更新日: 2024.11.10 介護
両親が老人ホームに入居することになったのですが、夫婦で暮らす2人部屋はあるのですか? その他にどのような種類の施設があるのですか?
しかし、老人ホームは原則1人部屋ですので、2人での入居は部屋数が少なく入居が難しいのも事実です。また、身体状況や要介護度、認知機能等によっては入居できない施設もあります。
今回は、夫婦で一緒に入居可能な老人ホームの主な施設の種類や注意点、メリット・デメリットなどをお話しします。
執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)
田久保誠行政書士事務所代表
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員
行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。
介護施設に入るための入居条件は?
一般的に年齢は60歳以上または65歳以上の施設が多いです。要介護度による入居条件は以下の表1のとおりです。ただし、施設によって異なりますし、それぞれの介護施設も細分化されている場合がありますのであくまで目安です。
【表1】
夫婦で入居する際の注意点は?
主な注意点は、以下の3点です。
1.2人部屋が少ない
希望した施設が見つかったとしても、そもそもその施設に2人部屋がないことがあります。仮にあったとしても満室で空くのを待つケースが多く見られます。その場合は、とりあえず夫婦それぞれが1人部屋に入居し、入居中に夫婦部屋の空き待ちをするという方法もあります。
2.2人部屋があっても夫婦間の介護度合いに差があり過ぎると入居できない場合がある
施設によっては、入居条件として要支援・要介護認定を受けていないと入居できない施設が多くあります。よって、夫婦同居の場合2人とも入居条件を満たす必要があるからです。どちらかが自立している場合は、「住宅型有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」のように、入居条件が緩やかな施設を選択します。
3.夫婦どちらかの状態が変わると、退去や転居しなければならない場合が出てくることがある
施設によっては、入居後にどちらか、あるいは2人ともの介護度・医療依存度が変わった場合、契約解除になることがあります。よって、入居前に退去要件についてあらかじめ確認しておく必要があります。また多くの場合、配偶者が亡くなった後、2人部屋から1人部屋に転居することになります。
夫婦で同居するメリット・デメリットは?
まず、メリットは以下の3点です。
1.これまでどおり一緒に生活できる
環境の変化はストレスの原因となります。一緒に生活するというこれまでと同じ環境で過ごすことができるので、ストレスの軽減や精神的な安定につながります。
2.費用が抑えられる
一般的に同じ施設に夫婦が入居する場合、1人部屋を2室契約するよりも、2人部屋1室を契約するほうが割安になります。ただし、部屋の広さや設備等によっては、個室2部屋を契約する場合と同じような金額になる場合もあります。
3.子どもに心理的負担がかかりにくい
親が自宅に夫婦だけで暮らしていると、特に昨今の特殊詐欺事件や異常気象などのニュースを聞くと「2人だけで大丈夫だろうか」などと不安になる場合があります。また、どちらかに介護が必要になった際も負担がかかる場合があります。しかし、両親がそろって入居していればそのような心配事が軽減されるというメリットもあります。
次にデメリットは以下の2点です。
1.ストレスになる可能性がある
メリットの1の逆になりますが、家とは違いワンルームマンションのような作りになっていますので、狭い空間で四六時中顔を合わせることになります。できるだけホーム内で行われるレクリエーションやイベントなどに参加して、うまく息抜きをするのも大切です。
2.住み替えリスクがある
注意点の3で記載したように、ご自身あるいは配偶者の健康状態等によってはその部屋に住めなくなるリスクがあります。また、移転後は1人部屋になりますので、費用の割安感というメリットがなくなります。
早めに動くことが大切です
前述のように、老人ホームの2人部屋というのはあまりありません。将来的に自宅から引っ越すことを考えているのであれば、元気なうちにいろいろな施設を見学しておき、いい物件を探しておく必要があります。
お子さんも自宅での2人暮らしより心配が減ることが多いので、希望に合った施設が見つかるといいですね。
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表