定されていることもありますが、今回は終活について考えてみたいと思います。
 
當舎緑

Text:當舎緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
 

デジタル遺品とは?

総務省によると、2017年にインターネットを利用する方の割合は、13歳から59歳までで9割超だそうです。今や仕事だけでなく、プライベートでもインターネットを利用する方は増えていますし、インターネットを使えないと1日も耐えられないという人すらいることでしょう。
 
こんなに頻繁に使っているスマホやSNSのアカウントは、本人が亡くなってしまうと、削除依頼ができないまま残ってしまうこともあります。このアカウントのことをデジタル遺品といいます。
 
私の元には、これまでも、亡くなった方の誕生日を知らせるメッセージが来たことはありますが、今回の、何年も続けて来たというのは、亡くなった方がおひとりさまだったせいもあるのでしょう。
 

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故人のデータを削除するためには

もし、家族が亡くなった場合には、どうやったらそのアカウントを削除することができるのでしょう。主なサービス名と削除方法は以下のようになります。
 

 
原則として、本人の死後、アカウントの第三者への譲渡や相続という考え方はありません。
 
フェイスブックのようにアカウントを削除したり、利用者が個人を思い出して偲ぶための「追悼アカウント」を設定できる場合があったりと、それぞれのサービスによって多少の差があります。
 
事前に、「備える」ことができるサービスもありますので、備えたい方は、直接問い合わせておくことをお勧めします。
 

自分に何かあったらと考えておくのはリスク管理の一つと考えよう

お金がある人が死後のことを考えて遺言を遺すのはある意味当然です。それは予想通りで、お金があるからこそという方もいますが、お金が無くても、死後のことを考えておかないと、困ることはたくさんあるのです。
 
リスク管理のために、お金があるないにかかわらず、遺言で財産の行方を指定するように、デジタル遺品への対処もどこかに書いておくことも、リスク管理の一つと捉えましょう。
 
私もエンディングノートなどのセミナー講師をさせていただくことがありますが、なかなか、デジタル遺品にまで言及される方はいらっしゃいません。
 

民法の大改正施行日が決定された

以前のコラムでも触れさせていただきましたが、民法では大改正が予定されています。その時点で施行日ははっきりと決まっていなかったのですが、決まりました。
 
私のお客さまの中でも関心が最も高い、自筆証書遺言の施行日は2019年1月13日。配偶者居住権の新設は2020年4月1日となりました。
 
その他にも、遺産分割前の預貯金の払戻制度、遺留分の見直し、特別の寄与など、これまで使い勝手の悪かった相続が少し身近に感じられるような改正内容になっています。
 
自筆証書遺言は、全文を自筆で書く必要がなくなりましたので、気軽に始める方もいらっしゃるようですから、書き方を少しお話ししておきましょう。遺言は、ついついお金のことしか書けないのかと思いがちですが、それは違います。お金のこと以外についても記載することが可能です。
 
相続人のうち、先祖代々の墓を守ってもらう相続人に多目に財産を遺してあげたい、自宅建設を援助するため、一定の財産を既に渡してあるので、相続時には渡したくないなど、なぜ、こんな遺言書になったのか想いを語るため、「付記」ということで、自分の気持ちを綴ることもできます。
 
今年も残すところあとわずかとなってきました。私も、毎年年末にすることがあります。年賀状の作成以外に、財産一覧表の作成と、来年の家計計画立案です。
 
財産一覧表というと大げさに聞こえるかも知れませんが、家計の通信簿といえるようなものです。「これは思いのほか使ってしまった」「このために月々いくら貯蓄を始めた方がいいかも」と様々なことに気付き、計画を立て直すのです。
 
「死を考える」と大げさなことから書き始めてしまいましたが、普通どおり、日常どおりにできることをする、そして、自分に何かあったときにも困らないように準備しておく、何もなければ、無事に過ごせて良かったと思いながら、過ごせばいいのではないでしょうか。
 
Text:當舎 緑(とうしゃ みどり)
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。
 

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