更新日: 2024.09.13 定年・退職
中小企業で「勤続20」年です。退職金「1000万円」を受け取ったら税金はいくらかかりますか?
今回の記事では、中小企業の退職金のモデルケ-スを示し、もし1000万円の退職金を受け取った場合の税金について計算します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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中小企業の退職金のモデルケ-ス
今回は、大学を卒業し、会社へ入社したと仮定します。東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情」によれば、中小企業の退職金のイメ-ジは表1の通りです。なお、このモデルケ-スはそれぞれの学校卒業後に入職し、普通の能力と成績で勤務した場合の定年退職金を想定しています。
表1
勤続年数 | 自己都合 | 支給月数 | 会社都合 | 支給月数 |
---|---|---|---|---|
10 | 112万1000円 | 4.1 | 149万8000円 | 5.4 |
15 | 212万9000円 | 6.8 | 265万8000円 | 8.5 |
20 | 343万1000円 | 9.8 | 414万7000円 | 11.8 |
25 | 490万6000円 | 12.8 | 578万2000円 | 15.1 |
30 | 653万6000円 | 15.8 | 754万2000円 | 18.3 |
定年 | - | - | 1091万8000円 | 22.8 |
※東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情」を基に筆者作成
以上より、大学卒業後すぐ入社し、本事例のように20年勤続した場合は自己都合で343万1000円、会社都合414万7000円がモデルケ-スです。そのため、事例の「勤続20年で退職金1000万円」の場合、勤続年数に対する退職金としては高いほうといえるでしょう。
退職金を1000万円受け取った場合の退職所得
退職金の受け取り方の種類と特徴は以下の通りです。
・一時受け取り:一括で退職金を受け取る方法
・年金受け取り:退職金を分割して受け取る方法
・一時金受け取りと年金受け取りの併用:上記のそれぞれを併用する方法
これらの受け取り方の違いにより、かかる税金が異なります。今回は、1000万円の退職金を「一時受け取り」で受け取った場合の税金について説明します。一時受け取りで退職金を受け取った場合には「退職所得」と分類され、所得税や住民税がかかります。
国税庁によれば、退職所得の計算式は以下の通りです。
・(収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額)×1/2 =退職所得の金額
なお、退職所得控除額は勤続年数により異なります。同ホ-ムペ-ジによれば、退職所得控除額は勤続20年の場合、40万円×20(年)となるため、退職所得控除額は800万円です。これを踏まえ、全ての数字を当てはめると、以下のようになります。
・(1000万円-800万円)×1/2=100万円
勤続年数20年で退職金1000万円をもらった場合の、課税退職所得金額は100万円です。
所得税と住民税の計算
次に所得税と住民税を求めてみましょう。
課税退職所得金額100万円に対する所得税の税率は5%であり、控除額は0円です。これを式に当てはめると、100万×5%となり、所得税は5万円です。さらにここから「復興特別所得税」として、1050円が引かれ、所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額は5万1050円となる計算です。
加えて、東京都千代田区のホ-ムペ-ジによれば、住民税の計算方法は課税退職所得金額に、都道府県民税4%と市区町村民税6%を乗じます。今回の場合であれば、100万円の10%なので、10万円となります。以上より、所得税と住民税を合計するとかかる税金は15万1050円であることが分かりました。
また、年金受け取りを選択した場合には「雑所得」とみなされたり、各種控除が適用されたりします。自分の受け取り方により、どのような控除があるか確認しましょう。
1000万円の退職金を一括で受け取った場合の税金は15万円ほど
1000万円の退職金を一括で受け取った場合は、およそ15万円の税金がかかることが分かりました。
退職金は受け取り方によって、かかる税金が異なります。老後の蓄えや、退職後のつなぎとして退職金は重宝するでしょう。ときには、思いがけないけがや病気などで多額の出費がかさむ場合もあります。これから受け取り方も踏まえて、シミュレ-ションすることが重要です。
出典
東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情 雇用・就業 統計・調査 <図表8-1>モデル退職金
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
国税庁 退職金と税 退職金にかかる税金
国税庁 No.2260 所得税の税率
東京都千代田区 退職所得にかかる住民税の計算・納入について 住民税額の求め方
※2024/9/13 内容を一部修正いたしました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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