父が要支援1の認定を受けました。「要支援1だし、俺はまだ大丈夫」と言うのですが、必要な介護サービスを受けてもらうためにどうしたらいいですか?
配信日: 2024.10.24
執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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目次
月々の費用は8.3万円、介護年数は平均5.1年
生命保険文化センターによると、月々の介護費用は平均8.3万円、介護年数は平均5.1年です。月々の出費に加えて介護にあたってリフォームした自宅の改修費用やベッドなど一時費用が74万円であったと報告しています。
これは介護保険の自己負担分を含めてですから、すべて自費での負担となると、相当な金額になることがわかります。
要介護認定によって1割で利用できるサービスをうまく使う
介護保険を利用すると要介護度によってさまざまなサービスが1割負担で受けられます。1割負担で利用できる介護サービスを極力利用するようにすれば、経済的な負担もかなり軽減され、余裕もできるでしょう。
参考のために、1ヶ月あたり利用限度額の表にしました。
例えば、要支援1に該当すれば、1ヶ月あたり5万320円まで1割負担(家庭での負担額は5032円)で利用できるということになります。サービスの内容やサービスに要する時間はそれぞれ定められており、どれを使うかは要支援・要介護度や介護される人の状況などを考慮して、ケアマネジャーがプランを立てて決めます。
施設入所の介護を受ける場合については、所得・資産が一定以下の人に対しては補足給付という制度があります。
まず、介護認定を申請して決定通知を受け取ることが前提
Aさんのお父さまはすでに「要支援1」の決定通知書を受け取っています。申請がまだという方は、1割負担での介護サービスを受けるために、地元自治体から「介護認定」という決定通知を受け取らなければなりません。
手順としては、お住まいの市区町村の社会福祉課で申請書類を受け取り、かかりつけ医師から現状について述べた意見書と、市区町村の職員などからの訪問による聞き取り調査(認定調査)を受ける必要があります。
お父さまに「介護の一部の外注すること」を理解してもらう
Aさんの親世代は「他人に弱みを見せない」ことを重視する価値観を教育されてきたケースが多いことから、「外ではいいところを見せる」のが当たり前、となることがあります。
この精神的なバリアを取り除くことにうまくいかず、聞き取り調査などで止まってしまうご家庭を筆者はいくつも見てきました。なかなか、考え方を変えるのは難しいとは思いますが、Aさんが自治体担当者の方に相談する、Aさんとお父さまで話し合う時間をとって現状について理解してもらうことが大切です。
出典
公益財団法人生命保険文化センター 介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?
厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 サービスにかかる利用料
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者