更新日: 2024.09.03 セカンドライフ

40代独身、貯金は「80万円」です。1人なので老後も年金だけでどうにかなると思っていますが、マズいでしょうか?

40代独身、貯金は「80万円」です。1人なので老後も年金だけでどうにかなると思っていますが、マズいでしょうか?
独り身で老後を生活する場合、夫婦の世帯や子どもがいる世帯と比較して世帯人数が少ないため、毎月の出費が少なくなる可能性はあります。
 
そのため今回のケースのように、年金だけで十分やっていけると考える人もいるかもしれません。しかし年金収入のみで十分生活できるかどうかは、生活スタイルや受給できる年金額などにより左右されるでしょう。
 
本記事では、単身世帯が老後の生活に必要とする金額や、必要な貯蓄について解説していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

65歳以上の単身無職世帯が必要なお金は「15万5495円」

総務省統計局が公表した「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」によると、「65歳以上の単身無職世帯」の収支実態は表1の通りです。
 
表1

項目 金額
実収入
(税込み収入)
13万4915円
消費支出
(食費・光熱水道費など)
14万3139円
非消費支出
(税金・社会保険料など)
1万2356円
実収入-消費支出+非消費支出 マイナス2万580円

出典:総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」を基に筆者作成
 
消費支出と非消費支出を合わせると「15万5495円」が平均支出です。実収入から同額を差し引くと、毎月「2万580円」のマイナスが生まれています。
 
1年あたりでいくと24万6960円不足する計算です。仮に90歳まで生きるとすれば、65歳からの25年間で約617万円のマイナスとなります。
 
今回のケースでは貯金額が80万円しかありません。仮に65歳までに貯蓄が増えず、65歳以降は貯金を取り崩して不足分をカバーする場合、約3年で貯金を使い果たしてしまいます。
 
老後の生活に安心材料を持たせたい場合は、貯蓄額を今からコツコツ増やすことを検討するといいでしょう。あるいは資産運用に取り組んで、余裕資産を増やす必要があるかもしれません。
 

老後の収支バランスは年金額や毎月の支出により変わる

前述の収支バランスはあくまで平均的な数字です。実際は、もらえる年金額や月々の出費により状況は異なります。
 
もらえる年金額が多かったり、消費支出が少なかったりすれば収支が黒字になるかもしれません。逆に年金額が少ないか消費支出が多すぎる場合、赤字状態になる可能性があるでしょう。
 
老後の生活をシミュレーションする場合は、年金額や現在の支出状況を総合的に考えることが大切です。
 

将来もらえる年金はいくら?

厚生労働省年金局が公表した「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」による令和4年の厚生年金保険(第1号)と国民年金の額は以下の通りです。


・厚生年金保険(第1号):14万4982円
・ 国民年金:5万6428円

国民年金は日本在住の20歳以上60歳未満のすべての人が加入対象であり、厚生年金は会社員や公務員などが加入対象です。仮に個人事業主やフリーランス、フリーターなどとして生涯働いてきた場合、加入しているのは国民年金のみであるため、もらえる年金額は厚生年金受給者より少なくなると考えられます。
 
この場合、前述した不足額よりも拡大するおそれがあるでしょう。受給額に不安がある場合は、企業年金や国民年金基金、iDeCo(個人型確定拠出年金)などの制度を利用して、年金額の上乗せを図ることを考えてもいいでしょう。
 

毎月の支出は生活実態により大きく変わる

前述の家計調査報告によると、消費支出14万5430円のうち、大きな割合を占めるのは以下の項目です。


・食料:26.2%
・交際費:12.5%
・光熱・水道:10.3%
・交通・通信:10.2%
・教養娯楽:10.1%
・住居:8.9%

これらの支出項目をどれほど節約できるかによっても、老後の収支バランスは左右されます。例えば住居が持ち家の場合、賃貸住宅よりも出費が少ないかもしれません。
 
また交通手段が自家用車か自転車か、家族や友人との交際頻度がどれくらいかなどによっても、支出は上下します。いずれにしても受給できる年金額を計算して、月々の生活費をおさえる工夫が大切であるといえます。
 

単身世帯が老後の年金だけで生活できるかは状況による

単身世帯が年金のみの収入源で生活できるかどうかは、年金の受給額と生活スタイルのバランスにより変わります。
 
受給できる金額を増やす努力をしたり、支払いをおさえる努力をしたりする場合は、収支バランスを黒字にできる可能性があります。また現役時代のうちにできるだけ貯蓄や資産運用などを行い、年金以外の収入源を確保する方法を考えてもいいでしょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)(18,19ページ)
厚生労働省年金局 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(8,19ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集