10年後はわが身。高齢者向け住宅・有料老人ホーム・介護施設の違いとは
配信日: 2019.01.02 更新日: 2019.01.10
高齢者住宅への転居や、介護施設への入所を考える年齢は、一般的に75歳から80歳過ぎになります。
自分自身や家族(両親など)のことも想定して、50代・60代から知っておくべき知識をまとめてみました。
Text:植田英三郎(うえだ えいざぶろう)
ファイナンシャルプランナー CFP
家電メーカーに37年間勤務後、MBA・CFPファイナンシャルプランナー・福祉住環境コーディネーター等の資格を取得。大阪府立職業訓練校で非常勤講師(2018/3まで)、2014年ウエダFPオフィスを設立し、事業継続中。NPO法人の事務局長として介護施設でのボランティア活動のコーディネートを担当。日本FP協会兵庫支部幹事として活動中。
高齢者住宅と介護施設の大区分
高齢者住宅や、その後の住まいとして考えられる介護施設には、多くの種類があります。
ここではその機能を中心に、「高齢者向け住宅」「有料老人ホーム」「介護施設」の3つに分類しました。
以下に、「自宅での自立生活から年数を経て、介護が必要な年代に必要な施設へ」というプロセスも考慮しながら、それぞれの内容を説明します。
高齢者向け住宅
高齢者向け住宅は、自立して生活ができる人向けで、バリアフリー環境、緊急時の通報システム、24時間のフロント体制を備え、ケアサービス体制によって軽度の介護ケアを受けることができる住まいです。
以下の3種類があり、ケア付き分譲マンションは資産価値が保証され、サービス付き高齢者住宅(サ高住)は国交省・厚労省が共管で推進した結果軒数が多く、高齢者住宅の中心になっています。シルバーハウジングは、公営が特徴です。
有料老人ホーム
有料老人ホームは、高齢者住宅と介護施設の中間的な位置づけになります。
高齢者住宅は自立生活ができて一般住宅の雰囲気を持つのに対して、後述の介護施設は、本格的な介護ケアの提供を受けることができます。
有料老人ホームはその中間に位置しており、自立生活のできる人も、介護を要する人も受け入れる施設です。
有料老人ホームは民間経営が多く、費用面では入居時の一時金、毎月の費用も相当額がかかります。住宅型と介護付きがあり、住宅型は自立時から入所し、将来の要支援・要介護に備えられるタイプです。介護付きへの移行などは施設ごとに手順が異なります。
軽費老人ホームは公的な運営が多く、比較的低コストの施設と言えます。
介護施設の種類
介護施設には、要としての「特別養護老人ホーム(特養)」のほか、「介護老人保健施設(老健)」「介護療養型医療施設」「グループホーム」の合計4つがあり、以下の表のような機能になります。
特養、老健、介護療養型施設は公共型の介護施設であり、規模的にも1施設で定員が80人程度の施設が多くなっています。
グループホームは民間運営が多く、規模も2ユニット18人程度の施設が中心です。入所時の要介護度は特養が要介護3以上、老健・介護療養型医療施設は要介護1以上になっています。
グループホームは施設数として最多であり、特養の入所待ちや入所できない人の受け皿となっています。また、グループホームでの介護認定基準は要支援2~要介護5までと幅広く、多くの利用者を集める理由となっています。
高齢者の住まいと介護施設選びの選択肢
高齢期の過ごし方の理想として考えられるのは、最後まで自宅で過ごせることです。しかし、心身の状態や取り巻く環境によっては、より適した住環境への移動も考える必要があります。
自宅住まいから考えられるコースをいくつか挙げてみました。
以上のような4つの選択が考えられますが、高齢者住宅・有料老人ホーム・介護施設共にさまざまなタイプがあり、居住する地域の事情も勘案すると選択肢はさらに多くあります。
高齢期の住まいや介護施設には多くの種類があります。いざというときに困らないように、少し早めに考えてみてください。この記事が、みなさんの参考になれば幸いです。
Text:植田英三郎(うえだ えいざぶろう)
ファイナンシャルプランナー CFP