更新日: 2024.10.16 その他老後

一人暮らしをしている大学生の娘に毎月「15万円」の仕送りをしています。来年定年を迎えるので仕送り額を減らすべきでしょうか?

一人暮らしをしている大学生の娘に毎月「15万円」の仕送りをしています。来年定年を迎えるので仕送り額を減らすべきでしょうか?
一人暮らしの子どもに仕送りをしているという家庭もあるでしょう。今回の事例では、大学生の娘に毎月15万円の仕送りをしているとのことですが、間もなく定年を迎えるため、仕送りの金額を減らすべきか悩まれているようです。
 
この記事では大学生の子どもに毎月15万円の仕送りを続けるべきか、定年後の家計に与える影響について検討します。
FINANCIAL FIELD編集部

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仕送り額の平均

独立行政法人日本学生支援機構が実施した「令和4年度学生生活調査結果」によると、下宿・アパートなどに居住していて大学学部(昼間部)に通っている大学生の年間の学費は平均105万2200円、生活費は平均107万1800円となっています。合計212万4000円が1年間で必要な平均費用です。
 
一方、家庭からの給付における平均的な金額は年間136万6900円となり、月に換算すると約11万3908円となります。
 
現在の仕送り額が毎月15万円の場合、年間仕送り額は180万円です。平均的な仕送り額に変更した場合、アルバイトや奨学金などを活用することで4万円ほど減らすことができるかもしれません。
 

定年後の収入の変化

総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)結果の概要」によると、表1のように、2人以上世帯のうち勤労者世帯において、世帯主の年齢階級が50~59歳の実収入は69万475円なのに対し、60歳以上は47万8099円と21万2376円下がっています。
 
表1

世帯主50~59歳の2人以上かつ勤労者世帯 世帯主60歳以上の2人以上かつ勤労者世帯
実収入 69万475円 47万8099円
非消費支出 14万3524円 8万37円
消費支出 35万3248円 30万7321円
黒字 19万3703円 9万741円

出典:総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)結果の概要」を基に筆者作成
 
定年後も再雇用制度などを活用し勤務し続けることで一定の収入は得られるものの、収入額自体は減ってしまう傾向にあるため、今まで通り仕送りをすることが困難になる方も多いかもしれません。
 
さらに、退職をして年金生活になると収入に対して支出が多くなる可能性も考えられます。
 
同調査によると、世帯主の年齢階級が65歳以上の2人以上かつ無職世帯の家計収支では、月平均3万203円のマイナスになっています。
 
突発的な支出なども考慮して仮に毎月5万円ほどを貯金から補う場合、25年間で1500万円が必要となります。もし貯金額が不足している場合には、仕送り額だけでなく生活費全体の見直しが必要となるかもしれません。
 

仕送りで足りない分は支援制度などで補える可能性がある

自身が定年を迎えて、今までよりも仕送り額を減らさなければならない場合、不足する分は支援制度などを活用することで補える可能性があります。
 
例えば、世帯収入や資産の要件など、一定の条件がそろえば「高等教育の修学支援新制度」により支援を受けることが可能です。文部科学省によれば、給付型奨学金の場合、住民税非課税世帯においては、国公立大学で最大80万円、私立大学で最大91万円が支給されます。さらに、給付型奨学金の対象者は授業料と入学金の減免も受けられるとのことです。
 
ただし、支援を受けるためには家計の経済状況に関する要件だけでなく、学業成績や学修意欲に関する要件も必要となります。厚生労働省によると、支援が開始されたあとも、適格認定基準によって学業成績などを確認し支援継続の可否を判定するため、しっかりとした学修意欲と学修成果が必要です。
 
また、学業に影響が及ばない範囲でアルバイトもできるでしょう。全国大学生活協同組合連合会が実施する「第59回学生生活実態調査」によると、仕送り・小遣いが0円の大学生(下宿生)における1ヶ月のアルバイト収入は平均4万6910円です。奨学金の平均6万6360円と合わせると月11万3270円となり、前述の平均的な1ヶ月の仕送り額と同程度となります。
 
親が自身の家計の事情で現状と同じ額の仕送りをすることが難しい場合は、アルバイトや奨学金で調整できないか、子どもと相談してみるとよいでしょう。
 

定年後の収入額により仕送り額を調整しよう

仮に現在老後に備える貯金が十分にあり、定年後の収入に不安がないのであればそのままの仕送り額でも問題ないかもしれませんが、収入が減る場合には仕送り額の調整が必要でしょう。
 
仕送り額を減らす場合は事前に子どもとよく話し合い、毎月の生活費が不足する場合には、アルバイトの収入や奨学金などで補えないか検討しましょう。必要に応じて高等教育の修学支援新制度なども活用しながら、無理のない仕送りを続けてください。
 

出典

独立行政法人日本学生支援機構 令和4年度 学生生活調査結果 IV.集計表 1-1表 居住形態別・収入平均額及び学生生活費の内訳(大学学部・昼間部)(49ページ)
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)結果の概要 2 二人以上の世帯のうち勤労者世帯の家計収支 表I-2-2 世帯主の年齢階級別家計収支(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)-2023年-(11ページ)、II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表1 二人以上の世帯のうち65歳以上の無職世帯の家計収支 -2023年-(17ページ)
文部科学省 高等教育の修学支援新制度
厚生労働省 高等教育の修学支援新制度について 支援措置の対象となる学生等の認定要件について(6ページ)
全国大学生活協同組合連合会 第59回学生生活実態調査 概要報告 1.学生の経済状況 (4)「仕送り小遣い」が「0円」の大学生の経済状況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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