更新日: 2024.10.19 その他老後
「高齢者の事故が多い」は本当?平成25年と比べて高齢ドライバーの死亡事故が約80件も減少している理由とは?
最近は自動車メーカーも車の安全性向上を目的として、衝突被害軽減ブレーキなどを搭載したセーフティ・サポートカー(安全運転サポート車)を提供しています。実際、セーフティ・サポートカーについて見聞きしている人もいるでしょう。
今回は、高齢運転者の死亡事故について紹介します。そのほか、自動車メーカー側がどのような対策をとっているかについてもあわせて解説します。高齢者の自動車事故や、車の安全性について興味のある方は参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
交通事故件数と高齢者運転による死亡事故件数の推移
交通局交通企画課が公表した資料によると、交通事故の発生件数は令和元年と比較して減少しています。令和元年から令和5年までの交通事故の発生件数は表1の通りです。
表1
年度 | 発生件数 |
---|---|
令和元年 | 38万1237件 |
令和2年 | 30万9178件 |
令和3年 | 30万5196件 |
令和4年 | 30万839件 |
令和5年 | 30万7911件 |
出典:警察庁交通局交通企画課「令和5年中の交通事故死者について」を基に筆者作成
次に、平成25年と、令和元年〜令和5年の75歳以上の高齢運転者による死亡事故件数の推移は、表2の通りです。
表2
年度 | 発生件数 |
---|---|
平成25年 | 460件 |
令和元年 | 401件 |
令和2年 | 333件 |
令和3年 | 346件 |
令和4年 | 379件 |
令和5年 | 384件 |
出典:警察庁交通局交通企画課 「令和5年における交通事故の発生状況について」を基に筆者作成
平成25年と比べると、約80件の減少となっていることが分かります。
また、内閣府ホームページが公表した「令和6年度版交通安全白書」によると、高齢者の運転免許保有者数は年々増加しています。60歳以上の高齢者の運転免許保有者数は、平成30年時点では2521万人でした。
これに対し、令和5年時点で60歳以上の高齢者の運転免許保有者数は2658万人に増加しています。そのうち、70歳以上の人数は、1129万人から1362万人へと数を増やしています。
高齢者の事故件数を長期的に減少させている要因とは
高齢ドライバーの死亡事故件数減少の背景には、官民連携で取り組むセーフティ・サポートカー(サポカー)の普及啓発があると考えられます。サポカーとは、衝突被害軽減ブレーキなどの先進技術でドライバーの安全運転を支援する車です。
以前は、65歳以上の方を対象にサポカー補助金制度がありましたが、令和6年現在は補助金制度は終了しています。
サポカーの主な機能としては、衝突被害軽減ブレーキや、ペダル踏み間違い時の急速発進抑制装置などです。アクセルとブレーキの踏み間違いは高齢者の交通事故でも多く、ニュースなどにも取り上げられています。
交通事故の防止や被害の軽減に役立つ先進技術の発達により、高齢者の事故低減効果が期待されています。
サポカーにかかる費用とは
サポカーに認定されるには要件を満たす必要があります。中古車の中にはサポカーの要件を満たさないものもあり、注意が必要です。サポカーの補助金制度は令和2年から始まり、翌年11月に申請受け付けが終了していますが、現在販売中のサポカーの中には100万円台で購入可能なものもあります。
万が一事故を起こした場合に生じる被害や費用などを考えると、サポカーに乗り換えるためのコストは決して高くはないという考え方もあるでしょう。
75歳以上の高齢ドライバーの死亡事故は長期的に減少傾向│先進技術を搭載したサポカーの普及啓発の影響も
75歳以上の高齢ドライバーの交通死亡事故件数は長期的には減少しています。理由の一つとして、官民連携で推進している先進技術を搭載したサポカーの普及啓発が考えられます。
サポカーには衝突被害軽減ブレーキや、ペダル踏み間違い時の急速発進抑制装置などの機能があり、高齢者の事故低減効果が期待されています。
とはいえ、交通事故件数をゼロにすることは難しいため、運転者自身が注意することが重要でしょう。
出典
総務省統計局 政府統計の総合窓口 e-Stat 警察庁交通局 交通企画課 令和5年中の交通事故死者について
警察庁交通局 令和5年における交通事故の発生状況について
内閣府 令和6年版交通安全白書 全文 特集 高齢者の交通事故防止について 第1章 高齢者の交通事故の状況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー