更新日: 2024.11.05 その他老後
60代で貯金があまりないので、老後の生活が不安です……。現在東京に住んでいますが、地方の町に引っ越せば安く過ごせるのでしょうか?
そこで本記事では、東京と地方都市の生活費の違いをはじめ、地方へ引っ越した際にかかる可能性が高い費用について解説し、老後の生活費を確保する方法もまとめていきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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東京都と地方都市の生活費の違い
東京からどの地方都市に引っ越すかによりますが、総務省統計局の「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 2023年」を見ると、東京から地方へ引っ越すことで1ヶ月あたりにかかる生活費を安くすることが期待できるでしょう。
大都市と中都市、小都市の1ヶ月あたりの平均的な生活費は以下のとおりで、大都市に比べて中都市は1万8578円、小都市は2万5726円、小都市(町村)は4万1799円安いからです。
●大都市:31万2593円
●中都市:29万4015円
●小都市:28万6867円
●小都市(町村):27万794円
また、1ヶ月あたりの生活費を都市別で見てみると、最も高い東京23区の34万1320円と安い那覇市の25万1222円を比べると、差額は9万98円です。
家賃が必要かどうかで生活費が異なる
地方へ引っ越す際に、賃貸物件の契約が必要な場合は注意してください。生活費をおさえられたとしても家賃負担が増えることで、その分の生活費が増えるからです。特に現在は東京で持ち家の場合、家賃の支払いが必要であれば、地方に引っ越す大きなメリットはないかもしれません。
全国賃貸管理ビジネス協会の「全国家賃動向(2024年9月調査)」によると、家賃の全国平均額は、1部屋5万3328円、2部屋5万9673円、3部屋6万7342円です。
ただし、平均額が最も高いのは東京都(1部屋7万5537円、2部屋9万602円、3部屋9万8765円)なのに対し、最安は愛媛県(1部屋4万51円、2部屋4万9042円、3部屋5万3127円)でした。引っ越し前に家賃相場を必ず把握しておき、無理のない生活ができるかどうか確認しておきましょう。
地方に移住する際にかかる可能性が高い費用
東京都の1ヶ月あたりにかかる生活費や家賃の平均額は全国で最も高額ですが、地方へ移住する際にかかる費用があります。例えば、東京と比べて暑い、または雪が降って寒い時期が多い地方へ引っ越すと冷房・暖房器具が必要となり、電気代などの光熱費がかさむ可能性が高くなります。
その他にも、地方は電車やバスの運行本数が少なかったり、近隣にスーパーや病院といった施設がなかったりする可能性が高いです。そうなると、移動手段として自動車が必要となり、購入資金や維持費を確保しなければなりません。
老後の生活費を確保する方法
物価が安くて支出をおさえられそうな地方へ引っ越すだけでは、貯金がないことの解決方法にならないでしょう。以下のように、老後の生活費を確保するための方法も取り入れてみてください。
●働いて収入を得る
●年金の繰下げ受給でもらえる年金額を増やす
●生活費の節約や毎月の支出を見直す
以下で、方法別に解説します。
働いて収入を得る
60歳を過ぎても、再就職や再雇用といった方法で収入を得る機会があります。収入のなかから毎月一定額を貯金に回すなどすれば、少しずつ増やしていけるでしょう。また働き方によっては、厚生年金に加入できます。厚生年金保険料を支払えば、その分だけもらえる年金額を増やすことが可能です。
年金の繰下げ受給でもらえる金額を増やす
収入を得ているなど、当面の生活費を工面できるようであれば年金の繰下げ受給を検討してみてください。原則として65歳から年金を受け取れますが、66歳から75歳までに遅らせることで、1ヶ月あたり0.7%の増額率が適用されます。
老齢基礎年金と老齢厚生年金のどちらか一方の繰下げも可能で、一度適用した増額率は生涯にわたって変わりません。
毎月の支出を見直して生活費の節約をする
毎月の支出の内容を確認し、無駄遣いや節約できるものがないか確認してみてください。光熱費がかからないように自宅の家電製品を使う、生命保険や携帯電話の契約内容を見直す、不要なサブスクリプションを解約するといった方法で、支出をおさえられるでしょう。
特に生命保険や携帯電話は、自分の置かれている状況や使い方と合っていない高額なプランで契約している場合があります。
安定した老後生活を過ごすための対策を検討しよう
現役時代に住宅を購入した、子どもの教育費や自分の趣味にお金をかけてしまったなど、老後の生活費を貯めるタイミングを逃してしまう場合があります。気付いたときには十分な貯金がなく、老後の生活費を確保するために不安や焦りを感じる人もいることでしょう。
たしかに地方に引っ越せば、東京よりも生活費の負担をおさえられます。しかし、生活費の負担をおさえただけでは老後資金を増やせるわけではなく、その他にも何らかの対策が必要です。安定した老後生活を過ごすために、今すぐできることを検討し、取り入れていきましょう。
出典
総務省統計局 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 2023年 表番号1-1
全国賃貸管理ビジネス協会 全国家賃動向 全国平均家賃による間取り別賃料の推移 2024年9月調査
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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