更新日: 2024.11.09 セカンドライフ

定年退職をして収入が大きく減ったのに、住民税は「15万円」でした。働いていなくてもこんなにかかるものなのでしょうか?

定年退職をして収入が大きく減ったのに、住民税は「15万円」でした。働いていなくてもこんなにかかるものなのでしょうか?
定年退職後に再雇用や再就職をしない場合、収入が大きく下がるケースがあります。しかし、住民税が定年退職前と変わらないことから、支払いが難しくなる方もいるでしょう。
 
住民税は前年の所得を基にしているため、現在の収入が低くても状況によっては負担が重くなる場合があり、注意が必要です。今回は、住民税の決まり方や住民税額の例などについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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住民税額は前年の所得を基に決められる

金融広報中央委員会によると、住民税の金額は前年の所得から計算され、当年の6月から翌年5月の12回に分けて納税します。そのため、退職前の年収が高く、退職後に再就職などもしていない場合は、現時点での収入に対して住民税の負担が大きくなるでしょう。
 
なお、退職をした年の住民税は、退職時期に応じて支払い方法が異なります。もし6月~12月に退職をした場合は、退職後に市区町村から納税通知書が送付されるため、自分で納税が必要です。1月~5月に退職をすると、退職時に会社が一括徴収をして本人の代わりに納付をします。
 
ただし、6月~12月に退職をするケースでも、希望すれば会社に一括徴収で納付してもらうことも可能です。もし一括徴収をしてもらいたいときは、納付忘れを防ぐためにも事前に会社へ連絡しておきましょう。
 

退職前が年収360万円だったときの住民税額

今回は、以下の条件で住民税の金額を計算しましょう。
 

・60歳で定年退職(社会保険料に介護保険料を含む)
・東京都在住
・退職する前の年の年収は360万円
・賞与は考慮しない
・控除は社会保険料控除、給与所得控除、基礎控除以外は考慮しない
・健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料は全国健康保険協会の「令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)」の金額

 
条件を基にすると、退職する前の月収は30万円です。この場合、健康保険料と介護保険料が月額1万7370円で年に20万8440円、厚生年金保険料は月額2万7450円で年32万9400円になります。雇用保険料が年に2万1600円のため、年間の社会保険料は合計55万9440円です。
 
年収360万円のときの給与所得控除は「360万円×30%+8万円」で求められるため、116万円になります。年収から社会保険料控除と給与所得控除の合計171万9440円を引いた188万560円が住民税の計算に使う金額です。
 
住民税の基礎控除は43万円なので、基礎控除を引いた145万560円に対して税金が課されます。また、住民税の税額は「課税金額×10%+5000円(東京都の住民税均等割)」で求められるため、今回のケースだと住民税額は15万56円です。
 

住民税が支払えないときは自治体に相談する

前年との収入差が大きく、住民税が支払えないときは減免制度を利用できる可能性があります。自治体によって制度の内容が異なるので、まずは制度を担当する窓口へ問い合わせましょう。
 
例えば、神戸市では「令和5年(1月~12月)中の合計所得金額が400万円以下」かつ「令和6年中の合計所得金額が令和5年中の合計所得金額の半分以下に減少すると認められる」場合に、令和6年度の住民税や森林環境税の減免が可能です。
 
なお、収入要件は配偶者控除を受けていたり年少の扶養親族がいたりすると、控除の金額や扶養人数に応じて基準額に加算されます。
 
ただし、減免の対象になるのは申請期限を超えていない分です。もし超えてしまうと、負担が重くとも減免制度が利用できない可能性があるため、申請はできるだけ早く行いましょう。申請期限は自治体によって異なります
 

住民税は前年の所得で計算されるため今は低収入でも高くなるケースがある

住民税は前年の1月~12月分の所得を基に決められ、当年の6月~翌年5月の間で支払う税金です。前年の収入が高く、当年の収入が低いと、住民税を支払うタイミングで収入に対する税金負担の割合が重くなる可能性があります。
 
今回の試算によれば、もし退職前の年収が360万円だった場合、住民税は約15万円です。退職後の収入が年金だけだとすると、支払えない方もいるかもしれません。住民税の支払いが難しいときは、申請期限が過ぎる前に減免制度を利用できないか自治体へ問い合わせましょう。
 

出典

金融広報中央委員会 知るぽると 税金の手続き 退職後の住民税
神戸市 所得が前年に比べて半分以下に減少する方
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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